〓筑波書房 書評情報〓(『技術と普及』 2022年11月号 BOOKS欄に載りました)『日本農業5.0』 玉 真之介 著 税込価格 1,760円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906133)
【書評内容】
 「イエとムラ」というDNAを保存しつつ、時代の変化に適応して変化してきた日本農業の歩みを描いた労作だ。著者によれば「このような発想で描かれる日本農業史は前例がなく、かなりの冒険と言って良い」という。「イエとムラ」の特質を獲得した江戸後期を日本農業の原型1.0として、明治からの自由貿易と人口急増の時代を2.0、総力戦隊制および米ソ冷戦時代を3.0、1990年代以降のグローバリズムと少子高齢化の時代を4.0と位置づける。そして2018年に幕を開けた脱グローバリズム時代が、可能性として5.0である。ここでのキーワードとなるのはポスト・コロナ、製造業の国内回帰、新しい小農、Society5.0、国土強靭化、SDGs、地富論(諸地域の富の追求)等々。
 本書のあとがきが書かれたのは、昨年12月で、つまり翌2月に始まったウクライナでの戦争は織り込まれていない。日本への影響は不可避であり、その場合の5.Xがいかなる姿になるか、今後の論を待ちたい。