『怪談狩り 逆さ煙突』(中山市朗)読了。

中山市朗は、木原浩勝との共著である『現代百物語 新耳袋』のシリーズが面白く

て、以来、夏頃に新刊が出ると買っている。

『怪談狩り』シリーズも『新耳袋』シリーズと同じく、1冊に100話ほどの怪談が収

録されているが、滅茶苦茶怖い!という話は、ほとんど無い。本気でこれは怖い!

というようなものは、1冊に1話あればラッキーといったところだ。ただ、100話も

続けて読んでいると、1話1話は大したことが無くとも、全話読み終わると、何となく

ほんのり背筋が冷たくなるような読後感が気に入っている。

今回の『逆さ煙突』でも、特記するような話は無かったが、個人的には『アッちゃん

のお葬式』が少し気に入った。しっかり作り込まれた話より、何だか良く分からない

ところ、中途半端な情報しか無い状態で終わる怪談の方が、リアル感があって面白く

感じるな。

 

怪談は割と好きで、YouTubeでも、たまに怪談系の動画を見ている。ただ、これも

本で読む怪談と一緒で、これは怖い!というものは、1%も無いくらいではないか。

人を笑わせるとか、怖がらせるといった感情を動かすということが、かなり難しい

ことなのだろうと思う。

かつて景山民生が「人が死ぬシーンを書いて客を感動させる倉本聰は楽な商売で羨

ましい、人を笑わせるのは難しい」との主旨でボヤいていたという話があった(※

確か中島らものエッセイだったと思う。引用元が見つかっていないので言い回しは

違っている)が、本当にその通りだと思う。

 

あと、ガキの頃に比べると、やはり感情も鈍ってきている気がするな。ガキの頃は、

怪談を聴いて震え上がったこともあったのだが。

人生で初めて心から怖かった会談は、所謂、「だるま女」で、確か小学校5年か6年

の頃に通っていた塾の講師に聴かされた記憶がある。余りに怖くて、翌日、何人か

のクラスメイトに無理矢理に聞かせたのを覚えている。

あと印象が強かったのが、『山の牧場』だな。この話は『新耳袋』シリーズで恐らく

もっとも有名な話の一つだが、オレはこの話を中学生か高校生の頃に、当時聴いて

いた深夜ラジオ(『誠のサイキック青年団』)で初めて聴いて、すげー怖かったのを

覚えている。

オッサンになると、怪談より怖いものが色々出てきてしまうが(住宅ローンの残高

とか営業ノルマとか腰痛とか)、また、ガキの頃みたいに震えるくらい怖い怪談に

出会いたいもんだな。