〓筑波書房 書評情報〓(日本農業新聞 2023年7月23日号 書評欄に載りました)『増加する雇用労働と日本農業の構造』 堀口 健治 編著 澤田 守 著 税込価格 3,300円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906447)
【書評内容】
 本書は増加が著しい農業の雇用労働に焦点を当てている。雇用労働が農業経営、農業構造に及ぼす影響を、全国各地の事例調査などから分析する。国内外の労働力の確保に向けた各地の取り組みをまとめている。
 第1部は「農業従事者の減少下で重みを増す雇用労働力」。7つの章を立て、事象をできるだけ把握するようにしている。外国人を含めて、農業で雇われる労働力の総体や、政策が支援する雇われ労働者の増え方などを分かるようにしている。
 第2部は「常雇いに依存し発展する法人経営と人材マネジメント」。雇用する法人経営などについて、各種の事例を広く対象にして具体的の述べ、農業に見る雇用の在り方の特徴などを詳述している。11章で構成。
 第3部は「雇用労働力を取り入れ展開する家族農業」。家族経営の事例を載せている。家族経営が出発点ではあるが、既に常雇いが多くなっており、雇用型経営に該当する事例を含めている。また、家族経営の場合は、通年雇用するだけではなく、必要な期間だけに労働力に来てもらう形が法人経営より多く、そうしたケースも紹介している。4章で構成。
 編著者に加え9人の研究者らが執筆に携わる。農業雇用といっても、臨時雇いから常雇い、派遣労働まで幅広い形態が存在する。雇用する主体も家族経営から農業法人に至るまで、多様な形態だ。さらには、雇用者も日本人だけではなく外国人も多い。そんな実態を研究・検討する意義は大きい。