【 ファンケルTOB:キリン vs 香港の投資ファンド 】

 


 2024/7/29、日経電子版に、「キリン、ファンケルTOBを8月13日まで延長 価格据え置き」の記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC293ES0Z20C24A7000000/

 

 以下は、一部抜粋。

 


キリンホールディングス(HD)は29日、同日までとしていたファンケルへのTOB(株式公開買い付け)期間を8月13日まで延長すると発表した。1株2690円とする買い付け価格は変更しない。応募数がTOB成立条件の下限に届かなかったとみられ、キリンHDは「応募状況や今後の応募の見通しなどを総合的に勘案した」と説明している。

 

キリンHDは6月14日、約33%を出資するファンケルへのTOBにより、同社を完全子会社化する方針を発表した。TOBが成立した場合、年内にもファンケルは上場廃止となる。ファンケルはTOBに賛同し株主に応募を推奨すると表明している。

 

2024年3月末時点でファンケルの個人株主の割合は22.88%。株式市場では、ファンケル株は買い付け価格の2690円を上回る状況が続く。

 

ファンケル株を巡っては、香港の投資ファンド、エムワイ・アルファ・マネジメントが買い増す動きもある。キリンHDによるTOBが始まって以降、エムワイはTOB価格を上回る水準で株式を取得している。関東財務局に19日に提出された変更報告書ではファンケル株7.94%を保有している。

 


< 大量保有報告書 >
https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WZEK0040.aspx?S100U2CO,,

 

報告義務発生日:2024/7/16
提出者:エムワイ アルファ マネジメント 香港 アドバイザーズ リミテッド

保有目的:純投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為を行うこと

取得資金合計(千円):5,278,428(顧客資金)
保有株券数:6,637,411株(5.09%
簿価:795.3円/株
(7/16取得:1,626,800株(1.25%)、市場外取得:2,711円)

 

< 変更報告書 >
https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WZEK0040.aspx?S100U2I9,,

 

報告義務発生日:2024/7/18
取得資金合計(千円):15,384,434(顧客資金)
保有株券数:10,343,782株(7.94%)
簿価:1,487.3円/株
(7/18取得:3,569,863株(2.74%)、市場外取得:2,727円)

 

< 株価終値推移(円)>
7/26 2,775、7/29 2,840、7/30 2,903.5、7/31 2,903
(TOB価格:2,690)

ご参考)2024/7/18Bloomberg
「香港ファンドのファンケル株取得、キリンへの挑戦に波及も-関係者」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-18/SGT0CLDWX2PS00

 

MY.アルファの投資方針は積極行動主義(アクティビズム)を認めていないため、TOB価格の引き上げを主導する可能性は低い。しかし、大量保有した事実は、他の株主を動かすきっかけになるかもしれない。キリンHDが提示した2690円は、6月11日時点の終値(1916.5円)に対しては約4割のプレミアムがついているが、5年前にファンケルの創業者に支払った取得額に比べると18%低い。

 


<感想>
TOB価格を上回る価格で買い増しする香港の投資ファンドの狙いは、TOB価格の引き上げにあると思われる。
今回、キリン側は、TOB期間の延長のみで対応したが、今後の対応が注目される。

 

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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