天の川、きれいですね。
愛知県の星空の聖地・奥三河観光協議会の「星空観光案内サイトより
皆さんご存じとは思いますが、天の川とは、天の川銀河を横から見たものです。
天の川銀河は、太陽系が属する銀河で、太陽との関係は下記のようになっています。
(以下、写真のように見えるのは、Mitaka(国立天文台 4次元デジタル宇宙プロジェクト開発ソフト)
の画像です) ※一部、補助線や説明を私(TTL)が追加)
さて、前述のように「天の川とは、天の川銀河を横から見たもの」です。夏に良く見えるので、夏は銀河系の中心部分を見ることになります。 つまり、夏は、銀河系の中心、地球、太陽の順に並ぶと予想されます。地球が太陽の周りを回転する公転面に対し、地球の地軸は23.4°傾傾います。 そして、夏至の時は、北極側が太陽の方向に傾くので、天の川は、東から南側の低い位置を通って西側に見えるのではないでしょうか。
しかし、最初の写真にあるように、水平線に対しかなりの角度(60度くらい)で見える時があります。 実際、ほぼ垂直な写真も多々あります。
なぜでしょうか?
回答は下の方に書きますので 考えてみて下さい。
(5人くらいに聞いたら1人だけ正解しました)
考え中
考え中
考え中
考え中
考え中
考え中
前述のように、太陽系は天の川銀河の円盤部の中央面(銀河面)から約130光年外れたところに位置します。しかし、通常、このずれを無視して、太陽系を通る平面として記載するので、それに従って以下記載します。
正解は下記の図のように、地球の公転面が、銀河面に対し、かなり傾いているのです。
「MK1のBLOG.」に素晴らしい絵があったので拝借しました。
https://blog.goo.ne.jp/mk1_1978/e/fd79b2aa201ae8d3d6d6c994e004658a
判りにくいので、設計図などで用いる第三角法で書いてみましょう。
なお、この概念図ができるまで、試行錯誤して1週間以上かかりました。夏休みの自由研究みたい。間違っているかもしれないので、気が付いた方はご指摘をお願いいたします。
さて、この図に春分、夏至、秋分、冬至や 角度を記載したい。
以下、灰色の網掛け部分は、作者の小言や独り言なので飛ばして読んでもらって良いです。
しかし、天文学が苦手でほとんど勉強しなかった私には非常に難く苦労しました。まず、銀河系の中心を求めました。「いて座の方向にある、強い電波源である[いて座A*]が、地球から見たときの銀河系の中心」と分かった。しかし、いて座の図解をいくら見ても「いて座A*」がない。可視光線を出さない星だから記載がないのかと思った。本を読んでいたら、さそり座といて座の間、東西南北で言うとさそり座の尻尾の天頂方向と言った方が良いのではと思う所にあった。だったら、「いて座の矢の先、さそり座の尻尾の上」と書けよと思ったが、星座区分は境界線で定義するそうで、[いて座A*]は[いて座方向]だそうです。これって常識なんでしょうかね。こんなことでかなりの時間がかかった。さらに、星座のどの位置に銀河系の中心か知らなくても求めることができた。ブツブツ
注意)以下、小数点以下のない角度は、Mitakaの結果を私が計測したもので正確ではありません。
さて、銀河系の中心、地球、太陽の順番に一直線に並ぶのは、1年に1回あるのだが、それは、2019/6/19 であるとの記事を見つけた。
しかし、赤径座標系によると、一直線に並ぶのは地球を中心春分の太陽の位置を0°とすると、赤経266.4051°(2000年基準)。赤経は、時間とは逆向きに大きくなるので、春分から(360°- 266.4051°)進んだ日に一直線に並ぶ。地球の軌道は楕円形で、太陽からの地球までの距離は、近日点:1億4,704万km、遠日点:1億5,204万km、つまり最大 3.4%のずれがある。これを無視して、きれいな円だとすると、必要な日数は
日数= (360-266.4051)/360 * 365.2422[1年の日数]=94.9577977355日 = 94日22時間59分
2019年の春分は 3月21日6時58分 なので 一直線に並ぶのは 6月24日 5時57分。
現代は、遠日点と夏至が近いので1日に進む角度が小さくなる。したがって、一直線に並ぶ日は6月24日より遅くなると推測される。 しかし、これは、天の赤道と黄道を混同している可能性がある。つまり、誤った推測のようだ。
一方、私が持っている地球儀の付録のような精度の悪そうな天球儀によると、一直性に並ぶのは8月1日ごろ。なぜだろうと 天球儀を観察すると、午後9時の南中日付と書いていた。ということは3時間の誤差なので 3/24*12か月=約1.5か月のずれ。6月中旬でよさそうだ。また、いて座A*の位置は冬至から赤経で0.2h 秋分点側なので、夏至(2019年6月22日0時54分)の0.2h/24h*365.2425[日/年]=3.0日くらい前となる。つまり、2019年6月19日0時前後に一直線に並びそうだ。(1日は赤経で0.066hなので1日は許容誤差。さらに夏至のころ地球は太陽から最も遠いあたりにあるので、1日に進む角度は小さくなるので6月18日の可能性もあるがここはホームページの情報に従う)
※天球儀で冬至がなぜ実際の夏至になるのかは、後述の地球儀の写真の
説明をヒントに各自考えて下さい。本当に天球儀は素人に判りにくい。
そして、前述のMitakaを使って調べると2019/6/19は正解のようだと思った。
前述のMitakaを使って正面図を作成すると次のようになる。
正面図(公転面の北、ほぼ地球の北から見た図)
投稿のためデータを整理中に、銀河面と公転面の交線は、
「銀河系の中心、地球、太陽の順番に一直線に並ぶ線」
ではないことに気が付いた。つまり、太陽と地球と銀河系の中心が一直線に並ぶ日の情報は不要だ。さらに、6月19日が公転面上で一直線に並ぶ日であるかどうかも疑わしい。何回目の試行錯誤だろう。
求める交線(銀河面と地球の公転面の接戦)は、後述の側面図作成で見つけた、冬至から12時間後だった。12時間では、近日点でも0.5度程度の傾きなので、夏至と冬至を結ぶ線上ということで、作図した図が下記です。(黄色の線はMitakaで横道を表示されたものだが夏至冬至ともほんの少しずれがあるようです) 銀河系中心方向の矢印は、太陽系のずっと上(北上空)から銀河系を見た図の矢印を平行移動させたものです。(以下同様の方法で作図しています)
側面図(銀河面と公転面の交線の延長線上から見た図)
今回は、銀河座標(銀経・銀緯)を前述のMitakaで表示させた。
作成方法だが、銀河面上つまり銀緯0度のライン上に、地球と太陽が重なるように、日時と視点を調整して作成した。あまり細かく行っても意味がないので、夏至の時刻(2019年6月22日0時54分)から、1時間づつ変化させて求めた。すると夏至の9時間後であることが判明した。(しかし、後日、冬至の時点の方が角速度が大きくさらに太陽に地球を重ねるので測定しやすい事に気が付いた。すると、冬至の12時間後であった。12時間程度は許容誤差ということで図は変更していません) つまり、この日時が銀河面と公転面の交点のはずである。その結果、公転面と銀河面の交差角度は測定すると60°となった。天文学辞典http://astro-dic.jp/galactic-plane/に「(銀河面は、)黄道面に対しても約60.2°の傾斜を持つ。」とあるので正しいようだ。
注意)Mitakaでは、銀河座標は太陽系から見たときは正しいようだが、
太陽系を遠く離れれば、枠が小さくなるはずだが変化しない。
そのため、銀河系全体を表示したときに銀河系の中心からずれます。
平面図(太陽の手前側に春分の地球を重ねた図)
正確には、正面図の交線(夏至から9時間後の地球と太陽を結ぶ線)を中心に90°回転させる必要があるが、春分の日に太陽と地球が重なるようにして作成した。大きな誤差はないと思う。
さて、私の結論では、公転面と銀河面の傾きは、60.2°でしたが、なぜ、62.6°と書いたホームページが多々あるのでしょうか? それは、私も、だまされた天球儀にあると思います。
J2000年分点のデータを水色網掛けのデータで加筆。 さらに、横道を加筆しました。
(1分=0.25度)
この62.6°を使ったと思いますが、これは、地球の赤道と銀河面の傾きです。欲しいのは公転面つまり横道との傾きです。
横道は、春分点と地球の中心とを結ぶ線で接触し、地軸の傾きとなるので23.44°傾いています。
これら天球儀は、地球の中心に人がいて観察するための地図のようなものです。つまり、そのため、太陽が動く向きが逆になるし、宇宙の外から見た図になります。そのため、地動説で設計図(第三角法)を書こうとすると非常に難しい。さらに、経度は[24時間]表示、緯度は[度分秒で]表すので、素人にやさしくない。と怒ってもしかたない。しかし、天空に見える星は何かを知るには24時間表示の方がよいのかもしれない。
計算ではなく実際に角度を測る方法がないかと考えたら、家にある地球儀に2つのラインを糸で付けることを思いつきました。
かなり精度の悪い作りですが、2つの糸の角度はめでたく約60度になりました。
そして、写真では夏至から約0.78度進んだ所に交点があります。時間にすると
0.78/360*365*24=19時間
前述の側面図作成時は 12時間後との結論だったので、まままあの精度だと思います。
「あれ、赤道より下(南側)にあるから冬側で、
しかも、公転面と銀河面の傾き方が、前述の図と逆では」
と思う方もいると思います。これは、地球儀を使った錯覚が原因で、本来は白い球を使用しなければなりません。そして、中心には太陽が、そして表面の公転面(横道)を地球が動くとして見て下さい。太陽から見ると地球が一番下(南側)に見える時が夏至となるので、上記写真は夏至あたりの位置を示します。そして、側面図は、太陽から夏至の地球を見て銀河県の中心をみた図、つまり、球の中心から見た図なので裏返した図(左右が逆)、つまり傾き方が逆になるのです。
判りにくいので、天球儀を手作りしました。かなり、精度は悪いですが、こんな感じです。
後方のパソコンの画面は「写真を楽しむブログ」にある
「2020年6月21日0時の天の川の方角と位置」
https://select333.com/2020-amanogawa-june/#toc_id_3
写真ではピンとがあっていないためよく判らないけど、実際は非常にきれいな写真です。
※2020年は6月21日 6時44分が夏至
これを見るとなかなか良い感じです。
さて、面倒なことしなくても、三角形の内角の和は180度の公式で求まるのではと思う人がいると思います。
しかし、求めると39.08°実際は60.2°。なぜ違うのか? それは、球面上にあるからです。
これを計算するには、中心角を計算しさらにsin,cos などの三角関数を使わないといけないので断念しました。
次は、公転面の半径が2mくらいの模型を野球場の中心に置き、フェンスに地球から見た銀河系の写真か絵を貼って実際の映像と同じか実験してみたいな。チコちゃんやってくれないかな。
他力本願状態となりましたが、ほぼ解明できて私的には非常に満足です。
付録)手作りで天球儀を作ろうというもの好きのため
① 赤道面は透明な板、できればすべて透明な板で作成した方が良い。
②天の赤道と公転面(横道面)を春分点で 23.44°で交差させ、
それに銀河面を半円にして天の赤道面に2枚付ける。
片方の銀河面には、赤道から対赤道差票昇交点 -33°の方向に
銀河系銀河系中心の線を引く。
③下記の図のようにくり抜いて位置決めし、その後横道面のくり抜いた部分を埋める。
あるいは、該当部分に切れ目を入れた公転面をもう一度作成する。
④角度を正確に出すために、指定角度の三角柱を準備した方が
きれいにできると思う。
【2020/12/3追記】
側面図で、銀河面と公転面の交点の銀経0.39h(5.8度)目測は、銀河面上で公転面の交線と太陽と銀河系の中心の角度だと気が付いた。そこで、計算により銀河系の中心への角度を求める。
上の図で△AOZは銀河面上にあり∠AZO = 5.8度である、そして、OZ = 1 とする
△BOZは公転面上にあり正面図である
△COZは平面図である
∠AOB = ∠OAC = 60.2度
AO = tan∠AZO
tan∠BZO = BO = AO・cos∠AOB
したがって、∠BZO = 2.89度 = 約3度
(正面図で0.5度を無視したので有効桁数を1桁にした)
tan∠CZO = CO = AO・sin∠OAC
したがって、∠CZO = 5.04度 = 約5度
ほぼ、図からの計測と一致している。めでたし、めでたし。
【2020/12/6追記】
インターネットで調べても判らなかったが、考えた末、太陽と春分,夏至,秋分,冬至のなす角度は90度(直角)であるとの結論になった。なぜなら、地軸の傾き方向と大きさはいつも変わらない。夏至と冬至は太陽の向きと同じ方向、春分と秋分は太陽の方向と垂直になるのでお互いは垂直になるはずだからだ。それにしても、近日点と遠日点の距離の違いは、わずか3.4%であるが、夏至から秋分までの時間と、冬至から春分までの時間で5.3%ほど差があるとはちょっと驚きです。でも、ケプラーの第2法則「惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積(面積速度)は、一定である。」を考慮すれば当然か。
(下記の図は遠日点の傾きも楕円も強調して書いています)