エムキチビートの『世界の終わりに君を乞う。』がお陰様で無事に終演を致しました。
*俺と米原先輩の失恋男子仲間(笑)、大河くんの誕生日サプライズ画像。
ほぼ、2年ぶりの本公演でした。
販売した台本の後書きにもありますが、今作は2010年上演の『ワールズエンドフライバイユー』の本歌取りになります。
8年前にシアターサンモールで上演して、正直力不足であった舞台でした。
脚本的にも演出的にも。結果、舞台上にあがったものは当時精一杯の結果でしたが。
そこから実はずっと取材を続けたり、資料など集めていました。
今回、機会が巡り、『世界の終りに君を乞う。』として上演を致しました。
・・・本当に奇跡的に。
今回、実は全く別の演目で企画が進んでいて。様々な事情が絡んで。様々な事情と戦うこととなって。
今作の座組みが全員揃ったのが、10月10日。
この演目がやれることが確定したのが、10月15日。
稽古の開始が、10月29日。
スタッフ含め何日徹夜したか覚えていません。
でも結果、この公演をこの座組みでやれて心から良かった。そう思う次第です。
参加してくれた全ての俳優とスタッフに心から感謝を。
というわけで恒例のアトガキ。
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昨年2017年に演出家の荻田浩一先生と共同演出でリーディング公演『境界線上の物語』を上演しました。
出演は我らが米原先輩。その私の演目が『銀河鉄道の夜』
宮沢賢治が『銀河鉄道の夜』を描くのに着想を得たのが『鏡の国のアリス』と言われています。
『ワールズエンド~』はオンラインカウンセリングをする設定ですが、今作は『アイワズライト』『黎明浪漫譚』と並んで劇団の三部作。
改めて夢の迷宮に立ち向かうお話にしたいと、全て書き直しました。
『アリス』の物語は、アリスが失敗したり間違えたりすること。
成功していく物語じゃなくて、失敗して、間違えて、理解できなくて、それでも前に進む物語。
それを抱きしめて世界が進む物語だと思いました。
箇条書きで。歌メイン。
・M1 星巡りのうた
宮沢賢治の有名な星巡りの歌から。逆から辿る銀河鉄道。鏡の世界。
根源を求める旅。本当に美しい言葉。幸いを求めた旅の言葉。
・M2 暗闇の中
このお話の全て。
EMDRのことなど、実際の精神科医の先生に多数ご協力頂きました。
ともよちゃん味方氏も実際の先生にセリフを聞いてもらったりしました。
・M3 その背中を見つめ
修士のすべて。修士が観た最期の一葉の姿。鏡の世界で見つめる姿。
・M4 鏡の国の銀河鉄道
もうひとりの自分が歌う。もうひとりの自分は、ホメオスタシスでありトランジスタシス。
この物語の救い、は。白うさぎなんだと思うのです。
『鏡の国のアリス』には登場しないキャラクター。まひろの声は宝物。
・M5 北十字の丘の戦争
ステージングと殺陣振付の妙技。本当にチェスバトルのよう。味方氏はよくカンパネルラを何故か攻撃する。
赤の女王の名セリフ。これも那由多のすべて。
・ハコブネのサークル広場。
大学時代の演劇サークルが本当にモチーフ。永遠に続けばいいと思った。毎日ビルディ(後にガスト)に居ました当時。
間違いなく世界の中心に居た、そんなような時間でした。
・M6 PTSD ~ M7星巡りのうたReprise
麻生は最初のシーンからずっと億をカウンセリングしている。
夢の旅はふたりきり、ひとりきり、ふたりきり、ふたりきり。
・M8 アレしてナントカしてアレしましょう
エムキチ劇団員大活躍ナンバー。
アブが上半身裸なのは、アブドミナルマッスルのアブアブアブ!からですけど分からないっすよね(笑)
・M9 名無しの森の双子
双子大好き。どこまでも一緒。
さて、赤の王様は誰でしょう?『鏡の国のアリス』を読んでみてください。
白の騎士はここから。チェスの配置からここには本来いない。だから「♪お前はここにいるヤツじゃないだろ!」
ちなみにこの後の億先生とのシーンは、『鏡の国のアリス』のアリスと白の女王の会話オマージュ。
ここから実は一葉の現実と夢が混ざり始めている。
・M10 あの日々に戻れるのなら
いちばん幸福だった時間。
・M11 抱えきれないもの
全ての登場人物はTo be Good、幸福になる為に葛藤をする、ということが大事だと思います。
・M12 アルビレオを超えて
切符を拝見するうた。
ここの映像美。通常の舞台表現で照明では絶対に表現できない影の動き。僅かな違和感。こういうのが好きです。
演出的に衣裳には今回偏光を表現するシンボルを付けています。見ている真実がブレているということ。
・M13 アントラクト。鏡の国の銀河鉄道 Reprise
RENTっぽく(笑)
・玉子のネタは、最後まで台本に書いたこと米原先輩がやってくれませんでした。
5分越えた回は怒りました。
ハンプティダンプティはものっすっごい意味の強いキャラクターです。
・M14 境界線
元々M6のリプライズ予定が、三重唱に。歌詞を渡したその日にできる奇跡(笑)まこさん天才。
この場面の映像は、音声認識でリアルタイムに動いています。すてき。
・M15 星巡りの歌 ~流転する世界
新世界交響楽。鷲の停留場で、みんな自分の旅を自覚していく。
回想の中で死の世界が美しいと祈る一葉は、病気で死んだ弟を想って。
・M16 ほんとうの幸い
一番最初に詞を書いた曲。
・サークル広場の終わり。
タイタニックの青年たちが銀河鉄道を降りるように、みんな降りていく。
・M17 星巡りの歌 Reprise
カンパネルラとの旅のおしまい。ここからはひとりの旅。
この難しいリプライズが稽古ラスト2回の通し稽古でハマったのは流石法月さま。
・M18 嫉妬したんだ
尾張の物語のはじまり。
三人が三人にちょっとずつ嫉妬し合ってしまうこと。一緒にご飯食べればもしかしたら消えたかもしれないわだかまり。
この三人の関係は三人がずーっと稽古場で話し合ってバランスをつくってくれました。
・M19 その背中を見つめReprise
強く抱きしめてはじめて見える、小さな一葉の背中を見つめながら。
・M20 暗闇の中Reprise
那由多の物語へ。
ここからがスタート。なんの希望もない。なんの絶望もない。
死んじゃいやだと乞い。生きてと乞われた女の子。
乞われて、壊れて、はじまった物語に気付いて、歌う。
このお話のふたつの奇跡は、七緒に残った一葉の台詞と。九重のカメラに残っているかもしれないサークル広場の写真。
どこまでが現実で、どこまでが夢か。そんなお話でした。
語れないことも沢山あります。
徒然書いてしまったので漏れは沢山だと思いますが、ひとまず。
今回も演出的なご質問など、Twitterでご質問くだされば答えられる範囲で回答致します。
(お時間かかるかもしれませんが・・・!)
私程度が何をできるのかと思いますが。そんなことをしてみて、少しでも演劇というものに興味を深く持ってくださり、色々な作品や戯曲を楽しんでくださる手掛かりになれば幸いです。
モデルとなったガスト。ガチ。