〓筑波書房 書評情報〓(日本農業新聞 202462日号 書評欄に載りました)『日本の食料安全保障と国際環境』八木 浩平・野口 敬夫・林 瑞穂 編著  税込価格 4,180+https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906751

【書評内容】

 副題は「国・企業・消費者の視点から」。2000年以降、食料安全保障の論議が盛んだ。だが、日本の輸入に焦点を当てた研究は少ないという。食料自給率が低いわが国では、食料需給の大部分を占めている輸入に関する検討が不可欠という視点で本書は展開する。

 この点を検討する当たり、フードレジーム論に依拠し、国際農産物市場で重要性が増す国家の動向を俯瞰して捉えている。ここでいうフードレジーム論とは、「食料需給の観点から世界経済の構造を読み解く概念」とも、「食料がどのような関係の下で、そしてどのような資本主義的メカニズムを経て、生産、再生産されるのかを捉える枠組み」と表現される。