〓筑波書房 書評情報〓(教育新聞 2022年11月13日号 書評欄に載りました。)SDGs時代のESDと社会的レジリエンス研究叢書5『SDGs時代の評価 価値を引き出し、変容を促す営み』米原 あき・佐藤 真久・長尾 眞文 編著 税込価格 2,750円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906256)
【書評内容】
 不確実性の中で、多様な個人や集団が協働して持続可能な社会を構築することが、求められるSDGs時代。SDGsでは、17の目標が水平に広がっているだけでなく、現在世代と未来世代の「世代間公正」という垂直の関係軸も視野に入れた立体的な目標群となっていることから、一般的な「評価」とは異なる「評価」が必要となる。
 そもそも「評価」とは、事実に基づいて評価判断を下すであるが、SDGs時代には、その対象の価値を品定めする視点だけでなく、多様な価値を共存させて、そこから新たな価値を引き出すための「文脈に応じた創造的アプローズ」が求められる。このような、価値を巡る学びと協働のダイナミズムへのコミットメントこそが、「SDGs時代の評価」であると本書では指摘する。
 構成は全6章で、各章のキーワードは、第1章は、SDGs時代における評価概念のシフト、第2章は、評価による社会変容と個人変容の連動、第3章は、国際協力の協働パートナーシップ、第4章は、通域的学び、第5章は、発展的評価、第6章は、ブルーマーブル評価となっている。
 第5章では、「文脈に応じた創造的アプローチに基づく評価」を検討する上での発展的評価の考え方を示す。第6章では、発展的評価の考え方を地球規模課題にまで拡張した評価アプローチの行動指針を示し、日本でまだ実践が見られない新たな評価観を理解するための概念を解説する。