【 伊藤忠:デサント株式のTOB 】


 2019/2/28、伊藤忠(8001)が、デサント株式(8114)に対する公開買付け(TOB)に関する訂正のプレスリリースを発表した。
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/news/2019/__icsFiles/afieldfile/2019/02/28/ITC190228_j.pdf

 以下は、その概要。


1.伊藤忠の主張等

(1)第三者を介しての正式な話合いの申し入れ
・対象者及び伊藤忠の双方とつながりのある第三者を介して対象者から伊藤忠に対して正式な話合いの申し入れあり

⇒ 当該申し入れを拒絶することは適切ではないと考え、対象者の方針を確認するために初期的な話合いには応じることとし、2月11日に対象者の代表取締役社長である石本氏との間で話合いを開始

(2)石本氏の提案
・対象者の取締役を大幅に刷新することを前提としたもの

(3)伊藤忠の期待
・2月11日、13日、15日及び 20日と継続して行われ、伊藤忠としては対象者との間でTOB終了後の経営体制等について、一定の方向性が見いだせることを期待していた

(4)石本氏らの発言等
・上記(3)の期間においても、石本氏をはじめとする対象者の現経営陣が、報道機関へのインタビュー等において、伊藤忠らの行為を批判したり、改めてTOBに反対する趣旨の発言を繰り返したりしている旨の報道が継続

・また、その内容として意見表明報告書において開示された内容を越える、あるいは一部事実と異なるものも含まれていた

⇒ 伊藤忠として、対象者の現経営陣の交渉態度の誠実性及び話合いにおける石本氏の発言内容の信憑性に疑問を持たざるを得ない状況が継続

・また、上記の話合いにおいては、対象者から具体的な方向性の提示はなく表面的な社外取締役数の議論に留まった

(5)伊藤忠の結論
・TOB期間中に、TOB終了後の対象者の経営体制に関する具体的な方向性について対象者と認識を一致させ、 その方向性に沿った経営体制の内容を対象者が決定・開示することは難しいと判断せざるを得ず

⇒ 伊藤忠としては、2月22日をもって、上記の話合いを打ち切り、TOB開始時点の方針のとおり、TOB終了後に、対象者の経営陣と改めて対話し、 対象者の持続的な企業価値の向上を目指すこととした

(6)臨時株主総会の招集請求の可能性
・上記の話合いにおける対象者の対応を含め、対象者の現経営体制には重大な問題点が露呈してきているとの印象を持っている

・定時株主総会までの期間において対象者の企業価値が低下する可能性が高いと判断した場合

⇒ TOBの結果等を総合的に考慮のうえ、会社法に基づき、対象者に対して臨時株主総会の招集を請求することを検討する可能性あり


2.TOBの概要
 出資比率:現在約30%(筆頭株主) ⇒ TOB後40%(721万株取得)
 TOB価格:2,800円/株(1/30終値1,871円の49.65%のプレミアム)
 取得総額:約200億円
 取得期間:1月31日〜3月14日(30営業日)


3.株価終値推移
 1/30 1,871円、1/31 2,271円(ストップ高)
 2/1 2,771円(同)、2/4 2,605円
 3/6 2,490円


<感想>
 株価が現状のまま推移すれば、伊藤忠の出資比率は現状の約30%から40%に上昇する。
 この場合、伊藤忠は、6月の定時株主総会を待つことなく、臨時株主総会の招集を請求して、取締役の半数以上の確保&経営権の確保に動くことになるように思われる。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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