北海道・北竜町の米、――

おぼろづき

きょうのテレビ番組「満天 青空レストラン」で紹介された北竜町のブランド米「おぼろづき」を見た。稲穂が見えるやわらの田園風景が写っていた。田圃に入ってみんなで稲刈りをする。稲の茎が思ったほど大きくない。

「茎を高くすると、台風にやられてしまいます」という。ははーん、窒素肥料を控えたのだなとわかる。稲のからだに栄養分を与えるより、実のなるほうに栄養分を与えるためだろうか。手のひらに稲穂をのせると、重々しい感じがする。

その稲を刈るシーンがあらわれた。稲の茎がまだ青々としている。

きょうは、10月22日。――日本テレビ系の番組で放送されているのを偶然見た。いつの収録だろうか。稲刈りにしては、ちょっと遅い。それよりも、むかしのことがなつかしくなった。黒く垂れこめた北海道の雲の下で、青空レストランがはじまった。農家のお母さんが、大きな鍋を持ってきて、そこに「おぼろづき」を入れた。そして水をたっぷり流し込み、さーっとすすぐようにとぐ。米の表面を傷つけないように、あまりごしごしやらない。とぎ汁が白く濁っていても平気だ。こうして1時間ほどうるかす。米がふぁーっとして柔らかくなる。米が宝石たみいに透き通って見える。

それをお釜で炊く。火は、薪を燃やす。はじめちょろちょろ中ぱっぱ。……そうしてできたご飯だ。フタを取ると、ふぁーっとした甘い香りが匂いたつ。

「おぼろづき」の特長は、ねばりがあることだという。うるち米のアミロースが20パーセントに対して、「おぼろづき」は14パーセント。低アミロース米として人気があるそうだ。それだけねばりがあり、甘味もあるというわけである。

甘味は、稲穂から直接取って、そのまま食べても甘味を感じるという。

おいしいその秘密は、お米のでんぷんに含まれているアミロースを含む割合が少ないことである。少なければ、それだけねばりがあるというわけである。新潟のコシヒカリに匹敵する評価を受け、いま、北海道・北竜町米ブランドを支えているというニュースだった。


「お父さん、食べてみたいよね」とヨーコがいった。

「北海道へ行ったら、食べようよ」というと、

「行かなくても、買えばいいんじゃない」という。

「いくらかしら?」

「5キロで、3000円だって、いってたよ」

「そんなに高くないわね。お隣りの、内藤米店から買えないかしら?」といっている。

「それとも、お米のカードを買って、やわらに送ってみる? 5キロ買ってみる?」とヨーコはさっそくその気になっている。

きょうは、北竜町の風景が見られただけでも幸せだった。