〓筑波書房 書評情報〓(日本農業新聞 2023年7月2日号 書評欄に載りました)日本農業年報68『食料安保とみどり戦略を組み込んだ基本法改正へ』谷口 信和 編集代表・安藤 光義 編 税込価格 2,750円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906454)
【書評内容】
 副題「正念場を迎えた日本農政への提言」。本書は日本農業年報の68巻で、出版元を変更しての再出発という位置付けだ。
 現在、世界的な食料危機に加え各国農業の持続性の危機が顕在化している。そんな状況の中で、わが国農業の将来展望を示す食料・農業・農村基本法は、時代が要請する課題に対応できなくなっている。まさに、基本法見直しを通じた日本農政の立て直しが緊急の課題として求められているのだ。そんな時代背景の中で、本書は食料戦略保障とみどりの食料システム戦略を組み込んだ、基本法の改正の方向を検討し、議論を深めるよう提起している。
 本書は2部で構成する。第1部は食料安全保障、第2部はみどりの食料システム戦略だ。第1部は5本の論考からなり、国内情勢の分析に加え、日本にとって参考になるだろう海外の食料安全保障政策を解説、紹介する。第2部も5本の論考で、システム戦略の具体的な検討と欧州連合(EU)と米国の食料政策を紹介する。
 日本農業の今後をどうするかの議論の材料として、ぜひ本書を利活用してほしい。