「投資される経営 売買される経営」(みさき投資株式会社 中神康議著、日本経済新聞出版社)を読んだ。
以下『 』は本書からの引用。

あれ、エーザイ(4523)は、『「バランスシートマネジメント」で業績の落ち込みを乗り切る』と書いてあるけど、ホント?

『エーザイは主力商品アルツハイマー治療薬の特許が世界各国で切れたことにより、2010年以降売上高は約3割減少し、営業利益もピークの4分の1ほどの水準に低下しています。しかし不思議なことに、この間もエーザイの株価は大きく落ち込むことなく推移しています。この背景にあるのが同社の柳良平常務執行役CFOが取り組む「バランスシートマネジメント」です。 』

PL数値/時価総額の変化
単位:億円
         2010/3期 2011/3期 2016/3期       2020年ターゲット
売上収益    8,031*   7,689     5,479(*比▲32%)
営業利益     864    1,131*     519(*比▲54%)
当期利益     403     674     549
時価総額     9,890    8,849*   2兆77(*比+127%)
ROE        8.0%   12.8%    9.6%           10%
DOE        8.5%    8.1%   7.5%            8%レベル
自己資本比率 52.7%   53.6%   58.9%           50%
Net DER     0.68     0.51    0.11            0.3以下

ここ5~6年で、売上収益は30%超、営業利益は50%超減少しているにも関わらず、時価総額は倍以上になっている。

数値だけではない何か、それが「m」=management であると本書は指摘する。
managementに対する期待値、それが株価に反映しているように思えてきた。


 『発想を逆転し、 「あるべきBSの姿」というストックを出発点とすることで取れるリスクが明確になる。一時的にPL上のフロー収益が落ち込んだとしても、CCCの改善により中長期的な企業価値は高め続けることができる。
 それを証明しようとしているのが、エーザイの「バランスシートマネジメント」という優れた「m」ではないかと思います。』


会社のHP「株主価値創造に向けた資本政策」(出所:http://www.eisai.co.jp/ir/stock/return.html)も大いに参考になる。


明日以降も、エーザイ同様、本書の持続的価値向上の事例集に掲載されている会社を採り上げてみたい。