風花のなか 生きている | 田中トシオのあったかぁい元気
初冬の中 久しぶりの故郷に帰った
山古志の棚田に
悠久の時を駆け抜ける風は頬に痛い
人は取り入れも終わり 長い冬に備えている
もう引く水もなく 刈田の田んぼのイネ株だけが
行儀よく並んでいる
落ちわらが 土と同化しはじめた
茶色の世界の中で少しの緑があった
刈り取られ 朽ちはじめた
稲カブから芽が出ているのだ
とても弱弱しいが 確かに息づいている
稲穂をつけれるわけでもでもないのに
みぞれが降り 風花が舞う
もうすぐ根雪にかわり
深い雪の下に埋もれてしまうのに
知ってか知らずか
それでも生きている
田中トシオ