IP68などの防水性能表記について | しょうちゃん オフィシャルブログ

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先日、友人がiPhoneXSを水没させてしまい、AppleCareで交換した。iPhoneXSは、IP68の防水性能なのに、なぜ、水没するのだという話があり、、、、このIP○○という表記が何を表しているかを、友人に話す機会があったのです。


みんな、あんまり正確に知らないようなので、ちょっとまとめておきたいと思います。



「IP○○」は「IPコード」と呼ばれます、国際電気標準会議が規定したもので、防水・防塵性能を表わします。日本では、JISが採用しているので国内製品でもよく使われています。

「IP」のあとに続く2ケタの数字のうち1つ目(前の数字)は防塵性能の等級を表わし、2つ目(後ろの数字)は防水性能を表わしています。たとえばiPhoneXSの防水防塵性能は「IP68」です。これは防塵等級が「6」で防水等級が「8」というです。最近はハイエンドのスマホはIP68という等級のものが多いですよね。私が愛用しているPixel3もIP68です。

ヘッドセットなんかだと防塵性能は未検査で防水性能だけを評価しているものがあって、そういうやつIPX4とかIPX7なんて書かれているものもあります。

あんまり小さい数字のものを表記することはないので、一般的に4以上の数字がパッケージなんかに表記されていることが多いのではないかと思います。



前の数字の防塵性能は、以下のように定められています。

0 保護なし(※テストを行なっていない)
1 直径50mmを超える固形物や人体の手足などが内部に侵入しない
2 直径12.5mmを超える固形物や人体の指先、または80mm以下の体の一部などが内部に侵入しない
3 直径または厚さが2.5mmを超える固形物が内部に侵入しない
4 直径または厚さが1.0mmを超える固形物が内部に侵入しない
5 粉塵が内部に侵入することを防止する。少量の粉塵が侵入しても、動作に支障をきたさない
6 あらゆる大きさの固形物、粉塵が内部に侵入しない



後ろの数字の防水性能は、以下のように定められています。

0 保護なし(※テストを行なっていない)
1 鉛直(重力の働く方向)に落下する水滴を受けても、有害な影響がない
2 対象物が正常な取り付け位置から15°以内の向きで傾いているとき、鉛直に落下する水滴を受けても有害な影響がない
3 鉛直から60°以内の範囲で水滴が噴霧状に落下しても有害な影響がない
4 すべての方向からの水の飛沫を受けても有害な影響がない
5 すべての方向からいきおいのある水流を直接当てても有害な影響がない
6 波浪、またはすべての方向から強いいきおいの水流を受けても有害な影響がない
7 一定の水圧で一定時間(30分間)水中に浸かっても有害な影響がない
8 連続的に水中に置いても有害な影響がない。水没の条件については製造者が規定する。原則的に密閉構造であること




未検査は0なのですが、0というのが印象が悪いからなのかなー、Xで表記する方が一般的なようです。



IP68だと「あらゆる大きさの固形物、粉塵が内部に侵入しない」ことが保証され、なおかつ「連続的に水中に置いても有害な影響がない」ということになります

これなのに、土砂降りの雨の中にいたら水没しちゃうのおかしいじゃーんというのが良くある反応なのですが、それにはわけがあります。




IPコードのテストでは、通常は真水が使用されます。多くの場合、試験対象(スマホなどのことです)との温度差が5度以内の水道水が使われます。したがって、日常生活で代表的なところでお風呂のお湯や、充満した水蒸気などはダメです。さらに水溶液はダメとされているので石鹸水はダメでして、石鹸にも気をつける必要があります。レジャーなんかを考慮すると、プールには大量の塩素が溶けているのでダメ、さらに海の海水は塩水なのでダメ、、、ということになります。




友人の場合も、この暑い時期に豪雨の中にいたようですから水蒸気が厳しかっただろうということと、時間が長時間だったことが予想されます。



さらに、スマートフォンというのは充電部分が元々開いているので利用しているうちに、防水防塵性能が劣化しがちです。みなさんも大雨の中や、プールや海などでは、念のため100円ショップなども売っている防水ケース(ジップロックでも充分ですが(笑))に入れておくなど対策した方がいいと思います。


ちなみに、AppleCareや、ドコモのケータイ保障サービス、それに類するケータイキャリアのサービスに加入していれば、有償となりますが、水没してもスマホを交換してもらうことが可能です。もっとも、データーは普段からきれいにクラウドにバックアップしておかないと失われますから、要注意ですけどね。


これから夏でプールや海に行くシーズンです。「防水だから大丈夫〜」とは思わない方がいいですよというお話でした(笑)