「あまちゃん」はすっかり芸能界の内幕的な内容が展開されています。AKB48などが全盛を誇っていた2013年当時、このドラマの反響はどうだったのでしょうか。いろんな意味で盛り上がったのでしょうね。アキがアイドルを目指して次々と体当たりで経験する、ある意味異常な芸能活動は見ている私たちにとっても驚きの連続です。それらが良いのか悪いのかということより、そんなことまでしているのか! という絶句に近い印象が、このドラマに釘づけにされる理由です。芸を見せて人気を取り、お金を儲けるということは、言葉で言えば簡単ですが実際には大変難しいことです。誰にでもできるわけではない。それを太巻氏はビジネスとして確立した。「普通の女の子」をプロの芸能人に仕立て上げるノウハウを持ち、それに普通の女の子をはめ込んでいくという、大量生産工場のような仕組み。そう考えると今の芸能界は大なり小なり似たようなプロセスでスターを作り出していますね。この方法は素材である人物に才能を求めていないので、とても安上がりのショービジネスです。その代わり賞味期間は短い。さっさと卒業させて、「あとは一人でやっていきなさい」と送り出してしまう。しかし普通の女の子でもスターになれるというのは画期的で魅力的です。それに対して昔ながらの歌手は、素質として非凡な歌の才能を持っていて、それを苦労して売り出して認められ、スターに上り詰め、その後も長い間歌手として活躍しています。ファンにとってはどちらでもいいのですが、芸能事務所にとっては当たりはずれの大きい昔ながらの歌手よりは、取っ替え引っ替え交換できるアイドル製造工場の歌手の方がビジネスとして扱いやすいのでしょう。この朝ドラを見ているとそんなことを感じてしますます。
