きのうは77歳で亡くなつた知人の告別式に参列しました。
午前11時からとのことでしたが、三十分近く前に到着、ご遺族に挨拶ののち、会場のロビーに飾られた故人をしのぶ写真や出版物の展示をゆつくりと眺めることができました。
ユニホームを着た年配の女性が近づいて来て、「飲み物でもいかがですか」と聞きます。
「コーヒーをください。おいくらですか」
小銭入れを取り出さうとすると、
「サーヴィスになつてをります。ごゆつくりどうぞ」
と言ふ。
最近はこんな葬儀所もあるのかと思ひながらロビーのソファでコーヒーを飲んでゐるうちに、館内に先刻からピアノの曲が流れてゐるのに気が付きました。
そのピアノがどうもをかしい。聴いたことのある曲ですが、演奏がスムーズでなく、ときどき音が滞つたりする。
ピアノの流れてくるのは「告別式会場」と案内されたロビーの奥の方です。見ると、若い女性が生演奏してゐます。
そのとき初めて気が付いたのですが、良く耳を傾けると曲は「わたしのお墓の前で泣かないでください」といふあのリズムです。
なるほどなあ、誰もが知つてゐて、しかも告別式にふさわしい曲目をよくぞ選んだものだなと感心したのですが、注意してゐると、次に引き始めたのは天童よしみの「ヨンドンサリノ……」だし、その次は北島三郎のヒット曲、さらに歌手の名前は覚えてないけれど男女の哀愁を歌つた艶歌、と次々演奏されるのは、比較的静かな、耳に障らない曲目ではあるものの、いはゆる演歌ヒットパレードです。
演奏する二十代の女性は時給いくらのバイトか知りませんが、何でもいいからピアノ演奏を流しておいてくれと頼まれたのでせうか。
ピアノは告別式開始直前まで流れました。
「去る6月28日は、本日ご会葬のみなさまにとりまして、大変悲しい日となりました」
ピアノの音が止むと同時に、これ以上ないくらゐ低音で荘重に切り出した司会者のことばもユニークでした。
告別式がすべて終了、出棺を待つ会葬者がロビーや玄関にざわざわと佇む間も、ピアノ演奏の演歌は流れました。
午前11時からとのことでしたが、三十分近く前に到着、ご遺族に挨拶ののち、会場のロビーに飾られた故人をしのぶ写真や出版物の展示をゆつくりと眺めることができました。
ユニホームを着た年配の女性が近づいて来て、「飲み物でもいかがですか」と聞きます。
「コーヒーをください。おいくらですか」
小銭入れを取り出さうとすると、
「サーヴィスになつてをります。ごゆつくりどうぞ」
と言ふ。
最近はこんな葬儀所もあるのかと思ひながらロビーのソファでコーヒーを飲んでゐるうちに、館内に先刻からピアノの曲が流れてゐるのに気が付きました。
そのピアノがどうもをかしい。聴いたことのある曲ですが、演奏がスムーズでなく、ときどき音が滞つたりする。
ピアノの流れてくるのは「告別式会場」と案内されたロビーの奥の方です。見ると、若い女性が生演奏してゐます。
そのとき初めて気が付いたのですが、良く耳を傾けると曲は「わたしのお墓の前で泣かないでください」といふあのリズムです。
なるほどなあ、誰もが知つてゐて、しかも告別式にふさわしい曲目をよくぞ選んだものだなと感心したのですが、注意してゐると、次に引き始めたのは天童よしみの「ヨンドンサリノ……」だし、その次は北島三郎のヒット曲、さらに歌手の名前は覚えてないけれど男女の哀愁を歌つた艶歌、と次々演奏されるのは、比較的静かな、耳に障らない曲目ではあるものの、いはゆる演歌ヒットパレードです。
演奏する二十代の女性は時給いくらのバイトか知りませんが、何でもいいからピアノ演奏を流しておいてくれと頼まれたのでせうか。
ピアノは告別式開始直前まで流れました。
「去る6月28日は、本日ご会葬のみなさまにとりまして、大変悲しい日となりました」
ピアノの音が止むと同時に、これ以上ないくらゐ低音で荘重に切り出した司会者のことばもユニークでした。
告別式がすべて終了、出棺を待つ会葬者がロビーや玄関にざわざわと佇む間も、ピアノ演奏の演歌は流れました。
