『未完の中国文化大革命』(楊海英著)読了。
文革については、オレがまだ学生の頃に、書籍でおおよその内容を知ったのと、あ
とは、30年ほど前の映画である『さらば、わが愛 覇王別姫』で見た程度の印象し
か無かった。
当時の感想は、毛沢東が引き起こしたロクでもない権力闘争であり、毛の手先であ
る紅衛兵が行った様々な行動が、人間の汚い面・恐ろしい面によるものばかりで、
それ以上の情報を深掘りしようという気が起きないまま、現在に至っていた。
今回、本屋で本書を見かけ、習近平が文革で下放された経歴の人物であることを
思い出し、改めて文革がどういったものだったか。現在の中国にどういった影響を
与えたのか確認したくなり、手に取った。
結論から言えば、大変に面白い本だった。文革の開始から終焉に至るまで、どうい
った人物のどういった行動・発言があり、どういった事象が発生したか、通史的に
掴むことが出来る。文革について全く知識が無い人にとっても良い入門書ではない
だろうか。
本書はぜひ広く読まれて欲しいので、内容を細々とは書かないが、オレの印象に
残ったのは、①文革にみる中国人の残虐性 ②中共のプロパガンダに踊る日本人
③個人崇拝の恐ろしさ である。
古代王朝から近現代に至るまで、中国には虐殺・食人などなど様々な胸糞の悪い話
が出てくるが、文革期も同様だ。文革の前段となる毛沢東による知識人たちへの弾
圧(反右派闘争)から文革終焉に至るまで、様々な酷い行為が行われている。
呂后はじめ中国の歴史上、残虐なことが様々行われていたことは知っていたが、本
書にて、文革期の処刑の際に、対象者の喉が事前に切開されることを知った(死の
間際に反革命のスローガンなどを叫ばせないため。しかも麻酔無しとのこと)。
もういちいちムカムカするよな。
中共の仕掛ける歴史戦では、大東亜戦で日本軍が残虐行為をしたと指摘されるが、
本書に出てくる残虐行為の内容を見ていると、文革で自分たちがやったことを、「自
分たちがやってるんだから日本軍もやってるでしょう」と思い込んで主張している
ものがあるような気が、、、。
また文革当時、日本の知識人・メディアの多くが文革を絶賛していた様子にゲンナ
リする。現代日本でもあまり変わらないが。
大東亜戦の終戦後、中共シンパの日本人が中国に残留し、対日プロパガンダを担っ
ていたことに始まり(大東亜戦前からも国民党および中共からの対日工作は行われ
ているが)、現在に至るまで、ずーっと日本は工作活動を受けてるという話だな。
この数日の日記でも取り上げたが、衆院選での中国系アカウントによる反高市工作
も、中国の伝統芸ということだ。
オレがガキの頃は、世の中は中共万歳系の知識人・メディアばかりだったが、本書
でも幾人・幾団体かが取り上げられている。例えば、紅衛兵が北京で暴れまわり、
多くの死者が出る中(赤ん坊から老人までが被害者)、同時期に北京に滞在していた
大江健三郎が紅衛兵の様子を見ていながら、これを「礼賛する情熱的な文章を書い
た」ことは、大江の人間性をよく表していると思う。ホンマにコイツ、クソよな。
文革の流れを見ていると、改めて個人崇拝の恐ろしさが良く分かる。そして、権力
闘争の中で人間が見せる薄汚さに嫌気がさす。
毛沢東が陥れるターゲットを決め、個人への攻撃を開始する。そうすると、ターゲ
ットの同僚・仲間も次々と毛に阿ってターゲットへの攻撃をする。いじめ・パワハ
ラと全く同じ構造ではあるが、絶対権力の下でしかも中国人の残虐性が発揮される
と本当に嫌になるような内容になる。日本では比較的、好意的に語られる中共の
政治家も、同じ穴の狢なので、当然のように毛に阿って残虐だったりする。正体
見たり、だな。
本書の指摘では、文革の結果、中国からは士風(知識人か天下国家について談義し、
意見を述べ、批判する精神)が消えたとされる。史記はじめとする様々な中国古典
に出てくるような賢人が語るような中国と、現在の中共統治の中国は、連続性が無
いということだ。中共は、自分たちが中国4千年の歴史を引き継ぐ国家と主張して
いるが、昨今の中国の政治状況を見ても、これはウソで、単なる一党独裁のクソ国
家がそこにある、、という理解が正しいように思えるな。