〓筑波書房 書評情報〓(『技術と普及』 2022年6月号 BOOKS欄に載りました)◆筑波書房 新刊情報◆『水田農業の活性化をめざす 西南暖地からの提言』 髙武 孝充・村田 武 著 税込価格 1,650円+税→(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784811906126)
【書評内容】
福岡農協中央会営農部長や糸島市農業委員会を務めた髙武孝充さんと、九州大学名誉教授の村田武さんによる共著。序章で新型コロナウイルス禍によってますますクローズアップされるようになった米・食料問題をあぶり出し、第1章では1990年代から2021年までの農政の動きを概観し、第2章でアベノミクス農政のさまざま問題点を指摘。その上で第3章では「米余り・米価下落のもとで経営難に追い込まれる水田農業経営を本格的にバックアップする農政のあり方を提言」する。
本書の特徴は「福岡県と愛媛県の水田農業の動きから一貫して目を離さないできた」と著者自らが記すように、サブタイトルにもなっている「西南暖地からの提言」にある。第4章で紹介される、県産米の統一ブランド「金のめし丸」を創設したJAグループ福岡やラーメン用小麦「ラー麦」を開発したJA全農ふくれん、米麦大豆作で水田利用率130%超を達成したJA柳川、水田飼料作耕畜連携に取り組むJAひがしうわ、2017年の九州北部豪雨で被災した水田の復旧に尽力するJA筑前あさくらなどの事例は、西南暖地以外の方にも参考となる。