ここ数か月前にあった、ドラマ化された漫画の、原作漫画家の悲劇は記憶に新しい。

漫画家は、創作以外の面でも大変であることを改めて思い知らされた。

ここ1年程続いている『小悪魔教師サイコ』の後発漫画に関するトラブルについて書く。

約2年前に、ヤフーなどに頻繁に宣伝されていた広告を見て、『小悪魔教師サイコ』(原作小説:三石メガネさん、作画:合田蛍冬(あいだけいと)さん)の漫画の分冊版をピッコマで読み始めた。サイコパスな教師の葛西心春が、その特性を使って学校の問題を解決していく、これでにない発想の内容で読むたびに次の展開が楽しみとなりハマっていった。合田先生の描く心春先生もふだんは可愛らしく、危険な表情の時のギャップがまた気に入っている。
ホラー・サスペンスものを多く扱うpeep(運営:taskey社)で三石氏の原作小説が連載され注目され、その1~2年程後にコミカライズされた漫画版がcomicヤミツキ(ぶんか社)で連載開始され同誌の看板作品となりという流れであったようだ。
ちなみに同じようにpeep⇒comicヤミツキでのコミカライズというパターンは、『細菌少女』(原作:大友青さん、作画:高田千種さん)など他にもいくつかある。『細菌少女』は、『小悪魔教師サイコ』をピッコマで読み始めて約半年後、関連漫画でよく表示されていたを気になり読み始めた。

で、今はどうなっているかと言うと、『小悪魔教師サイコ』は1年以上休載で復帰の見込みは絶望的、『細菌少女』は現時点で半年休載で復帰してもちょくちょく休載をはさむのか、それともそのまま終了か一気に3話(電子単行本の5巻収録予定分を考慮)で完結編に移るのかという雰囲気。漫画家のブログや、現在退会されているX(旧ツイッター)の内容からして、問題はtaskey社側にあると見ている。

もしかしたら他にも同様のことがあるかもしれない。

連載中断時の回の『小悪魔教師サイコ』『細菌少女』の1コマ。この続きを一刻でもはやく見たいのだが、作画担当の漫画家さんは無理はくれぐれもしないでほしい。

『小悪魔教師サイコ』第20話

赴任2校目の第二シリーズの終盤で中断。助ける対象の生徒の深刻具合を明確にするためか、漫画版では大幅に内容を変更。漫画版でどう解決するかが気になっていたのだが。

あと不登校生徒(原作読んで不登校の理由が完全に予想外だった)や、連載中断時点で未登場の5歳上の姉(葛西桜)がどのように描かれるかも。

 


『細菌少女』 第27話
原作では、この後に別の勢力が登場し登場人物が一気に増えるのだが(前回書いたように)、描く側にしても読者にしても混乱が予想され、この勢力は漫画が順調に続いたと場合でも1名除いてカットされると見ている。

漫画版でも出るだろうと予想していた、礼美ちゃんや志緒ちゃんは、高田先生の絵でどう描かれるか見てみたいところだが。


後述のことも含め、原作サイドであるtaskey社のコミカライズしてくれる漫画家に対する尊敬の意思が足りないどころか、明らかに軽視しているように思える。確かにpeepは画期的なシステムで人気小説も多く揃えているおり、商法はうまいと思われせるところもあるのだが。
前述の2作品を漫画と原作小説とを読み比べてわかったことだが原作小説はセリフの羅列と使いまわしの背景写真だけであり、作画担当がそこからいろいろ原作小説の背景を読み取りふんだんに追加要素を加えて、読者にとって読みやすい漫画となっている。『小悪魔教師サイコ』の場合、良村くんが心春先生のサイコパス的な部分を勘づくために、原作小説では描かれなかった部分を追記することで、漫画版で納得できるようになっている。また先に書いた2作品は漫画版である程度読んでいたからこそ、人物像や場面が明確になり、原作小説をスラスラ最後まで読めたということもある。
前述のcomic誌の、ある漫画では原作サイドの想像に合わないからと威圧的に新キャラのネームを突き返したという件があったそうだが、あの形態の原作小説だけでは、そこまで合わせることは無理があるし、原作サイドが事前に説明すべきであろう。原稿料も安いらしい。

紙媒体のコミックス発売も決まっていた『小悪魔教師サイコ』だが、それがお流れとなったどころか、連載中断に追い込まれてしまった。それは連載中にもかかわらず、別の作画である韓国風の縦読み形式のカラー連載が開始されたことであり、これだけでのNGだが、後続漫画はネームのパクリまでしてしまう始末。前述の通り、先発漫画では作画担当の合田先生はいろいろ苦労してイメージを膨らまして追加要素を考えてコミカライズしたこともあり、これでは面目丸つぶれである。それどころ原作サイドは合田先生に圧力をいろいろかけているように見える。かつては合田先生も感謝の言葉を述べていた小説の原作者は、後続漫画のネーム担当のイラストレーター(作画はプロダクションでの分業)と意気投合してクッキー缶を投げつけてやりたいなどと名前は出していないものの遠回しに合田先生を攻撃するツイート(現在削除)を交わしてしまう始末。
comicヤミツキの、ぶんか社もまるで他人事どころか、漫画家を守る義務はないと言い張ってしまう状況。これでは苦労して作画をした漫画家が浮かばれない。一般社会人として見ても、これら2社は問題は大ありだ。税金を私物化するだけでなく庶民の生活の懸念の声を無視して悪政を推し進める自民党政治と同じく、無責任どころか、やったもんの勝ちで悔い改める態度はなさそう。
何とか漫画家サイドの名誉が回復できるよう祈りたい。

 

売上7億円超の漫画『小悪魔教師サイコ』作画家・合田蛍冬氏が出版社を提訴 同時期に同一原作の後発漫画が出版されトラブルに

 

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