32歳の小学生
来た来たー32歳
来た来たー多摩川わっしょいわっしょい
ド田舎者のおれは山や川、いろんなにおいを感じて、、、
それが大好きで
都心にはそれがない
東京に上京してきて14年
いろんな物を得たけどいろんな物をなくしてた
今になってどうしてこうなったのか、、、
それは京平と遊びだしたからだ
京平はほんとにただのお客さんだった
ずっとおれの作る服を買ってくれるお客さん
おれが去年独立してからも通販で服を買ってくれるお客さん
友達ではなかった
始めてプライベートで遊んだのが先月だった
普段つるんでいる仲間とは全く別の存在
歳も9つも下
たった1つのメール
ミヤマクワガタのメール
それがきっかけだった
でもなんでこうして一緒にいるのか今日分かった気がする
おれがつかんでいるこのカエル君
実は、、、実は、、、
この大きさなんです
牛ガエルといって足伸ばせば50cm位あります
ライトと網だけ、、、そして手づかみ
たったそれだけ
今日はブラックバスや
網と手づかみだけですよ
今日ふと思った
昔からこういう遊びは好きだったけど
ここまで熱中できて楽しめたのは小学生までだろう
中学入るとさすがに子供心は薄れる、、
東京に来てさらにその気持ちは薄れれた
消えてたと言ってもいいくらい
でも今になって
32歳になった今日
おれは小学生だった
誕生日になる瞬間になぜ京平と一緒に過ごしたのかが今日分かった
おれは京平といる時だけ小学生に戻れるんだ
小学生の気持ちを思いださせてくれるたった一人の存在
牛ガエルを素手でつかめる奴などそうはいない
スズメ蜂に立ち向かえる奴もいない
同じ事に熱中できて感動でき幸せを感じられる
そしておれ達には勇気と知識がある
おれは父に教わった
京平も父から教わった
おれと同じなんだな
だから一緒にいるんだな
ぼーっと空眺めてて最高の気分だった
兼成京平「お前は男だ」