そんなわけで、素朴な子供の疑問シリーズの第6弾です。
ボールはどうしてころがるの?
(質問者: Sさん、3x才、一児の母(ヘル速民))
(質問者: Sさん、3x才、一児の母(ヘル速民))
だそうです。
ちなみに質問の採用が2度目ですね。おめでとうございます。5回採用されると殿堂入りですが、殿堂入りするとどんな利点があるのかは現時点では不明です。
サッカーのワールドカップも近いことですし、今回はこのボールをテーマにブログを書いてみましょう。
ところで、ボールが転がる仕組みを直感的に理解するために重要なことは、
地球の上では基本的には、どの物体も最終的に止まった状態で安定する
ということを了解しておく必要があります。
どんなに力いっぱい投げたボールも外から力が加わらなければ、最終的に停止します。大人はわかると思いますが、空気抵抗や摩擦などによって加えたエネルギーが消費されて0になると停止するわけです。俗に、こういう状態を「安定」とか「安定状態」と呼びますが、このブログでは「安定」と呼びましょう。
「ボールがどうして転がるのか?」ではなく、これから説明するのは「転がるとはどういう状態か」ということですが、これがわかると転がるものと転がらないものの違いがわかると思います。
それでは、図を見ながら考えましょう。
完全な平面上に、ボール(完全な球体/横から見ると円)と、サイコロのようなもの(立方体/横から見ると正方形)が置かれている状態を考えましょう。
地面に垂直な線と、地面に平行な線を引いて球と立方体の中心(重心)の位置がわかるようにしています。力が加わらない限り、球も立方体も、この状態で安定します。
ここに赤い矢印で示したように、地面と水平に重心の横から力を加えたとします。
こんな状態になります。
ところで、重心から垂直に地面に対して細い赤い線を引いています。この状態が重要です。
球体の場合、力を受けて移動した状態でも力を入れる前の「安定」の状態と、立体と地面の関係の間で重心の位置が変わりません。
それに対して、立方体は図2のように非常に不安定な状態になります。図を見ればわかりますが、この状態で加える力を0にすると、重力によって、重心が元の位置に戻ろうとします。力が加わって移動した先で安定の状態を得ることができません。
球体や円の、こういった力を加えて移動したどの状態でも安定状態が継続することを、準安定と言います。
動いたのに安定が常に継続していることを準安定と呼ぶと思えば良いです。
立方体は元の位置に戻ってしまうけど、球体は元の位置に戻る必要がない、この状態の繰り返しが「転がる」という動作なのです。
こういったことを物理学的な用語などを使って説明すると難しいでしょうが、実際に小さい子ども用のふわふわのボールとサイコロみたいなものを目の前に置いて、実演してみれば、わりとすぐに理解できると思います。うちの子供も小学校の1〜2年生ぐらいのときに「なるほど〜」って理解できていました。
実は、上記の図は摩擦や空気抵抗などを都合よく使っていて、相応のごまかしを挟んでいますが、まぁ、このぐらいの感覚が理解できていれば大丈夫だと思います。
というわけで、子供の疑問シリーズは、引き続き質問募集中です♪