女性は腕時計を付けるとき、文字盤を手首側（内側）にする人と、手の甲側（外側）にする人がいます。私が中学高校生だった1970年ごろは女学生をはじめ殆どの女性が内側に付けてました。しかし、2000年ごろから男性と同じく手の甲側にする人が多いように思います。
内側に着けると時計を見るときに脇を開く必要がありません。脇を開かないしぐさは「女性らしい」「奥ゆかしい」ものとして日本人に定着していました。もともとは、女性用の着物には脇の下に切れ目が入っていたため、脇を開けてしまうと、隙間から胸が全部見えてしまうという問題点があり、女性はなるべく脇を開けないようにしていたので、それが女性らしい奥ゆかしいしぐさと認識されたためとの事です。外側に付けると時計を見るときどうしても脇が開いてしまいます。そこで、内側に着けている人が多かったとの説が有力です。
では、なぜ、2000年ごろから男性と同じく手の甲側にする人が多くなったのでしょうか。
ここからは、私の記憶の範囲なので間違いがあるかもしれないので、利用するときはご自身で検証してください。
1970年ごろ地方では、女学生をはじめ殆どの女性が内側に着けてました。下記はマクドナルド日本１号店開店時(1971年8月銀座)時とその再現CMで宮崎美子(熊本市出身）が中学生を演じたときの写真。OLらしき人は外側に時計をつけている。もっと調べれは多くの人の腕時計が判るかもしれないが、多くの写真は人物が小さくしか映っていないので詳細分析できなかった。
テレビドラマ『俺たちの旅』（1975年10月から1976年10月)では、山下洋子をはじめOL達は外側に着けていました。ということは東京ではこの頃OLは外側に着けるのが一般的だったかもしれない。（OLは、1985年放送の『俺たちの旅 十年目の再会』のシーンの記憶違いの可能性もあるが、下記の写真は1975年の大学４年次のシーン）
テレビドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年7月-9月)で17年前つまり1987年ごろの女子高校生を演じた本仮屋ユイカがインタビューで、
「私が高校生の時は文字盤を外側に着けていたが、ドラマでは内側に着ける」
と言っていた記憶があります。本仮屋 ユイカは、1987年9月8日 生まれ東京都目黒区出身なので、東京だから外側なのかそれとも2000年代に入ったためなのかは不明です。しかし、ドラマの設定は地方なので地方では1987年ごろは、内側に着けるのが一般的だったと思われます。
参考）セカチュー編
テレビドラマ『東京ラブストーリー』(1991年1月-３月)で鈴木保奈美演じる赤名リカがしていた腕時計は男性用であり、外側に着けていました。ちょうど女性が男性用の腕時計をする人が増え始めた時期でした。さすが、トレンディードラマです。
カシオの腕時計G-SHOCKが1990年代前半にブームとなり女性も着け始めました。文字盤が大きくて内側に着けると邪魔になるので女性も外側に着けるのがファッションになりました。その後、1994年に女性向けのG-SHOCK(DW-520)も誕生しました。
1990年ごろ？、女性の綺麗で細い腕と腕時計だけの非常に印象的な女性用腕時計のテレビCMがあった記憶があります。この時、腕時計は外側に着けていました。
昔のドラマや高校の卒業アルバムを研究すれば何か分かるかもしれない。
追伸）
岡田奈々（1959年2月12日生まれ)のポスターで「中学生の時計よ」と印刷されたセイコーの腕時計は外側にしていた。ちょっと驚いたが、CMでは腕時計を強調するため古くから外側にしていたのかもしれない。これも研究テーマになりそうだな。
追伸２）
週刊現代2019年4月6日号
いつの写真かわからないが吉永小百合
(1945年3月13日生まれ東京都渋谷区代々木西原町出身）は、
1957年（昭和32年）デビュー。1959年（昭和34年）に映画デビュー。
写真の雰囲気は２０歳くらいなので1960年代半ばか。腕時計は外向きだ！！
東京では、かなり早くから外向きに腕時計を着けていたのだろうか
以上のことから、
「東京のOLは、男女雇用機会均等法が施行された
1986年より以前から男性と同様に働く意識が高かった。
そして、仕事上で、時計の文字盤が傷つかないように
外側に腕時計を付けていた。
つまり、早ければ1960年代、遅くとも1970年代後半には
東京では、外側に着ける女性が多かった。
そして、1990年代のG-SHOCKのブームとテレビCMで
地方でも外側に着ける女性が増えた。」
と私は推測しています。しかし、サンプル数が少なくて確かなことが言えない。
追伸）
2024/06/09 読売新聞記事「あれから オープン当初は閑古鳥だったマクドナルド１号店」より
1971年8月東京・銀座で開店したマクドナルド１号店の記事に由美かおるさんがオープン日に訪れた時の写真が掲載されていた。時計の文字盤は外側だった。
由美かおる(1950年〈昭和25年〉11月12日生 6歳から兵庫県川西市で育ち、大阪にある梅花高等学校中退 1965年ごろから芸能活動）
