保険契約後に急にお金が必要になった場合、急に保険料が払えなくなった場合の便利な制度についても紹介します。
契約者は毎月の保険料を払えなくなっても直ちに保険契約が失効するわけではありません。これまで支払ってきた保険料に基づいた猶予措置があります。
目次
1. 保険料払込猶予期間の制度
2. 契約が失効しても復活できる制度
3. 自動振替貸付
4. 払込保険への変更
5. 延長保険への変更
6. 復旧
1. 保険料払込猶予期間の制度
契約者が保険料を払込期月内に払わなかった場合でも猶予期間制度が設けられているため、契約が直ちに失効することはありません。
保険料払い込み猶予期間とは、契約者が払込期月を過ぎても保険料を支払わない場合でも、保険会社は一定期間保険料の払い込みを待つことになっている期間のことをいいます。猶予期間は、月払い、半年払い、年払いごとに異なります。
猶予期間中の保険契約は有効です。したがって猶予期間中に保険事故が発生した場合は保険金や給付金は支払われます。但し、契約者が受け取れる保険金額は猶予している保険料を引かれた残額になります。
なお、変額保険・変額年金保険・積み立て利率変動型終身保険、かんぽ生命保険は、払込猶予期間についての定めが異なります。
2. 契約が失効しても復活できる制度
猶予期間を過ぎても保険料の支払いが無く、さらに自動振替貸付制度がある場合において所定の期間が経過してもなお保険料が支払われないときは保険契約が失効します。
しかし一旦失効した保険契約であっても、失効後の一定期間内に保険会社の承諾と延滞保険料の払い込みがあれば契約を前の状態に戻すことができます。これを契約の復活といいます。
但し復活時には医師の診査や告知が必要となります。復活の責任開始期は契約の申し込みをする場合と同じとなります。また復活時の保険料は失効時と同額で配当も継続されます。
気を付けたいのは失効と解約は全くの別物である点です。保険契約を解約してしまうと復活は出来ません。
3. 自動振替貸付
自動振替貸付とは、保険会社が、保険契約の解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替えて契約を有効に継続する制度です。これは保険料を支払わないで猶予期間が経過すると契約が失効してしまうので、それを避ける手段として利用されます。
また自動振替貸付を受けた場合でも、保険会社が定める期間内に、払い済保険、延長保険への変更、保険金額などの減額、解約の請求があれば、自動振替貸付は無かったものとして、それらの手続きが行われます。
その他、受け取れる額よりも支払わなければならない額が上回ってしまうと契約が失効する決まりなどは、契約者貸付と同じ決まりとなっています。
4. 払い済み保険への変更
継続的に保険料が払えない事態となった場合に、払い済み保険や延長保険へ変更することができます。
払い済み保険へ変更する場合、保険料の払い込みを中止して、その時点における解約返戻金相当額で現保険契約と同種類の保険もしくは一時払いの終身保険または養老保険に変更します。変更後の保険金額は、一般的に原契約の保険金額よりも少なくなります。
税制適格特約を付加した個人年金保険は、後述する個人年金保険料控除の要件を満たさなくなるため、契約日から10年間は払済年金保険に変更する事が出来ません。
なお払済保険に変更した時は、原契約の各特約は消滅しますが、一般的にリビング・ニーズ特約は継続されます。
5. 延長保険への変更
延長保険とは、保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金相当額で原契約の保険金額と同額の一時払い定期保険に変更することをいいます。
延長保険の場合、原契約が消滅する点は払済保険と同じですが、一般的にリビング・ニーズ特約が消滅する点が払済保険と異なります。
また契約変更時の解約返戻金の多寡によって保険の内容が異なってきます。
まず解約返戻金が少なく、変更後の保険期間<原契約の保険期間となる場合は、変更後の保険期間の満了をもって契約は終了します。
次に解約返戻金が多く、変更後の保険期間>原契約の保険期間となる場合は、原契約の保険期間とし、満了日に生存保険金が支払われます。生存保険金は、元の契約の満期保険金より小さくなります。
6. 復旧
復旧とは生命保険契約を見直した後に原契約へ戻すことをいいます。すなわち、保険金の減額、払済保険、延長保険への変更日以後に保険会社の定める期間内であれば保険会社の承諾を得て原契約に戻すことができます。
保険契約の復旧には告知又は診査と復旧部分の積立金の不足額および経過利息を払い込む必要があります。