『中国はアメリカに戦わずして勝つ』(副島隆彦)読了。

副島隆彦といえば、小室直樹ゼミ出身ながら陰謀論っぽい著作が多い人とのイメー

ジで毀誉褒貶あるが、書籍のタイトルには思わず手に取ってしまう魅力があり、数

年に1回のペースで著作を買っている。今回は、タイトルよりも帯に書かれた「参政

党を操るアメリカの新戦略」との惹句に魅かれた。

で、感想をと思い立ったが、副島の著作の特徴として、様々な情報が取り上げられて

おり、全体を扱うと、とっ散らかってしまうため、今回はオレが最も関心を持った

第5章『「日本を中国にぶつけよ」参政党を操るアメリカの新戦略』に絞って書く。

 

まず、5章を短くまとめると、「コルビー(米国国防次官)が、対中戦争を検討して

いるが、自国兵力を使わずに日本(や他の同盟国)の参戦を狙っている。そこで参

政党を育てて日本国内の世論を動かそうとしている」という内容だ。にわかに信じ

がたい話だが、5章の主張を、もう少し細かく列記すると、

・参政党は、統一教会の別動隊である。以前は幸福実現党という名前の集団だった

が、姿を変えた。幸福実現党の大川隆法から神谷宗幣に看板が架け替えられた。

・2025年7月の参院選で参政党は742万票を集めた。うち200万票は自称「意識高い

系」を吸い寄せ、残り400万票は違法な得票操作のソフトウェアを使って改変した。

・参政党、神谷は、エルブリッジ・コルビーが育て、操っている。

・コルビー(が所属する派閥の)世界戦略は、米国は欧州・中東から手を引き、軍

事力を東アジアに集中し、中国を叩きのめすというものである。

・対中戦争で米国民に被害が出ると米国世論が持たないので、コルビーたちは、日

本・韓国・台湾・オーストラリアを中国にぶつける戦略を進めている。

※念のため繰り返すが、これはオレの主張ではない。本書の内容である。

 

オレがYoutubeで見る陰謀論は、もう少しブっ飛んだ内容のものが多く(アヌンナ

キとか)、国内政治関連のものはほぼ見ていないのだが、上記のような内容は、ど

の程度、唱えられているのだろうか。

 

試しにGoogleで「参政党 幸福実現党」と検索したところ、トップに幸福実現党の

webサイトの「株式会社ビジネス社への抗議文について」というものが表示されて、

ちょっと笑ってしまった。内容は、本書について、「幸福実現党が参政党に姿を変え

たかのような虚偽に対し云々、、」となっている(※ビジネス社は本書の出版社)。

怒られてるやんけ。

ただ調べていくと、現代ビジネスのWebサイトでは歳川隆雄(ジャーナリスト)が

『【銃撃された米保守活動家とも対談】参政党・神谷宗幣代表の周辺に見え隠れする

「幸福の科学」人脈』との記事を出しており、「姿を変えた」の真偽は別として、両

組織の関連性を指摘する人は、他にも存在しているようだ。

 

オレは、今の自民党は約半数がド左翼議員の危険な政党だと考えているので、参政

党や日本保守党が増えることは良いことだと思っている。だが、一方で、参政党に

は胡散臭さも感じている(神谷が時折、怪しげな発言をしている点で)。

胡散臭さの正体を少しでも知りたくて購入した本書だが、本書自体にも怪しげな感

じがあり、さあどうしたもんだろうね。色々と調べていくきっかけとしては、面白い

のだろうが。