この間少し調べたところによると、J-POPのシングル売上というものは、時代的に限られていることがわかった。
60年に所得倍増計画が打ち出され、高度経済成長を経験し、70年代からは安定成長期となる。この頃には各家庭に3C(カラーテレビ・クーラー・カー)と呼ばれた新三種の神器が普及し、国民の消費は必需品から娯楽へと比重が増してくる。
これらの事情により70年頃から、いわゆるミリオン(100万枚)やダブルミリオン(200万枚)を売り上げる作品がで始める。更に、オリコンの集計自体が1968年から行われているので、正確な記録もこの辺りからとなる。
しかし、70年代や80年代は音楽的にJ-POPの定義には入らないのではないか。100万枚を超えるヒットとなった曲は小坂明子の「あなた」や、あみんの「待つわ」など、あくまで「歌謡」の枠組みに入るものが多い。ピンクレディーや近藤真彦も100万枚を超えてはいるが、アイドルというものは曲ではなく「存在」に価値があるので、単純には評価できない。
しかし邦楽の70、80年代は悲しい。RCサクセションやBOOWY、ブルーハーツらがいるが、売り上げには繋がらない。BOOWYのシングル最高売り上げは「Marionette」だが、25万枚に達していない。ブルーハーツも「情熱の薔薇」で50万枚程度。しかも90年の曲だ。
ロックバンドはポピュラーなものにはなり得ない時代だった。
洋楽では60年代からビートルズ、ビーチボーイズやサイモン&ガーファンクルなどがいて、70年代にはABBA、カーペンターズやエルトンジョン、ジャクソン5など、ポップス界も充実している上に、クイーンやツェペリン、デビッド・ボウイ(イギリスばっかり…)なども陽の目を浴びている。80年代に至ってはマイケル・ジャクソンやマドンナを頂点としてポップスの最盛期を迎えている。
日本では90年代に入って怒涛のようにミリオンが連発される。90年は「おどるポンポコリン」くらいだが、91年になるとミリオン5曲にダブルミリオン2曲。その後は年に10曲以上のミリオンが続き、95・96年には20曲を超える。しかしその後は下降線を辿り、2001年はミリオン5曲、2002年からは年に一曲ペース。2003年の「世界に一つだけの花」からダブルミリオンは出ていない。ちなみにこの曲はSMAPの解散がキッカケで売上を再び伸ばし、J-POP史上初のトリプルミリオンを達成した。
それでは、改めてまとめてみよう。
演歌、歌謡、童謡、企画もの(WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント)などは含めない事を前提にして、ダブルミリオン達成曲は…
愛は勝つ KAN
ラブストーリーは突然に 小田和正
SAY YES チャゲ&飛鳥
君がいるだけで 米米CLUB
YAH YAH YAH チャゲ&飛鳥
愛のままにわがままに…略 B’z
TRUE LOVE 藤井フミヤ
愛しさと切なさと心強さと 篠原涼子
Tomorrow never knows ミスチル
LOVE LOVE LOVE ドリカム
名もなき詩 ミスチル
DEPARTURES globe
CAN YOU CELEBRATE? 安室奈美恵
Automatic 宇多田ヒカル
TSUNAMI サザン
桜坂 福山雅治
世界に一つだけの花 SMAP
以上、全17曲。
そのうち250万枚以上は赤色の6曲。
これらは全て90年~03年という短い期間で達成されている。
個別に見ると更に面白い。
サザンは92~96年に連発したが、あとは2000年に「TSUNAMI」がトリプルミリオンに届かんばかりの大ヒットとなったのを境にミリオン越えは無くなった(全5曲)。
ダブルミリオンを2つ出しているチャゲ&飛鳥も合計すると5曲(しかも捕まっちゃったから半減…)。
宇多田も安室もドリカムも5曲。
長く活躍している松任谷由実でさえ93~94年でしか100万枚を超えたことがない(全3曲)。
逆に全盛期のタイミングが良かったのがGLAYで、97~00年で6曲ミリオンヒットさせている。
総合2位はミスチルで、ダブルミリオン2曲、ミリオン8曲で計10曲だった。
さすがとしか言いようがない。
そして、見事第1位に輝いたのは…
91年~96年まで13曲連続でミリオンを出し、うち一つはダブルミリオンを達成したB’zでした‼︎合計はなんと15曲‼︎
これらの事を踏まえると、B’zとミスチルはJ-POP界の二大巨頭ということになる。
しかし…
世の中は売り上げだけじゃ判断出来ない。
なぜなら…
先日TVでやっていた「世代別1万人に聞いた、好きな曲アンケート」ではこんな結果だった↓
1.負けないで ZARD
2.見上げてごらん夜の星を 坂本九
3.なごり雪 イルカ
4.世界に一つだけの花 SMAP
5.未来予想図Ⅱ ドリカム
この中で売り上げと重なるのは世界に一つだけの花のみ(坂本九は63年の作品なので評価は難しいが)。つまり、売り上げと好きな曲は必ずしも一緒にはならないのだ。
ちなみに…
オリジナルアルバムの売上なら宇多田ヒカルの圧倒的独占↓
1位 First Love 765万枚
2位 Distance 447万枚
4位 DEEP RIVER 360万枚
3位はglobe、5位は倉木麻衣だが、比較にならない。
こうやって考えてみると、宇多田ヒカルは凄い。アルバムもさる事ながら、先ほど書いた様にシングルも5曲ミリオン、うち1曲はダブル。何より凄いのがデビューが98年だという事。だって96年からシングルの売り上げは伸びなくなってくるんだろ?その後のデビューでこれは…快挙でしょ。94年デビューのGLAYは6曲だから、トップレベルの中でも抜きん出る結果だ。
これが新世代の恐ろしさ。
J-POP売り上げ界で、B’z・ミスチルが王・長嶋なら、宇多田ヒカルはイチローみたいなものか?