夫婦で刺殺された元厚生事務次官の山口剛彦氏とは、30歳を少し過ぎたころ、厚生省の若手官僚と新聞記者といふ関係で知り合ひました。年齢はほぼ同じです。
僕が中央官庁で最初に担当したのが労働省、次が厚生省でした。今はこの二つの官庁が一緒になつて厚生労働省になりました。
よく記憶してはゐないのですが、当時、山口氏は年金局の課長補佐か何かで、記者クラブで年金問題のレクチャーがあると、課長に随いて会見室に来てゐました。
東大卒の白皙のエリート官僚、といふ風貌がまづ目立ちます。官僚にはよくあるタイプですが、どちらかといふと小さな声で、しかし歯切れよく話をします。
そのころからいづれ次官か社会保険庁長官、つまり厚生省の最高ポストに上り詰めることが約束されてゐるやうな、並みの役人とは違ふ印象を持ちました。
厚生省といふところは2年周期ぐらゐで健康保険と年金の問題に交互に取り組むのが主任務の役所です。僕が記者クラブに在籍したころは健康保険法改正がクローズアップされ、年金問題は背後に回つてゐましたので、山口氏のところにもそれほど取材に行くことはなかつたのですが、何年か後に僕が自民党担当だつたとき、国会内の廊下でたまたま山口氏とすれ違ひ、互ひに挨拶を交はしたのを覚えてゐます。
次官を辞めたあと、医療関係の法人に天下りし8年間理事長などを務め、この春、リタイアされてゐたやうです。
局長級以上の高級官僚は、在職中はそれほどでもありませんが、天下りしてからが待遇、退職金などで羽振りのいい民間会社のトップと同等かそれ以上の優雅な生活が保障される仕組みになつてゐます。
山口氏もこれから十年か二十年、年金問題の評論でも書きながら、ご夫婦で悠然たる老後を送る人生設計を描かれてゐたはずです。
晩秋の夕、自宅の玄関先で宅配便を装つた暴漢にめつた刺しにされて死ぬとは思ひもしなかつたことでせう。人間、どんな形で終末を迎へるか分からないものだ、とあらためて死を身近に感じました。
ちなみに、僕は今回の事件は、報道かまびすしい「連続年金テロ」とか「国家体制への刃」とか大層なものではないと考へてゐます。
捕へてみれば、民主党やマスコミの「年金批判」に踊らされた、ほんのつまらない人間の八当たり事件でせう。
僕が中央官庁で最初に担当したのが労働省、次が厚生省でした。今はこの二つの官庁が一緒になつて厚生労働省になりました。
よく記憶してはゐないのですが、当時、山口氏は年金局の課長補佐か何かで、記者クラブで年金問題のレクチャーがあると、課長に随いて会見室に来てゐました。
東大卒の白皙のエリート官僚、といふ風貌がまづ目立ちます。官僚にはよくあるタイプですが、どちらかといふと小さな声で、しかし歯切れよく話をします。
そのころからいづれ次官か社会保険庁長官、つまり厚生省の最高ポストに上り詰めることが約束されてゐるやうな、並みの役人とは違ふ印象を持ちました。
厚生省といふところは2年周期ぐらゐで健康保険と年金の問題に交互に取り組むのが主任務の役所です。僕が記者クラブに在籍したころは健康保険法改正がクローズアップされ、年金問題は背後に回つてゐましたので、山口氏のところにもそれほど取材に行くことはなかつたのですが、何年か後に僕が自民党担当だつたとき、国会内の廊下でたまたま山口氏とすれ違ひ、互ひに挨拶を交はしたのを覚えてゐます。
次官を辞めたあと、医療関係の法人に天下りし8年間理事長などを務め、この春、リタイアされてゐたやうです。
局長級以上の高級官僚は、在職中はそれほどでもありませんが、天下りしてからが待遇、退職金などで羽振りのいい民間会社のトップと同等かそれ以上の優雅な生活が保障される仕組みになつてゐます。
山口氏もこれから十年か二十年、年金問題の評論でも書きながら、ご夫婦で悠然たる老後を送る人生設計を描かれてゐたはずです。
晩秋の夕、自宅の玄関先で宅配便を装つた暴漢にめつた刺しにされて死ぬとは思ひもしなかつたことでせう。人間、どんな形で終末を迎へるか分からないものだ、とあらためて死を身近に感じました。
ちなみに、僕は今回の事件は、報道かまびすしい「連続年金テロ」とか「国家体制への刃」とか大層なものではないと考へてゐます。
捕へてみれば、民主党やマスコミの「年金批判」に踊らされた、ほんのつまらない人間の八当たり事件でせう。
