平安時代から現代も続く世襲政治 | 台湾で起業して頑張る中高年オジサンの徒然

台湾で起業して頑張る中高年オジサンの徒然

天安門事件(1989年)には北京に駐在、その後、広州、北京、シンガポール、台北、上海と中華圏を30年間渡り歩き、2019年9月無事にサラリーマン定年退職。これを機に台湾台北で起業、第二の人生を奮闘中。中華圏ベテランオジサンの目線で見た日々について綴ります。

「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば」

 

日本史で勉強してご存知かと思います。藤原道長(966-1028年)が詠んだ余りにも有名な和歌です。同じ平安時代の公卿 藤原実資の日記『小右記』に記されています。藤原摂関政治の全盛期頂点に立ち、権勢をふるった逸話としてこの和歌を習った記憶があります。

ところが、近年ではその解釈に異論する研究が進んでいます。この世を“この夜”とし「今宵の満月はなんと美しく良い夜であることか…」と言う程度の意味とするのが正しい解釈とする歴史学者もいるそうです。

 

どちらの解釈にしても、三女(威子)を後一条天皇に皇后として嫁がせる祝宴の席で詠まれた和歌でこの日の月夜を謳歌したものに違いはありません。

 

飛鳥時代”大化の改新”の藤原(中臣)鎌足を祖とする藤原氏は、やがて嫡流である近衛家や九条家から分家(庶家)します。そして嫡流と庶家の間で政争や時に智略謀略を巡らせながら、天皇や皇族に次々と娘を皇后(或いは中宮)として入内させて権勢を保持します。

 

そして藤原氏一族郎党が摂関政治を思うがままに操り、子孫の能力有無に関係なく重要な官職を“世襲”させます。現在放送中のNHK大河ドラマ”光る君へ”を拝見していて、改めてそう思いました。

 

翻って現在の日本の政治家を拝見すると世襲議員が何と多いことか。その割合は約30%以上が世襲議員だそうです。直近の菅氏を除く総理大臣経験者(麻生・安倍・岸田氏)はれっきとした世襲議員です。私の出身地である神奈川県選出某議員で大臣経験者も親子二代でそうでした。世界的に見ても世襲議員の割合は異常なのだそうです。

 

日本では平安の摂関政治時代から徳川家然り既に世襲制度の地合いは育まれて現代に至っています。政治家に生まれたのは無論その人の責任ではありませんが、政治能力のない方がその職に就く必然性はないはずです。

 

また世襲議員とは無関係かもしれませんが、企業献金や派閥パーティー券の一部(とは言え数千万円)をキックバックして裏金として懐に入れ納税もせずにいる派閥幹部はいかがなものかと思います。月額数十万円にも満たない老齢年金にも所得税や特別復興税が課税されること思えば国民感情からは到底許せません。

 

派閥解消大いに結構ですが「安倍さんに申し訳ない」と派閥幹部が発言する前に善良な国民に謝罪するべき。謝る相手を間違えて何か大いに勘違いしている関係議員は秘書に責任を押し付けないで直ちに議員辞職し刑事処罰を受けて貰いたいです。

 

さて…


ランニング好きな私は好きでした“いだてん”をも下回る低視聴率でスタートとなった”光る君へ”です。平安絵巻物で馴染みの薄い時代背景とは言え、毎回興味深い内容となっています。下級貴族の娘である紫式部が上級貴族社会の中でどの様に歴史的な物書き人になっていくのかこの先が楽しみです。