5階建ての結婚式場に併設されたフレンチレストランを教場にして、「エッセー塾」をやつてみるかーー。
をかしなことを考へ出したのは、12年間続けてきたカルチャーセンターのエッセー講座が、突然、センターの閉鎖で継続できなくなつた末の窮余の策でした。
その最初の塾が、先週3日(土曜塾)と今週5日(月曜塾)に計12名(待機が3名)で開校できました。
1期3か月で6回講座、毎月第1、第3の月曜、土曜開塾で、講座は1時間半、といふ形式はカルチャーセンターと同じです。
前と変はつたのは、会場がレストランなものですから、ランチとディナータイムを避けて、講座時間を午後2時半から4時までと、1時間ほど後にずらした点だけです。
「レストランで塾」と聞くと違和感がありますよね。
お客さんが食事をしたりワインを飲んだりしてゐる傍らで、渋い顔をした一団がエッセーを朗読したり批評し合つたり、はたまた老講師が「エッセーの構成」とか「ちよつと気取つて書け」「文章にシンコペーションを」「語彙を増やす術」など講義する光景を想像すると、だれでも「大丈夫なの?」といふ気がします。
ぼくも最初、それを懸念しました。教場さがしを始めた当時、最寄駅からの立地や、「第1、第3月曜、土曜」の長期安定的な会場確保がままならず(図書館や公民館など公共施設は毎回抽選といふところが多いです)、たうたう最後は馴染みのフレンチに泣き込んで、“レストラン塾”を決断したときは、はたしてどんな雰囲気の講座になるのか不安でした。
「先生、エッセーを鑑賞するには、学校みたいなカルチャーセンターよりも、店内に緑はあるし、珈琲やジュース片手に気楽に話ができるここのほうが適してゐますね。やつてみて初めて分かりました」
日ごろ気むづかしいことを言ふ元専門商社マンの老人や、クルーズ船の旅行が趣味の女性など、受講者の多くがそんな感想を語つてくれたのは嬉しかつたです。時間が来ても、みんな席を立たうとしないのにはこちらが焦りました。
しかし、背後についてゐる新聞社が期ごとに講座内容を新聞折り込みのチラシで宣伝してくれたカルチャーセンターとちがひ、個人塾には宣伝の手段がありません。
こんご、今までのやうに長続きさせるためには、受講者が口コミで友人知人に宣伝してくれないと尻すぼみになるのは目に見えてゐます。
まあ、喜寿の塾長、さう気張ることもないので、せいぜい受講者と一緒にエッセーを楽しみます。
