【 王子HD・三菱製紙:資本業務提携 】


 2018/2/6、三菱製紙(3864)は、王子HD(3861)の持分法適用会社になることを開示した。
https://www.mpm.co.jp/company/news/pdf/2018/20180206-4.pdf


1.外部環境
(1)需要の減少
・我が国の製紙産業において印刷情報用紙分野は、少子高齢化、ICT化の影響を強く受け、10 年前と比較して需要が30%程度減少
⇒ その間、国内の印刷情報用紙メーカーは、余剰設備の廃棄、人員の削減など、コスト構造の改善を図ってきた

(2)海外メーカー
・アジアを中心とする海外の製紙メーカーは、経済成長に伴う自国の需要拡大を背景に最新鋭設備による生産能力の拡大を実施
⇒ 日本市場においても一定のプレゼンスを獲得し、海外の製紙メーカーとの競争は激しさを増す

(3)原料価格の高騰
・資源価格全般における高騰の中、製紙原燃料価格も高騰しており、国内の印刷情報用紙メーカーの事業環境は、ますます厳しい状況に


2.本提携の骨子
(1)資本提携の内容
・王子HDは、三菱製紙の総議決権数33%の株式を所有予定

(2)業務提携の内容 
・2021年度において、王子HD・三菱製紙とも営業利益25億円以上の収益改善効果を想定

< 相乗効果例 >
1) 合弁事業等への新規設備投資による収益の向上
2) 原材料、燃料、薬品他の購入コスト削減
3) 相互OEM、倉庫や二次物流の相互活用も含めた供給物流費の削減 
4) チップ船の共同運航による調達物流費の削減
5) 生産体制の効率化等


3.売上規模等の比較
(17/12決算短信、18/3期予)

       王子HD   三菱製紙
売上    15,000億円  2,010億円(7.5倍)
経常利益   640億円  10億円(64倍)
当期純利益 370億円  15億円(24.7倍)
純資産   7,949億円  577億円
発行済株式 988.4M   34.2M(a)
(除自己株式)
 2/7終値  702円  681円(b)
(前日終値  696円  719円)
 EPS    43.9円  37.4円
 PER    16.0倍  18.2倍
 ROE     2.6%    4.7%
時価総額 6,731億円 240億円(28倍)
(a×b)


<感想>
 本件は、国内需要が減少する中での、同業同士の資本業務提携。
 少子高齢化が進行して、国内需要が減少する中、今後益々、同業同士の資本業務提携は増加するものと思われる。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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