今朝の朝ドラ「らんまん」では、明治初期に高知県で起こった自由民権運動が出てきます。多分板垣退助とおぼしき人物が神社で立会演説会をしていて、そこへ姉を探している万太郎が迷い込み、ひょんなことから板垣退助(?)に気に入られてしまい、運動に参加しないかと誘われます。
私はこのシーンを見ていて、この時代はまだ政治が国民からかけ離れていて、国民の意見が反映されていなかったから、こうして草の根的な政治運動が日本中で盛んだったのだろう。つまり国民が政治に参加したいと熱心に訴えて活動していたわけです。今の時代ではそんなことは既に当たり前になっていますから、おそらく若い人たちなど多くの日本人にはなんでこんなにむきになっているのか理解できないかもしれません。
日本では戦前まではそういう政治にかかわる国民の運動が続いていましたが、戦後はアメリカの占領下で民主主義の体制が構築されたため、むしろ国民は国民の義務として参政権を行使すべしということになった。
ところが最近の選挙では投票率が大変低い。特に若者が投票しない傾向がみられる。おそらく「投票したって何も変わらない」とか「関心がない」と言っているのかもしれませんが、この「らんまん」で描いていた立会演説会のシーンは、現代とは180度違う雰囲気です。
そこで私は思ったのです。民主主義や参政権が確立されて当たり前になったことで、国民の要求は政治から離れて行き、豊かさを追求する経済問題に移っていったのだろう。お金を稼ぎたいという思いの方が強くなったことで、逆に政治への関心が薄れてしまった。就職活動には熱心だが、選挙には無関心。その結果、政治の世界は政治家と呼ばれる代々政治家の一族が勤めることになっていった。彼らはもはや自分たちの地位を守ることにしか興味がない。与党として政権担当の位置に居続けることに血道をあげる。だから「選挙が大事」なのだろう。
日本人は戦後の高度経済成長という輝かしい実績を誇っている。それが「経済万能」主義につながり、金さえあれば何でもできると錯覚してしまった。先日テレビのインタビューで日銀の某理事が「なんだかんだ言っても日本はまだいっぱいお金を持っていますから大丈夫だ」みたいに発言をしていました。ではなんで経済が立ち直らないのだ? お金の使い方が下手なのではないか!?
ここはひとつ、政治家も国民も腹を割ってよく話し合うべきだ。日本を良くするために今私たちは何をするべきなのか? 決して他人ごとではない。街頭でそういう意見を交わすのもいいのではないか。