2年前まで私と同じ店にいて、今は本社勤務の
事務員の女の子から突然の電話。
「つるさん金返せー」
「なんだよ、いきなり」
「つるさんにだまされたー」
「?」
「『羊をめぐる冒険』がつまらなすぎるんだけど」
彼女に直接『羊』を薦めた覚えはないが
(どちらかといえばフィクションを好むタイプではない)、
最近の「『1Q84』報道」に触発されて
何か村上作品を読んでみようと思ったらしい。
でもねえ、春樹ファンなのを知ってるからって、
私に文句を言われても困る(笑)
「ブックオフで105円で買ったんだけどさ、金返せって感じ」
「どこまで読んだの?」
「『先生』んちまで行ったけど。もうワケわかんない」
「もう少し進めばリズムが出るかもよ。『いわし』も出てくるし」
「我慢の限界。ていうか、あの指のマークって何?」
もう、何も言うまい。
「○○嬢(前出の事務員の女の子。仲良し)に
『ノルウェイの森』ての貸したんでしょ?面白かったって言ってた?」
「面白かったとは言わなかったけど、今度まとめて
俺に質問したいって言ってたよ」
「あれってエロ小説なんでしょ?」
「描写は少なくないけどねえ。エロ小説じゃないね」
「精神病院でヤリまくるんでしょ?」
「ヤリまくるわけじゃないし、精神病院じゃない」
「どっかのカキコミで読んだ」
「ずいぶん飛躍した誤読だ」
「んもーいいよ。やっぱつるさんは『あっちの人』なんだよ。
あたしは『こっち』の人間だからさ、『羊』の面白さとかわかんない」
「あっちのひと....」
「○○さん(私の女房)も『こっちの人』だと思うから、
つるさんと一緒にいるの大変だよね。じゃ、また」
がちゃん。
彼女はいつも(それが業務上の話だとしても)一方的に
しゃべって、突然電話を切る。
最後に言われたことはそれほど間違ってはいないけれど。