1月からカルチャーセンターで始めた「600字で思つたことを全部書く」講座に続いて、7月期から「歴史的仮名づかひで文章を書かう」講座もスタートすることになりました。

 「いまどき、旧仮名づかひを勉強しようとする人なんて、ゐるかしら」
 周囲からはさう冷やかされてゐたので心配しましたが、21日現在で4名の受講申込みがあり、とりあへず開講します。初日は7月7日(月)。今度の講座は午後7時開始の夜の講座です。

 「600字」講座もスタート時は3名でしたので、始めておけば噂を聞いたりして追々増えてくるだらうといふ、センター側と講師との何ら根拠のない期待からスタートします。

 「600字」講座も継続しますが、実はこちらの講座の方がやりたい講座です。

 学生時代から時代に逆らつて旧仮名を遣ひ続けて来て、当時は川端康成とか三島由紀夫とか旧仮名を遣ふ作家、評論家も珍しくなかつたのですが、2000年代に入る頃から急速に減り、本屋に行つても旧仮名の本を見ることは極めて稀になりました。パソコンの普及といふ事情もあるでせう。

 「旧仮名は日本人が約1000年に渡つて遣つてきた正統な仮名づかひで、戦後、国が押し付けた現代仮名遣ひはまだ60年の歴史しかないんだよ」

 「たとへば、『煽ぐ』を発音どほり『あおぐ』と表記したら、『扇(おうぎ)』が『煽ぐ』といふ動詞を語源に持つ関係が不明になる。旧仮名なら煽ぐは『あふぐ』、扇は『あふぎ』だから、扇が煽ぐの連用形から来てゐることは明瞭。旧仮名の方が語源に忠実なんです」

 親しい人には時にそんな話をするのですが、誰もあまり関心を示さない。やはり無為庵は、酒か女かお茶の話をしてゐればふさはしいといふ顔をする。

 この日本古来の歴史的仮名づかひを現代社会に少しでも広めたいといふ気持ちが、最近強くなりました。今では俳句や短歌の世界でしか用ゐられなくなつた歴史的仮名づかひを、老若男女、多くの人に、日常のプライベートな文章で遣つてもらひたい、そんな余計なお節介をしたい気になつたのです。

 旧仮名は決して難しくはありません。芝居(しばゐ)敷居(しきゐ)会釈(ゑしやく)机(つくゑ)など、通常、漢字を使用する言葉を除けば、旧仮名づかひのために新たに暗記しなければならない表記法・法則は、「でしょう」が「でせう」、「いる」が「ゐる」、「こういう」が「かういふ」など、百数十語に過ぎません。

 現に、このブログで親しくなつた尾道のお茶屋さんの女将「茶美ママ」など、ブログを通じて1か月ほどご指導したら、今では尾道の歴史・観光に触れた記事はほぼ完璧な歴史的仮名づかひで記述されてゐます。

 福田恒存の旧仮名関係の著書を取り寄せられたり、大学の講師でもある茶美ママの特別な努力はあつたにしろ、旧仮名の習得はそれほど難儀なことではないのです。

 「歴史的仮名づかひで日常の文章を個性的に、おしやれに書いてみませんか」

 講座のキャッチです。講師だけがやや気負ひ過ぎかな。