【 旧優生保護法:違憲判決 】

 


 2024/7/3、最高裁で、「旧優生保護法は違憲」との判決が出た。(その2)

 

 以下は、「令和5年(受)第1319号 国家賠償請求事件 令和6年7月3日 大法廷判決」からの一部抜粋。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/159/093159_hanrei.pdf

 


P10~P11
優生上の見地から行われる不妊手術を本人が自ら希望することは通常考えられないが、周囲からの圧力等によって本人がその真意に反して不妊手術に同意せざるを得ない事態も容易に想定されるところ、同法には本人の同意がその自由な意思に基づくものであることを担保する規定が置かれていなかったことにも鑑みれば、本件規定中の同法3条1項1号から3号までの規定により本人の同意を得て行われる不妊手術についても、これを受けさせることは、その実質において、不妊手術を受けることを強制するものであることに変わりはないというべきである。

また、憲法14条1項は、法の下の平等を定めており、この規定が、事柄の性質 に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り、法的な差別的取扱いを禁止する趣旨のものであると解すべきことは、当裁判所の判例とするところである。

 

しかるところ、本件規定は、1)特定の障害等を有する者、 2)配偶者が特定の障害等を有する者及び3)本人又は配偶者の4親等以内の血族関係にある者が特定の障害等を有する者を不妊手術の対象者と定めているが、上記のとおり、本件規定により不妊手術を行うことに正当な理由があるとは認められないから、上記1)から3)までの者を本件規定により行われる不妊手術の対象者と定めてそれ以外の者と区別することは、合理的な根拠に基づかない差別的取扱いに当たるものといわざるを得ない。

 

ウ 以上によれば、本件規定は、憲法13条及び14条1項に違反するものであったというべきである。そして、以上に述べたところからすれば、本件規定の内容は、国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白であったというべきであるから、本件規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けると解するのが相当である。

 


日本国憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 


ご参考)2018/7/13「旧優生保護法における強制不妊手術:未だなされない被害者救済」
https://www.nippon.com/ja/currents/d00421/?pnum=1

 


<感想>
本人の同意があったとしても「実質において、不妊手術を受けることを強制するものであることに変わりはないというべき」とした最高裁判決。70年代に入っても、一部の医師や施設の責任者により、熱心に推奨されたとされるが、そもそも「優生」を保護するという考え方自体に問題があったと思わざるを得ない。

 

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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