酉の市といへば、昔からコートをはふつて、寒さ除けにかるく一杯ひつかけて行くものだといふ思ひがありますよね。ところがけふのこの暖かさ、昼下がり、行き会ふ人はみな「異常気象ですねえ」が挨拶代はりでしたが、さうさう「異常気象」を気安く使つてもらつちや困る。
 地球規模で考へれば、あるひは100年、1000年規模で考へれば、近年の気象は少しも異常ぢやない。どうやら気象といふのは、短期的な「異常」が繰り返し繰り返しされて、ある一定周期の平均値が出るものらしい。
 マスコミはよく、「記録的な暑さ」とか「明治以来の雨量」とかいひますが、さういふものの繰り返しなんですよ、気象といふのは。毛の薄さや体重とは違ふんだから、2年、3年、10年単位なんかで考へてもらつちや困る。
 暗くなつてきた。さあ、”あたりまへの陽気”の酉の市へ出かけやうか。