【 心にとどく英語:mightとwouldの違い 】
以下は、「心にとどく英語」(マーク・ピーターセン著、岩波新書)からの一部抜粋。
やわらかさを感じさせるmight
世の中は不確実なもので、「will do(する)」より、「might do(するかもしれない)」という表現の方が正確なケースが多い。映画『卒業』では、こんな会話がある。
ベン:Will you marry me ?
エレーン:(首を横に振る)
ベン:You won’t ?
エレーン:I don’t know.
ベン:But you might ?
エレーン:I might.
ベン:Is that so ? You might marry me ?
エレーン:Yes.
ベン:When ?
こうして可能性を表すmightは、日本語の「かもしれない」と同様、日常生活の中で一日に何回も耳にする言葉であるが、可能性を表す以外に、言い方を和らげる役割もある。たとえば、
I was wondering if you might like to go to a movie sometime.
というような誘い方がある。これは理屈としては「いつか一緒に映画を観に行く気があるかもしれないと思っていた(けど、どうだろう?)」ということになるのだが、表現としては、むしろ「一緒に行ってくれないかなぁ」といった「気軽」さがある。もし、ここでmightではなくwouldを使って、
I was wondering if you would like to go to a movie sometime.
と言ったら、丁寧は丁寧だが、mightの表現にあった気軽さが消え、少し堅苦しい表現になってしまう。
1953年の傑作映画『ローマの休日』では、デヴェレ川に飛び込んで追っ手をかわしたアメリカ人の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)と王女アン(オードリー・ペップバーン)が、その後ジョーの部屋で二人きりの一刻を過ごす場面に、こうしたmightの例がある。
ジョーは、浴室から出たアンに、注いでおいたワインを渡しながら、こう言う。
I thought a little wine might be good.
これも、mightをwouldにして、
I thought a little wine would be good.
と言ってもよいのだが、そうすれば、”might be good”のもつ「いいかな」というフィーリングがなくなり、もっと断定的な表現になる。つまり、”might”に感じられるジョーの微妙な優しさも消えてしまうのである。
<感想>
助動詞のニュアンスの違いは、つくづく難しいと思う。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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