この国のマーケットの心象にあるのは、アマイ、カワイイ、ヤワラカイに対する強烈な欲求である。企業はヒトであれモノであれ、そのニーズに対して、そうした要素を統合した、ヤサシイ・アプローチを展開するのは当然の成り行きである。ホスト、ジャニーズ、統一教会などは、ヤサシサのアニマに対する国民のアイドル信仰が基層にある。行き過ぎる企業の「表現の自由」に対しては、規制を行うのは当然だが、まずは何よりもマーケット自体をドラスティックに転換することが急務である。今この国に必要なのは、カタイ、ニガイ、ブサイクなモノやヒトが魅力的に思えるゲイジュツの登場である。「美は乱調にあり」は伊藤野枝の言葉だが、この国はそもそもの「黄金比」を見直さなければ、次々とおかしなものが登場する。日本という国の持続可能なモデュロールは、国の在り方に人間が合わせるのではなく、日本人の在り方を根本的に見直すところからはじめるべきである。