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 安保関連法案の特別委員会理事であった民主党の福山哲郎参議院議員は、9月19日の参議院本会議で反対討論にたった。その内容は、この間の経緯から法案の問題点など、全体を網羅している分かりやすい文章構成になっている。
 ただ、いかんせん長文であるため、「ここの部分は大切だ」と私が思うところを独断で抽出したものを転載します。正式な発言内容は参議院ホームページで議事録をご覧ください。


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     福山哲郎(民主党)参議院議員の安保関連法案 反対討論
                        第189国会 参議院 本会議 2015年9月19日


 (前略)現在も、私は与党のあのような暴力的な強行採決は断じて認めるわけにはいきません。今も、国会の周辺に多くの方々が反対の声を上げて集まっていただいています。全国で、テレビやツイッターやフェイスブック、あらゆるメディアを通じてこの国会が注視をされています。

 たくさんの人々は、有名になった学生団体のSEALDsだけではありません。憲法学者、元法制局長官、元最高裁判事、最高裁長官、各大学の有志の皆さん、そして何より、一人一人個人としてこの法案を何とか廃案にしたいと、少しずつ、一歩ずつ勇気を持って動き出していただいた皆様が、今この国会と全国で注目をいただいています。

 これらの数え切れないほどのたくさんの皆様の反対の気持ちを代弁するには余りにも力不足ではございますが、満身の力を込めて、この立憲主義、平和主義、民主主義、日本の戦後七十年の歩みにことごとく背くこの法案に対して、違憲と断じ、私は反対をここで表明させていただきます。



 そして、多くの国民の皆様に心からおわびを申し上げます。今も恐らく祈りにも似た気持ちでこの国会を見ていただいているでしょう。でも、残念ながらあと多分数十分もすれば、数の力におごった与党がこの法案を通過させることになるでしょう。本当に申し訳なく思います。期待していただいた野党は力不足でしたが、それぞれの委員、それぞれの政党、それぞれやれることを国会の中で懸命にやらせていただいたつもりです。そこは、国民の皆様に信頼をしていただきたいと思います。

 先ほど何の採決が行われたのか、画面を見て分からない方がたくさんいらっしゃったかもしれません。あれは、与党がこの本会議のこういった発言に対して時間を十五分以内にしなさいという制限を付ける動議を提出をして、我々はそれに対して、反対、賛成の票を投じて、結果として、今のこの私の発言は十五分で制限をされました。(中略)
我々は国民の言葉を伝えるためにここに立たせていただいています。それを与党が数で言論を封殺することは許されません。

 そして、この言論封殺は、強行に審議を打ち切り、昨日あの暴力的な強行採決をしたことにつながっています。暴力的な強行採決と言論封殺の末に我々野党の議員の表決権を奪った、このような法案の昨日の採決は存在し得ない、あり得ない、私はそう思います。(中略)

 三権分立の我が国で、立法府で審議中の法案に対して、OBとはいえ司法、それも最高裁長官が違憲と発言をされることは極めて異常な事態です。最高裁長官の発言や法制局長官の言葉を一私人の言葉として切り捨ててしまう、いかにそれが大それた傲慢なことか、やってはいけないことをしているのか、なぜ与党の皆さんは、安倍総理は理解できないのでしょうか。それがこの国の法治国家としての基盤を崩してしまうことをなぜ理解し得ないのでしょうか。

 当時の最高裁長官の山口元長官は、長年の慣習が人々の行動規範となり、それに反したら制裁を受けるという法的確信を持つようになると、これは慣習法になる、憲法九条についての従来の政府解釈は単なる解釈ではなく、規範へと昇格しているのではないか、九条の骨肉と化している解釈を変えて集団的自衛権を行使したいのなら、九条を改正するのが筋であり、正攻法でしょうと、今回の法案について違憲と述べておられます。至極真っ当な意見です。

 そして、その前には、政府高官は、違憲かどうかは最高裁が判断するんだとうそぶきました。そして、元の最高裁長官がこういう発言をされると、一私人だと切り捨てました。御都合主義もいいかげんにしてください。(中略)私は、同じ立法府にいる者として大変恥ずかしく思います。砂川判決も昭和四十七年見解も、審議の中でもう根拠にならないことは明白になっています。(中略)



 いいですか、少なくとも四十年以上、日本は集団的自衛権の限定行使はできないと、歴代の法制局長官とあなた方自民党の先輩、それぞれの皆さんが、内閣総理大臣も含めて全ての閣僚がそれを決めてきたんです。歴史の歩みを軽んじ、法的規範性を壊すことになぜそんなに鈍感なのか、なぜそこに謙虚さを持てないのか。

 私は、戦後七十年のこの歴史と先人の、日本をこれまで豊かにしてきた自民党の歴代の保守の政治家に一定の敬意を持っています。しかしながら、今の自民党、あなた方は歴史の歩みと先人のこれまでの御尽力をまさに切って捨てる、あなた方に保守を語る資格はありません。あなた方にあるのは単なる保身にすぎません。



 もう違憲かどうかは明白です。ホルムズ海峡も、立法事実としてはどこかへ行きました。総理の発言がありました。それも、この法案の審議の終盤に発言するところに安倍総理のある種の私はこそくさがあると思います。米艦防護も、もう米艦一隻では動かないということを、これも総理を含め認められました。自衛隊のリスクはない、減ると言った安倍総理の発言ももうほとんど絵空事になっています。

 なぜ、ここまで審議の中で、この法律の出来の悪さが、この法律の矛盾が、我が国の有事に対する、これまでの我が国の安全保障の法体系を崩していることが明らかになっているのに、なぜ、謙虚にそれを素直に修正をしたり改正をしたり、さらにはしっかりと出し直すことをあなたたちは考えないんですか。

 総理やあそこにいらっしゃる中谷大臣の答弁が二転三転をするにつけて、それをかばうために別の条文を引っ張り出し、それを何とかごまかすために別の答弁をし、そして、どんどんどんどん深みにはまって、混乱に混乱を極めて、一体、これだけ論点が散らかったままで実力部隊の自衛隊の皆さんをどうやって海外に出すんですか。(中略)



 昨日の強行採決の場面を思い出してください。鴻池委員長が復席をされました。私は野党の理事の立場として、あの委員会の議事は実はまだ合意ができていませんでした。もちろん委員長が職権で立てておられることは私は承知の上です。しかし、職権で立てていることは承知の上ですが、合意をしていないので、私は、これが始まる前に、委員長に議事を整理をしたいと言って、ゆっくり委員長のところに歩み寄りました。そうしたら、突然与党の議員が、それも委員会のメンバーではない議員が、二十名以上が、だあっと来て、あっという間に混乱の極みになりました。

 皆さん、今日、参議院のスタッフが御丁寧に私に昨日の議事の日程を出してくれました。いつどこで何の議事がされたか、採決がされたか全く分からない状況のどういうわけか議事が出てまいりました。時間があって、何か知らないけど、採決とか書いてあります。これで、実は見事に、見事にですよ、委員会の開会の時間が入っていません。議事録を見ていただければお分かりのように、委員会の開会が、スタートしていません。つまり、野球でいえば、プレーボールが掛かっていないのに、試合がされていないのに採決なんて、皆さん、あり得ないでしょう。

 そして、委員長認定というこの紙に重要なことが書かれています。重要なことが書かれています。実は、その前の日にありました地方公聴会の報告がされていないことがこの委員長認定の紙でも明らかになりました。(中略)

 そしてこのことは、野党の採決権が剥奪されたことに加え、公述人は、公述人は外部の方です。外部の方が委員長のお願いで、要請で公述に来られました。そして、その公述に来られた方の公述が委員会に報告をされませんでした。委員会がその報告を受けなければ、議事録には載せられません。つまり、このままでいうと、あの地方公聴会は、開催をされて公述人の方はしっかりと公述をしていただいたのに、その議事録が議事録に載らないということは、あの公述人の地方公聴会はなかったものにされます。(中略)
 私は、こういったことが政治の信頼をなくすというふうに思います。(中略)

 総理は、そして自民党の方々は、戦争法案と言われるのを嫌いました。戦争法案、戦争法案、言われるたびにレッテル貼りと言われました。しかし、総理は議事録で何度も何度も、アフガン戦争、イラク戦争、湾岸戦争と言われました。
 日本は、アフガン戦争、湾岸戦争、イラク戦争を違法な戦争と認定したことはありません。総理は、戦争というと、日本は違法な戦争には参加しないからと言っているのに、じゃ、この三つの戦争は総理は違法と思っているのか。間違いなく思っていません。そして、アフガン戦争では、イギリス、カナダ、フランスが集団的自衛権の行使をしています。そのときに、イギリス、フランス、カナダ等がアフガン戦争は戦争ではないと言うんでしょうか。

 そして、岸田外務大臣は、ジュネーブ条約上、存立危機事態の状況のときには日本は紛争当事国だということを認めています。紛争当事国というのは、戦争に参加をしている国ということです。そして、総理自身がアフガン戦争と言っている戦争は、日本国政府は違法だとは言っていません。そこに集団的自衛権を行使することは、当然戦争に参加をすることです。そのことを私は総理に確認したかったけれども、総理が審議を打ち切ったので、このことも確認できませんでした。ですから、戦争に参加する法案だということは全く間違いのないことだというふうに思います。

 戦争法案だと言われれば、本当に何か考えられないぐらいすぐに反応する。そして、専守防衛はいささかも変わらないとうそぶくけれども、全くそんなことはない。自衛隊のリスクはないといいながら、自衛隊のリスクはとんでもなく広がっている。そして、この法案の名前が平和安全法制、どうやって国民をごまかそうとしているんですか。それを国民が見抜いたからこそ、反対の声が広がっているんじゃないんですか。安倍政権の欺瞞性に気付いたからこそ、国民はこの法案に声を上げているんじゃないんでしょうか。



 最後に申し上げます。
 残念ながら、この法案は今日採決をされるかもしれない。しかし、この闘い、今は負けかもしれませんが、しかし、私は、試合に負けても勝負には勝ったと思います。私は、国会の外と国会の中でこれほど国民と政治がつながった経験をしたことがありません。

 単なる私見ですが、奥田さんを始めとするSEALDsに参加をしている若者や、子供たちをだっこしながら国会の周辺に来た若い奥様方や、女性や、そういった人たちは、多感な中学生や高校生のときにあの三・一一の東日本大震災を経験されています。

 たとえ被災地ではなくても、中学や高校の多感なときに、生きることや、突然家族や仕事や住んでいるところがなくなる人生の不条理や、さらには原発事故の矛盾に向き合ってきた世代が今のSEALDsに参加している若者の世代です。彼らの感性は、ひょっとしたら我々の時代とは違っているかもしれない。僕は、この国の民主主義に、彼らの感性に可能性を感じています。

 どうか、国民の皆さん、諦めないでください。闘いはここから再度スタートします。立憲主義と平和主義と民主主義を取り戻す闘いはここからスタートします。選挙での多数派などは一過性のものです。国民の気持ちを、どうか、ずっと、ずっと、この矛盾した、このおかしな法案に、国民の気持ちを、どうか怒りの気持ちを、何とかしたい気持ちを持ち続けていただいて、どうか、どうか闘いをもう一度始めていただきたいと思います。(以下略)