私が電算室から出た理由 中編 | てぃーてぃーぜろいちの不定期日記

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個人的な趣味の日記です。どっぷりはまってしまったドルフィードリームを中心に、PCやゲームについて偏見一杯に語っていきます(笑)

<自殺願望>
専門用語がバンバン出てきてよくわからないと思います。
まぁ大変なんだねと思って頂ければそれだけで結構です。

99年11月下旬、同郷の同僚が体調不良を訴えて、救急車で緊急入院。
血尿が出て心配したが、数日でとりあえず復帰してくれた。
結石だったかなぁ、あまり詳しくは覚えていない。
無理はするなよと、週末は実家に戻るように促したっけ。

もうすでにその頃から自分たちを取り巻く状況は重苦しい雰囲気です。
無理をするなよ、という上司の言葉はほとんど無理をしないと達成できない、
いやできるのかすら見えない状況をなんとかしないといけない。
真綿で首を絞められる感じといってわかるでしょうか?
逃げることができない重圧に、精神的に休まる時間などありません。

そして12月に入ってやっと本番環境の新システムが納品されました。

私の方は、難航していた②発注系システムをほぼ完全理解し、不要部分の整理で
バッサリと切ってみて、それをまず現行システム上で稼働テストしていました。
ドキドキ物ですよ、自分が作ったシステムでないところを自分の判断で修正し
削除してしまう。発注系システムだから即お取引様に影響を及ぼすところである。
今までのプログラムを2/3ぐらいに圧縮しただろうか。もっと圧縮したかな?
さらに私は過去の履歴データの移行作業も始めていました。
これはとんでも無く大量にある。
過去10年以上の店別単品の納品履歴、販売履歴のデータである。
うちの会社のシステムは業界でも進んでいたので、過去の蓄積データもそれ相応に
大量に抱えています。
一昔前の映画なんかに出てくるコンピュータルームと言えば映画のフィルムのような
磁気テープがありますが、うちの電算室にも大量にあって外部の保管会社に委託
もしていました。何百本あったかな?データの移行プログラムは私が作ったけど、
あとはオペレーターチームに計画を立てさせたから詳しく覚えてないや。
汎用機ホストコンピュータと新本社ホストシステムPCサーバーをLANで繋ぎ
FTP転送で移行する。
少量データはGIGAMOを使い、大容量データにはDVD-RAMを使った。
1999年当時で最新デバイス使いまくりです。

既にこの頃、定時で帰宅するなんてまずあり得ない状態でした。
いつも0時をまわってからの退社。特に会社から一番アパートの近かった私が
鍵締めをしていましたかね。
すでに肉体的にもつらく、精神的にも追い込まれていましたが、やらなければいけない
できなければとんでもないことになる。
重圧のなかで刻一刻と無情にもせまる締め切り、真綿で首を絞められるような感覚で
神経が押しつぶされそうでした。

そして12月14日、年内最後の休みは実家に戻ってとりました。
そして私達システム開発陣を含む電算室は、残りで休むことなど考えられない
くらいの状況、本当の修羅場に突入して行きました。

12月15日、やっと新本社ホストシステムPCサーバーの全テスト環境が揃い、
残されている時間、寝る間も惜しんでテストするしかありません。
徹夜は2~3日に1度、徹夜しない日も午前2時や3時に帰れるなら早い方で、
4時か5時頃に仮眠にアパートにもどるような状況で、9時には出勤してました。

私はとりあえず出来上がっている①商品マスター更新管理システム
②発注系システムを納得のいく限りテストし、途中のデータを大量にプリント
アウトして現行システムのものと比較しまくりました。
ちなみにデータを見るといってもテキストデータではないし、
エクセル等のソフトにてデータの中身が見られる訳ではありません。
16進のデータなのでバイナリーエディターが必要です。

残された2週間で私は私の任された範囲については、徹底的にテストしました。
しかしいくら実行してもあまりに短いテスト時間に万全とはとても言えません。
それでも試しに動かしてみると意外とすんなりと動く物です。
へぇ~以外とちゃんと動くじゃないか、処理時間もダウンサイジングしていますが、
時間はほぼかわらず。
ちゃんと動いたこと、結果もそれなりに綺麗なものが出た。
少しは安堵しましたね。
もっとも結果については詳しく精査する必要はありましたが。
でもあまりにも回数が少なく不安を完全に払拭できるにはテスト回数は少なすぎです。
ともかく2000年1月1日という目に見えない巨大な重圧がのしかかっていました。
このまま本当にうまくいくのだろうか?
新しいミドルウェアJP1もまだ充分に理解できていない状態で心配は多数。
移行したプログラムはこれでよいのか?
移行するデータもこれでよいのか?
新しいシステムに移行して、データがどんどん違う意味不明なものに壊してしまう
恐怖が襲ってきます。
真綿で首を絞められている感覚が、目を覚ましている間ずっと付きまとう。
本当に生きた心地しませんよ。
東証一部上場企業の本社システムが最悪の場合壊れて無に帰すことになるのではないか
という重圧は、本当に耐え難い逃げ出したいくらいの物でした。
徹夜明けの打ち合わせででかけた時、名古屋駅のホームに立って貨物列車をやり過ごす際に、
今ここで列車の前に飛び出せばどんなに楽になるだろう、と本気で思いました。
あの時は単に徹夜明け身体が重くて足が出なかっただけのこと、もしかしたらあの時で
私は生きていなかったのかもしれません。

それはそれで良かったかも...とんでもないシステム移行方法を会社は取ったのだから
死人が出ても仕方がないです。
死人が出てマスコミ報道にでもならないと会社は事の異常さに気づかないのだから。

死んで楽になりたい。

自殺願望は本気でした。
今ある状況から逃げ出したかったけど、現実として逃げられない。
となると、楽になる方法を考えてしまってました。
自分が壊れる限界だったのだと思います。

たかだか1社員に重圧掛けすぎだって!

そしてついに運命の12月31日23時59分を迎えました。
もちろん全員が電算室にいましたよ。
電力会社のシステムトラブルとか、そういうことも想定されていましたから、
1時間ほど前から各種コンピュータの電源は順番に落とされていって、年をまたぐ
その瞬間は、ホントに全ての機器が停止して静けさがあたりを包んでいました。
そして2000年1月1日0時となりました。とうとうその時が訪れてしまいました。
10分ほど様子を見て、
「じゃあ始めようか」
機器の電源を投入しました。
もう戻ることはできません。
やるしかありません。
作成しておいた移行スケジュール通り、徹夜にて最終最新の各店舗から到着したデータを
PCサーバーに移行。結構これが時間がかかって仮眠を取りながら、朝7時に進捗を確認して
交代で朝食を取りに行くことにした。
元旦の朝に仕事の徹夜明けでファミレスに朝食を食べに行くことになるとは、思っても
いなかったですし、もう二度とない経験でしょう。

1月1日の作業は、データがうまく入らなかったりと思うように本番稼働にいたらず、
時間だけが過ぎていきました。しかしまだ余裕があります。
と言うのは店舗は休みなので、本社としては次の最新データが到着する2日の夜までに、
31日のデータの本社側の更新が完了すれば良いわけです。
しかも本社側から店舗に送るデータは年末年始なので多くはない。ほとんどない。
31日のデータの本社側の更新が始まったのは1日の夜遅くだったかな。
元旦の夜は流石に徹夜せず帰宅しました。
そして1月2日、急ぎではないデータの移行作業はまだ続いています。

私の出番は1月3日の午後、新システムで行う初めての「発注処理」。
全店から発注データが送られてきて、商品マスタと突き合わせ、取引先に渡すデータ、
物流センター在庫で渡すデータ、発注データの履歴管理、取引先の課金システム、
多々色々発注のシステムと言ってもいろんな事をここでやっています。
しかも取引先にしても、物流センターにしても送られたデータを元に在庫を引き当てて
出荷する作業の為に待っています。データの遅延は大変迷惑をかけます。
私の重圧はピークに達していますが、ここまで来ると腹も据わっています。
テストもある程度納得出来るほどは行ったつもりだし、何よりプログラムは全行を
読破して完全に理解していましたから、少なくとも何とかなると自信ありました。

一番最初のテストの話に戻ります。
100点絶対取るつもりで仕事はしないといけないのです。
95点や98点、ましてや99点でもダメなのです。
一ヶ所の間違いも許されないのです。
まさしくぶっつけ本番で100点を取れと言われているのです。

課長が聞きました。
「自信あるか?」

「ありますよ、でも何が起きるかわりませんから」

店舗からのデータ送信自体が若干定刻を過ぎていて私のイライラは募りました。
ただでさえものすごい緊張感なのに落ち着きません。

遅れて全店の発注データーが揃いました。
オペレーターが私に確認に来ます。
「始めていいですか?」
「もちろん、始めてよ」
もの凄い、緊張感のピークです。
心臓バクバクものです。
ついに開始しました。
途中で表示される件数は、ほぼいつもの処理件数を表しています。
順調!、問題なしです。
何度か検証の為に処理を止めて、実データを直接確認してみました。
しかし問題は見られず処理は進んでいきます。
案ずるより産むがやすしと言うところかな。
処理自体は、30分遅れ?1時間は遅れていないと思う。

そんな時、私の目に出てはいけないエラー件数の表示が!
「何これ?!」

ラッパ飲みさやか
ネタが重いのでうちのさやかで笑って下さい(笑)