大阪に着いてホテルでテレビをつけたら、Panasonicの株主総会が本日開催されたことを報じていました。内容だけでなく、総会に出た株主にもインタビューをしていました。私は株主ではありませんが、昔から家電製品に関してはPanasonicをよく買ってきたので、一人のファンとして興味があります。
その中である株主が「どうして会社が黒字なのに、あんなに大規模な人員整理をするのか? それは松下幸之助の精神に反するのではないか?」と言っていたのが印象的でした。実はこれに関しては社長は「将来の機構改革のためには必要なのです」と答えていたようです。
これはつまり、従来型の家電メーカーとしての従業員を切り捨てて、AiとかDXを柱とする新しい人材を入れ替えていくからということなのでしょう。 洗濯機や冷蔵庫のようないわゆるシロモノ家電やテレビはもう作らないというのであれば、必要な人材は変わってくるのかもしれませんが、それは若い新卒を教育して育てて来ていたら何の問題もなかったと思うのです。Panasonicがライバル他社と比べてこの分野で周回遅れなほど遅れを取ったのは要員の確保を怠ったからだと思うのです。
ブランド力に頼りすぎて肝心要の人材を疎かにしてきたことのツケが回ったといわれても仕方ない。これはPanasonicだけではなく、日本の大企業の多くがこのような傾向にある。賃金を30年以上も上げてこなかったことで、優秀な人材は他に行ってしまった。目先の決算上の利益を作るために人件費を圧縮するというコスト操作をやりすぎたのだ。
現在の賃金水準ではよい人材は来ないでしょう。かつて半導体産業がたどってしまった失敗が、これから日本の企業全体に波及するのではないかと心配です。
