暑い夏が来ると
「土用の丑の日に鰻を食べてスタミナをつけよう!」
と騒ぎ始めますが、今回は土用の丑の日と鰻について
書いてみます。
まず、
●「土用」とは
中国古来の思想に「五行説」があります。
万物は「木」、「火」、「土」、「金」、「水」の5種類の元素から
なるという説で、各元素は「互いに影響を与え合い、
その生成盛衰によって天地万物が変化し、循環する」として
自然現象や社会現象などを説明します。
・ 相生(そうしょう)
順送りに相手を生み出して行く、陽の関係。
・ 相剋(そうこく)
相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係。
「五行説による5元素の説明図」
この5元素を四季に当てはめるにあたって、
「木行(木気)」を「春」に、
「火行(火気)」を「夏」に、
「金行(金気)」を「秋」に、
「水行(水気)」を「冬」に
当てはめましたが、そもそも5つのものを4つに当てはめる
無理があり、残った「土行(土気)」を“季節の変わり目”と
して各季節の終り(次の季節の前)の18日余りに割り当て
ました。
この期間を「土旺用事(どおうようじ)」と呼び、略して
「土用」です。
したがって、土用は年に4回存在します。
上記の5元素の説明からすると「土気」がバラバラに分断され
少々疑問ですが・・・。
そこで五行説で四方位や四季など4つ(4の倍数)のものを
説明するときには「土気」を中心にもってきました。
そして、「土」には「死んだものを土に還す」性質と
「新しい命を育成する」性質とがあり、一つの季節の終わりと
次の季節の始まりをスムーズに行わせるために「土気」が
働くと説明しました。 上手く考えるものです。
●「土旺用事」とは
まっ、ここまでは大らかに認めるとしても、次に余計なことを
考えました。 「土旺用事」です。
「土の気が旺(さかん)になり事を用うる」と読み、土の気が
最も働く期間で「土公神(どくじん)」という土の神が支配を
しており勝手に土をいじると祟りがあるとしました。
具体的には
・建築工事(土の上に家を建てること)
・土木工事
・井戸掘り
・庭いじり
などをすることを「凶」としました。
しかし、それでは一年の5分の1もの間「土いじり」が
できないことになり困るので、土用に入る前に着工した工事は
続けてもよいとか、「土用の間日(まび)」という日を設け、
この日は土いじりができるとしました。
都合よく考えるものです。
まっ、「陰陽五行説」は占いの道具としての設定にすぎない
のですから、変なのです、不思議なのです。
土用とはそんなものなのです!
がっかりしないで続きを読んで下さいね。
●土用の丑の日とは
もともと、「子」、「丑」、「寅」、「卯」、「辰」、「巳」、「午」、
「未」、「申」、「酉」、「戌」、「亥」の十二支は「日付」を表す
ために使われていましたが、「陰陽五行説」が出てからは
「日付」だけでなく、「年」、「月」、「時刻」、「方位」を表す
のにも使われるようになり、現在では後者の方が有名ですね。
「日付」に使われている十二支は12日毎に繰り返しますから
約18日の土用期間には1~2回現れることになります。
ちなみに、2020年の土用の丑の日は以下の通り。
・冬の土用丑の日(立春の前):1月23日
・春の土用丑の日(立夏の前):4月16日、4月28日
・夏の土用丑の日(立秋の前):7月21日、8月2日
・秋の土用丑の日(立冬の前):10月25日、11月6日
●土用の丑の日に鰻を食べるのは
では、土用の丑の日に鰻を食べるのはなぜでしょう・・・?
これにはいろいろな説がありますが、有名な話は
① 平賀源内説
冬が旬の鰻が夏に売れないので困ったうなぎ屋さんが
平賀源内に相談したところ、もともと丑の日には瓜・
梅干し・うどんなど「う」の字のつく食べ物を食べると
良いとする風習があったので「本日、土用丑の日」と
達筆で大書きした看板を出したところ、博学で有名な
先生が言うのだから鰻は栄養があり夏バテに効くと、
これが大いに受け繁盛し今日まで言い伝えられて
います。
② 春木屋善兵衛説
神田和泉橋通のかばやき所・春木屋に大名の藤堂家から
旅に出るのに蒲焼が欲しいと大量の注文がありました。
主人・善兵衛は子の日、丑の日、寅の日の3日に分けて
鰻を焼き、土蔵に3日間貯蔵したところ丑の日に焼いた
鰻だけが色合い、風味とも変わらなかったので丑の日に
焼いた鰻を藤堂家に納めお褒めをいただいたそうです。
それ以来、「丑ノ日元祖」の看板を掲げ繁盛しました。
「江戸買物独案内」に紹介されています。
③ 大田南畝説
平賀源内同様に当時有名人であり、アイデアマンであった
大田南畝がうなぎ屋から店の繁盛方策を頼まれ
「土用うなぎは夏バテに効果があり、特に丑の日は
食あたりしない」と宣伝させた。
などがありますが、どれも確たる証拠はないようです。
「職人尽絵詞(しょくにんづくしえことば)」部分
以上のように、鰻を食べることが有名になったことから、
「土用の丑の日」と言えば、夏場だけを指すようになりました。
同じく、年に4回ある節分が立春前の節分だけを指すように
なり、最近では恵方を向いて海苔巻き(恵方巻)をかじる
ようになったのと似ていますね。
どちらも、商売! 商売!
今年は夏の土用の丑の日は7月21日と8月2日の2回
ありますよ!
おわり








