「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

店舗運営において、理論原価と実際原価の差である「ロス」を最小限に抑えることは、収益性を高めるための最重要テーマのひとつです。原価管理の精度が高い店舗は、どれだけ売上が上下しても利益率が安定し、経営の体力が強くなります。そのため、ロス率は0.5%以内に抑えることが優秀とされ、毎日の原価管理が現場マネジメントの基盤となります。

仕入れ管理においても、日々の発注・納品・使用量をコントロールし、理論原価に近づけることが目標です。しかし、仕入れが不安定になったり、仕入れ率が週の中で乱れる場合は、店舗内で何らかの問題が起きているサインといえます。こうした異常を早期に察知するために、注目すべき視点が「7つのロス」です。

7つのロス
1. 雑損ロス
賞味期限・消費期限切れによる廃棄など、基本的な管理不足から生まれるロス。定数管理と棚卸し精度が重要になります。
2. オペレーションロス
調理ミス、異物混入、作り直しなど、調理手順の乱れや教育不足から発生するロス。仕込み精度と厨房オペの見直しがポイントです。
3. 歩留まりロス
食材のカットや加工の際に、標準歩留まりを超えて無駄が生じるロス。包丁技術や加工手順の標準化が必要です。
4. ポーションロス
提供分量が規定より多くなり、原価が上振れするロス。計量器の徹底とメニュー基準書の共有が欠かせません。
5. 検収・仕入原価変更ロス
納品確認の不備や仕入れ単価の変更未確認が原因で発生するロス。検収フローと伝票照合の習慣づけが重要です。
6. 盗難ロス
店舗内での盗難やスタッフによる内引きが原因となるロス。防犯対策と管理体制の強化が求められます。
7. 売上未計上ロス
レジ不正、打ち忘れ、記帳ミスなどで本来の売上が計上されないロス。POS操作の教育と締め作業のダブルチェックが必須です。

これら7つのロスを把握し、日々のオペレーションや仕入れ状況と照らし合わせながら改善することで、原価率を安定させることができます。特に、仕入れ率の乱れはロス増加の初期サインであり、早期対応が大きな効果を生みます。

ロス管理は現場スタッフだけでなく、店長・マネージャー・経営陣が一体となって取り組むべき経営テーマです。ロスを徹底的に減らし、理論原価に近づけることで、利益体質の店舗運営が実現します。原価を守るということは、店舗の未来を守るということです。