週刊朝日の編集長が部内のセクハラ疑惑で懲戒免職になつたのは、いかにも朝日的な出来事です。
週刊誌といふのは、実は多くの外部ライターのお陰で成り立つてゐます。昔から「トップ屋」と言はれた特ダネを持ち込むフリー・ジャーナリストもゐれば、たまたま事件事故に遭遇したカメラマンの持ち込む写真で巻頭グラビアの数ページを飾るなんてことも珍しくありません。
とくに新聞社系の週刊誌では、社員スタッフは30人から40人で、これとほぼ同数の外部ライター、カメラマン、校閲者などが存在します。
今回、週刊朝日の編集長が目を付けたのは、いはゆる契約社員の女性ライターです。
新聞社系の週刊誌は、新聞社から出向してくる60歳前の人間は新聞社の給与体系ですからほどほどの給料をもらつてゐますが、その反面、週刊誌が独自に雇ふフリーライターや契約記者の待遇は、出向者の半分程度の報酬で働いてゐます。「正社員にしてやる」は最高の甘言なのです。
しかし、ライバル誌の元編集長から言はしてもらふと、いかに美人の外部ライターがゐても、なかなかこの誘惑の手は使へません。
一つには、新聞社から出向してきた元新聞記者だといふプライドがあります。さらに根本的なことは、「高い報酬が欲しいだらう。正社員になりたいだらう。だつたら言ふことを聞け」 なんて下品なことは、いくらその場で欲望が高まつても、五十男がさうさう言へるセリフではありません。
今回の週刊朝日編集長には5人の女性の連判状が突き付けられたと言ひます。朝日新聞社が「重大な就業規則違反」として一発で懲戒免職にしたのはそれゆゑです。ふつう、新聞社では女やカネで不祥事を起こしても、最初は総務部付けに異動とか、北海道支社へ異動、など配置転換で様子をみるものです。
この週刊朝日編集長は、かねて北海道勤務のころも社会部記者時代も、この種の噂が絶えなかつたさうです。いはゆる「肉食系」なのですね。それでも昨年暮れ、例の「ハシシタ奴」問題で前編集長のクビが飛んだ後釜として、アエラの副編集長から抜擢されました。
ぼくはここに、いかにも「朝日的」な体質を感じます。いはば霞が関の高級官僚的な、仲間内の庇ひあひの体質です。
それを打破したのは、「週刊朝日の5レンジャー」--5人の女性記者でした。あらためて、女性は偉大であり、かつ恐ろしいと思ひました。
ちなみに申し添へますと、ライバル誌の編集長はそれほどエネルギッシュではありませんでした。
