〓筑波書房 書評情報〓(日本農業新聞 2023年1月29日号 書評欄に載りました)『日本農業5.0 次の進化は始まっている』 玉 真之介 武 著 税込価格 1760円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906133)
【書評内容】
 副題は、「次の進化は始まっている」。本書発行は昨年1月だが、その後に起きたロシアのウクライナ侵攻をはじめ、世界的な食料危機などを見越した提起をしてる。貴重な一冊と言えるだろう。
 本書が描くのは、「イエとムラ」というDNAを保存しつつ、時代の変化に適応して変化してきた日本農業の歩みである。日本農業の原型の成立を「1.0」とし、自由主義経済の時代を「2.0」、総力戦隊制と冷戦の時代を「3.0」、グローバリズムの時代を「4.0」とする。そして、脱グローバリズムの時代の現代を「5.0」と位置付けている。
 脱グローバル化時代の到来により、農業・農村・農家を取り巻く環境も大きく変化し、日本農業が再び「イエとムラ」というDNAを保存しつつ新たに進化する条件が拡大すると論じる。実に斬新で、重要な提起だ。日本農業のDNAといえる「イエとムラ」は、「可能性としての未来」だとする著者の考察をしっかりと受け止めたい。