私は昔、銀行員だったころに会社の命令で、投資信託の販売業務を立ち上げろと言うことになり、人材集めから規程づくり、帳票類の作成、販売管理システムの導入、商品の選定などあらゆることを任されたことがありました。まずは単身で某投信会社に

トレーニーに行き、ひととおりのことを学んできました。それから銀行内で準備に取り掛かったのです。その当時はまだ金融自由化が始まったばかりで、「なぜそんな元本割れのリスクがある商品を銀行で売るのか!!」と怒って会議を退席してしまう行員もいたのです。だから立ち上げるまでの苦労は並大抵のことではありませんでした。販売を担当する行員の研修もやりました。株式や債券、為替などのことも学ぶだけではなく、お客様に分かりやすく説明する技能を身に付けさせなくてはならないのです。株式など買ったこともない行員には荷が重いことは確か。それでも証券外務員資格を取らせて勉強させました。そんな経験のある私が、今現在は投資信託についてどう思っているのかを書きたいと思います。
私は個人の資産運用として投資信託を利用することは良いことだと考えます。ただし、よく考えて選ばないといけません。まず他人が勧める銘柄をそのまま鵜呑みにしてはいけません。なぜそれがお勧めなのかを自分自身で理解できないのならば手を出さないことです。例えば南アフリカやトルコといった名前は知っているけれど日々そこで起きているニュースが見られないのならば絶対に手を出さないことです。やはり日本株やせいぜいアメリカの株ぐらいが情報を取りやすいのでお勧めです。投資信託と言えども投資家は自分自身です。投資対象の情勢が分からないのならば投資とは呼べません。
債券もの、例えば国債ファンドの方が株式ファンドよりもリスクが小さいと言いますが、決してそんなことはありません。最近の金利上昇で債券の市場価格は大きく下落しています。アメリカではそれが原因で銀行が潰れたのです。では株なのか? 銘柄とか業種はどうえらぶのか? だったらインデックスものが無難です。日経平均株価やTOPIX、アメリカならばNYダウやNASDAQ(ナスダック)、S&P500などの株価指数に連動する投資信託の方が分かりやすい。日経平均(日経225)は、毎日テレビのニュースでもアナウンサーが声に出して読み上げているので知ることは簡単ですし、ニュースなどでは上がり下がりの原因などを説明しているので理解しやすい。買った後は、必ず毎日その指数を確認し記録することです。するとだんだん動きが見えてきます。大きく下がったかな? と思ったら、過去にさかのぼって似たような下がり方をしたケースを探します。こういう自分のデータを蓄積することは投資家として絶対にやらないといけません。投資信託は投信会社とファンドマネージャーが実際の運用を担当していますから、細かいことは任せておけばいいのですが、インデックスの動きには逆らえません。経済やマーケットの見通しをニュースやネットで調べて投資家としてじっくり考えて判断するべきです。