「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

棚卸しは単なる在庫確認の作業ではなく、不正の発見や経営の健全性を保つための重要な業務です。月次で実施される棚卸しの結果は、原価や利益構造を正しく把握するための基礎データとなるだけでなく、不正の早期発見にも直結します。

たとえば、毎月の棚卸し額の推移を確認することで、異常な在庫増減が発生していないかを見極めることができます。棚卸し額が不自然に減っている場合は、売上未計上や盗難の可能性があり、逆に過剰に増えている場合は、架空在庫や誤計上が疑われます。また、実際の原価率が理論原価と乖離しているときは、ロスや廃棄、入力ミスなどが隠れているケースも少なくありません。棚卸しは、こうした不正や異常の“兆候”を見抜く経営ツールでもあるのです。

さらに重要なのは、棚卸しそのものの不正を防ぐ仕組みづくりです。特定の担当者に任せきりにせず、必ず2名体制で実施することが基本です。第三者の立会いをルール化し、チェックとダブルカウントを行うことで、恣意的な数値操作や隠ぺいを防止できます。こうしたルールを徹底することが、数値の信頼性を高め、経営判断の精度を上げることにつながります。

棚卸しの本質は、「在庫を数えること」ではなく、「経営の透明性を担保すること」にあります。定期的な実施と客観的な仕組みを維持することで、不正を未然に防ぎ、正しい原価管理と健全な経営体制を築くことができるのです。