【 台湾有事:反戦世論・反米中国寄りの発言を防ぐ 】

 


 先日、「ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界」(峰村健司他、幻冬舎新書、2022年9月)を読んだ。

 以下は、一部抜粋。(その3)

 


中露が脅威であるかぎり、国連だけに頼っていたら国を守れない

 

細谷(慶應義塾大学法学部教授) 端的に申し上げると、国家の安全を守る手段は基本的に3つありませす。個別的な自衛権を用いた自衛、集団的自衛権を用いた同盟、そして集団安全保障としての国連。この3つの組み合わせで安全保障を考えるわけです。その中で一番重要なのは自衛、次に重要なのは同盟、いちばん効力が弱いのが国連。これは昔から一貫して変わっていないと思います。

 国連はそもそも、安保理常任理事国の軍事行動を止められない組織ですから、われわれが中国やロシアを脅威と見なしているかぎり、単純に国連に安全を委ねるべきではない。だからスウェーデンやフィンランドも、ロシアという脅威に対して国連を頼ることはできず、自国の防衛力だけでは足りないので、NATOという同盟に加盟するという選択をしました。これは論理的な必然です。

 それと同様、日本が防衛費を増強し、日米同盟を強化するのも論理的な必然でしょう。国際社会の平和と安定を守る上での国連の機能が低下しているのであれば、ほかに選択肢はありません。国連に過剰な期待をするのは間違いです。

 


台湾有事で、反米・中国寄りの発言をする人たちと戦えるか

 

細谷 今のウクライナ危機に対して「ロシアにも一理ある」などというロジックが日本国内に浸透すると、中国にとって都合がいい土壌ができることになるんです。台湾どころか、「中国のほうが強いんだから尖閣諸島ぐらい与えてもいいじゃないか」という話にもなりかねません。やがては「沖縄も独立させていいだろう」となってしまう可能性だってありえますよ。

 

峯村 中国からすれば、台湾ー尖閣ー沖縄は延長線上にあるものとして捉えているので、十分あり得ます。それに加えて私が心配しているのは、日本人の国防意識です。たとえば2021年の世界価値観調査の結果を見ると、「もし戦争が起きたら祖国のために戦いますか」という質問に「イエス」と答えた人の割合が、日本は13%と世界最低でした。いざというときに厭戦ムードが蔓延して、「戦わずして負ける」ことになるのを非常に危惧しています。

 

細谷 国土を守るという精神が日本において空洞化するのは、中国のような外国勢力から見れば非常に好ましい状況でしょう。圧力をかければ自分たちに対して宥和的な対応になると予想できますからね。中国が日本に対して「憲法9条を変えるな」と言う背景には、当然ながらそういう意図もあると思いますね。

 

中国も、台湾問題については軍事力を行使することは辞さないと言いながら、日本に対しては「対話で解決しろ」と言いますよね(苦笑)。

 

峯村 はい、ダブルスタンダードです(笑)。中国は台湾嗜好の際に、日本の動向が最も重要だと思っているので、さまざまな攻勢をかけてきているのです。台湾有事の際に、日本国内で反戦世論が盛り上がって、日本が後方支援すらできなくなったら、米軍はまともに戦えません。まさに「戦わずして負ける」というシナリオが現実味を帯びてくるわけです。

 

細谷 たしかに、台湾問題に関しては不安だらけですね。

 


<感想>
台湾有事の際に、反戦世論が盛り上がることなく、また反米中国寄りの発言をすることなく、個別的な自衛権を用いた自衛・集団的自衛権を用いた同盟により、中国に対峙する必要がある。

 

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