大多数の唯一無二にはなれなくても、あなただけの唯一の光になれたらいいな。
だって、あなたの事が好きで、隣にいたいから。
そんなテーマを考えながら、朗読劇「レディメイドレディ」を書きました。
どうも、鶴野有紗です。
キミに贈る朗読会
「レディメイドレディ」
脚本・演出を務めました!
せっかくなので、感想や設定を書いていきたいなと思います。
まず、キミに贈る朗読会自体は何度か演者で出演しており、そのタイミングで運営の方にお声がけいただいた次第です。
有難いことに何度か打ち合わせを重ね、記念すべき初回となる今回は、楽しく明るく、笑えて、でもグッとくる話を、という形にまとまりました。
その結果、お嬢様です。
可愛い女の子には、お嬢様、やってもらいたいので。自分。
(笑)
最初の打ち合わせでは、本当は貧乏だったり名前がめっちゃ古風だったりする子達が、お嬢様の名前を作って切磋琢磨する……みたいな感じでした。
尺の都合上、ある程度省きましたが、チラホラとその設定が残っています。
せっかくなので1人ずつキャラクターをピックアップしましょうか。
クレア
明るくて自由奔放なんだけど、ちゃんと人の痛みを知っていて寄り添える子。
がテーマでした。
マリアと同じく明るいけど、マリアと違って他人ファーストな部分があります。
自然と人の顔を伺える優しい子ですね。
個人的に書きたかった部分は、
皆ないものねだりだけど、それってきっと素敵な意味なんだよ。相手と自分の違いがわかってるってことだし、相手にあるものがあなたになくても、相手ないものがあなたにはあるんだよ
というところです。
それはきっとマリアに1番足りなかった部分なんだろうなぁ。
幸せになれ。
マリア
明るいけど一方で一生懸命すぎて息切れしてしまうタイプの女の子。
がテーマです。
頑張ってる子って、気づいたらもう限界なんですよね。自分じゃなかなか限界って気づけないし、限界って決めたくないから。
そして、貧乏な家庭に育ち、なんとか父親と暮らしてきたマリアからしたら、金持ちで明るいクレアはホッとする存在であり、常に比較対象でした。
逆にクレアからしたら、父親と大変ながらも仲睦まじいマリアが羨ましかったんでしょうけどね。
マリアと出会って、苦しい時は苦しいって言ってもいい、辛いことから目を逸らしてもいい、と教わって、成長していきます。
幸せになれ。
セーラ
個人的に一番私の性癖です。すいません。
今回のカップリング、すべて年下攻めだと本番で気づき、私は動揺しています。
セーラは年下という自負があり、いつまで経ってもシェリーに追いつかない事に焦りを抱きつつ、シェリーの前では優秀な自分でいようと心がけています。
実際、シェリーの前では無限に頑張れちゃう子なので、苦ではないようです。
いわゆるスパダリ枠、ですね……。
そんな一見クールで大人びてる子が、年上のふとした言葉で撃沈してる様を見ることに生きがいを感じています。
ありがとう。幸せになれ。
シェリー
周りに合わせてる事が心地よくて、でもそれが自分の存在価値を透明にしてしまっている大人と子どもの間。
がテーマでした。
大人なんだから、子どもみたいなワガママ言っちゃダメ。と自分で自分を決めつけてる癖に、自分はどうしたいのかなって不安定。
誰かの特別になりたい。それがセーラで本当にいいの?私なんかに?
なんて、常にグルグルしている子です。
そんなフラフラしてても、大丈夫。
なぜなら隣にセーラがいるからね。
どっしり構えてくれるセーラのおかげで、本心に気づく展開が好きです。
幸せになれ。
るい
やっと知った恋を失ったからこそ、新しい自分に出会う女の子。
がテーマです。
色のない世界でようやく出会った女神、ゆうひさんのおかげで生きる意味を見出したのに、呆気なくいなくなってしまう。
その先で出会ったのは、「私はちゃんとあなたを見ている」と言ってくれるお日様のような子。
るいはあえてセリフ中に「ちゃんと」という言葉を組み込んでいますが、おそらく「ちゃんと」って言われ続けたがゆえの枷なんだろうな。
追いかける愛じゃなく、追いかけられる愛のおかげで、本当に自分が欲してるものを知ることが出来ました。
幸せになれ。
ひまり
真のお嬢様だからこその、一直線。
がテーマでした。
本当にお嬢様として育てられたひまりは、姉であるゆうひが好きであり苦手でもありました。
自分の知らない誰かを好きにならないでよ、なんていう、妹ならではの悩み。
それが段々と、じゃあその誰かって誰?に繋がり、実行されます。
自分が尊敬する姉が、更に尊敬する相手。その人こそ、もっとすごいお嬢様なのでは?
そして出会うのがるいです。
ひまりのように外側を追い求めてるようで、全く違う。るいは、本質を求め続けている。
その姿を見て、いつしか姉の事は二の次でるい自身に興味を持ち始めます。
いついかなる時も迷わぬひまりこそ、本当にお嬢様ですわよね。
幸せになれ。
では、ここからは好きなシーンやセリフごとに振り返っていきます。
今回は台本販売がないので、ここでちょっくら色々思い出してくれよな。
ごきげんようクエスチョン
プロローグから大喜利をぶっこみました。
急にごめんね、と思いつつ。
あえて見てくださる方が各キャラクターの解像度が低いうちに、アドリブパートやるか!という形です。
今作がお嬢様をテーマにした以上、序盤以外にアドリブできる部分を作ってしまうと作品が破綻してしまう可能性があったので、ここしかない!とぶち込みました。
お題はなんと全て回替わり。
かつ、稽古の分も作りました。
つまり鶴野は30個も作ったのだな。
楽しかったなぁ。
シェリー「……あのね、セーラちゃんは、きっとどこに行ってもやっていけるの。だからこそ……、時々怖くなるの。私が足を引っ張ってしまうかもしれないって」
セーラ「え?」
シェリー「言わなくちゃって、ずっと思ってた。私達はずっと二人でいたけれど、いつかは、そうじゃなくなる。職場でも、きっと部署が違ったり、少しずつ、一緒にはいられなくなるの。だからこそ、お嬢様倶楽部での時間が、とても愛おしく思えて」
セーラ「何を言って……」
シェリー「マリアちゃんとクレアちゃんを見てると、まだ、時間があるっていいなって……。ふふ、大人なんだから、そんな事、思っちゃいけないんだろうけど」
セーラ「……シェリー」
シェリー「なぁに?」
セーラ「……わかっているでしょう? 私が選んでるの。シェリーといられる未来を」
シェリー「セーラちゃん……。ありがとう」
セーラ「なのに、あなたはいつも“ありがとう”って言うだけ。“ただの後輩”として接するのが、あなたの優しさなら……。私は少し、ずるい人になってもいい」
シェリー「へ……」
セーラ「ねえ、シェリーさん。私は、ただの後輩でも、ただの幼馴染でも、ありませんのよ」
“ここ”ね。
めちゃくちゃ好きです。
今回すべてのペアが、それぞれのペアのないものねだりや支え合いをしているのですが、シェリーセーラペアは、マリアクレアペアに対して、まだ子どもだからこその猶予を憂います。
でも、マリアクレアのように子どものようなワガママを知り、分かり合うのです。
幼なじみだからこそ、言わなくても伝わるけれど、幼なじみだからこそ、言葉にしなくちゃいけない事もあるよね。という。
そして、セーラが言う「ずるい人」ですが、これはセーラ自身がいつもシェリーに思ってることなんですよね。
こんなにも私はシェリーの事好きなのに!ってタイミングいっぱいあったんだろうなぁ。
実際、最後のシーンで、
セーラ「やっと聞けたの。……どこにも行かないでって、その一言。やっと、シェリーの本当の気持ちが聞けた気がする」
シェリー「私、セーラの隣を譲りたくない」
セーラ「ふふ、……幸せで死んでしまいそう」
シェリー「やだ、死なないで」
セーラ「……ずるい人」
と、なっているのですが、結局はセーラはシェリーに甘々なんすよね。カァーッ。
幼なじみだけに見せる顔、プライスレス。
ありがとう世界。
セーラ「私も行きます。……伝える勇気は、ひとりじゃないほうが強くなれますから」
シェリー「セーラ……」
セーラ「すぐ戻ります。少しだけ、誰かの為に走ってきてもいいですか?」
シェリー「……もちろん。行ってらっしゃい」
ここも、好きなシーンです。
シェリーの隣が居場所だからね、と伝えるセーラに対し、不安がるシェリー。
絶妙なすれ違いがもどかしいです。
ちなみにこの二人はひまりとるい、クレアとマリアのどちらのペアも支える、本当の意味で大人なペアでもあります。
唯一、年月を重ねているペアでもあるので、他のペアを助ける役割も果たしてほしいな。と思いながら書いていました。
ちなみに余談ですが、シェリーも高校生の時にお嬢様倶楽部に、「セーラにふさわしい姉になる為に」と入部しています。
結局寂しくてセーラを誘ってますが。
というかお嬢様倶楽部ってなんなん?
路地裏公園で何をやってるの?
って話ですが、その話は長くなるので、いつかお嬢様倶楽部誕生の回が書ける事を願っててください。
とにもかくにも、だからシェリーはクレアとマリアに対して甘々なんですよね。
マリア「……ねぇ、クレアは、マリア達のはじめまして、覚えてる?」
クレア「はじめまして?」
マリア「うん。クレアがマリアの家に初めて来た日」
クレア「覚えてるよ! チーズケーキ半分こしたもんね」
マリア「そう。……あれね、ほんとは嫌だったの。家族が増えるのも、嫌だった」
このチーズケーキは、クレアの母が友好の証として持ってきたもの。
マリアは今まで食べたことのない高級そうなチーズケーキを見て、居心地の悪さを覚えます。
その時は無理して「美味しいね」ってクレアに笑いかけたんだろうか。
クレア「結局はさ、ないものねだりなんだろうね」
マリア「うん。そうなんだろうね」
クレア「でもそれって、素敵じゃない?」
マリア「どういうこと?」
クレア「ないものねだりってことは、自分にはないけど相手にあるものに気付けてるってことだし、逆に相手になくて自分にあるものもわかるでしょ?」
マリア「自分にあるものは、自分じゃ気付きにくいよ……」
クレア「じゃあ教え合おうよ! クレア達はそれができる!」
マリア「教え合う……?」
クレア「マリアのいいとこ、いっぱい教えるよ。だからその分、クレアのいいとこもいーっぱい教えて?」
マリア「ふふ、何それ」
キャラクターの話をした時にも出てきた所ですね。
この二人は見事に凸凹が噛み合うなぁと思います。
ネガティブになるけど誰より優しいマリアと、ポジティブで引っ張っていけるクレア。
たとえ家族じゃなくなっても、姉妹じゃなくなっても、ずっと一緒にいてほしいなって思います。
大学生になったら二人暮らししてほしい。
切実に。
大人編を誰か書いてくれ。
るい「……家いるのが、楽しくなくて、苦しくて、家出をした日……、ちょうど、この公園にその人はいたの。絵本で見たようなお嬢様で、キラキラしてて……、一目惚れだった。そして、その人は言ったの。『本物のお嬢様って、どんなときも自分を信じて、相手を思いやれる人のことよ』って。……私が、どれだけその言葉に救われたか……」
ひまり「本物のお嬢様……」
るい「私は、ちっともお嬢様でもなんでもないの。ただ、誰かに愛されてみたくて、ちゃんとした人間にならなきゃって、それだけで。でもその時の言葉が、私の中で灯りみたいになって……気づいたら、追いかけてた」
るいの過去について。
家庭環境がよくなく、友達もいない。孤独を嫌いながら孤独であることに理由をつけて安心をしていた、るい。
お嬢様倶楽部で灯りに出会います。
ゆうひ、ひまり。どちらも暖かな光をイメージして名付けました。
誰かに愛されたいのに、愛され方を知らない彼女に必要なのは、ただひたすらに真っ直ぐ愛してくれる存在だったのかもしれません。
るい「なんか……、すごく、変な気分。憧れだった人が、もう手の届かない場所で幸せになってるって、わかってるのに……。胸の奥が、ちょっとだけ、ぎゅってなる」
ひまり「……わかります。大切な人が幸せになるのは、嬉しいはずなのに、どこかで寂しくて……」
これは私自身の話です。
幼なじみが兵庫でいつの間にか結婚して子どもを育てていたり、推しが結婚したり、色んなところでこういうタイミングはあるのではないでしょうか。
嬉しいことなのに、快く喜べない自分って、あまり心地よくないですよね。
実際オタクやってて思うんですけど、私は推しの本当に上澄みしか知らなくて。それは当たり前なんですけど、推しが手の届かない場所で幸せになったり悩んだりしてんのかな……って思うとむず痒くなる事があります。
まぁ知る必要はないのでいいですし、上澄みを知ることが出来てるだけで幸せなんすけどね。
推しが立場的にでかくなったり評価されてもこうなります(古参オタクの性)
ひまり「……ええ。仮初の見栄えで生きる自分は、まるで既製品、レディメイドのような人間だと感じていました。自分の中に本当の何かがある気がしなかったのです」
今作のタイトル、レディメイドレディ。
メイドさんの話かな?と期待した方は申し訳ない。
お嬢様を目指す子達は、オリジナリティを失ってレディメイドになっていく。
でも本当に大事なのは、自分自身を作り上げていくこと。
本当のレディをメイド(made)していくこと。
という所から名付けました。
あとは「さよならレディメイド」という曲があるのでオススメです。
ひまり「はい。お姉さまの言葉を借りれば、それが『本物のお嬢様』の姿だったのでしょう。そして、ここにいる皆さまを見て、私はもうひとつの大切なことに気づいたのです。それは、心だけではなく、行動や言葉の一つ一つにも気品を持たなければならないということ。お嬢様という存在は、外見や育ちではなく、内面と行動で示すものだと」
マリア「確かに、ちゃんと伝えたりすることは大切だものね」
クレア「好きって気持ちを、大事に出来るのも素敵なことだと思うわ」
私は常に、作品や文章などを通して「好きを言葉にしてちゃんと伝えること」の大切さを書いています。
好きなんてなんぼ伝えてもいいですからね。
相手に迷惑になるような押しつけはよくないですが。
ほんと、思ったよりも好きってちゃんと伝わらないんです。
くどいくらい伝えた方が、きっといい。
好きの気持ちが届かないのも悲しいし、好きが届いて笑顔になれるなら、それが何よりだと思います。
作中では、るいが好きと言えずに後悔したからこそ、シェリーに「伝えた方がいい」と言います。
人も、物も、何もかも、いつ目の前からいなくなるかわからない。
推しも、コンテンツも、いつなくなるかわからない。
だから、好きと言える幸せを噛み締めて、生きていきたいですね。
衣装について
今作の衣装は原案のみ担当させていただきました。
こんな感じの色とイメージです!と画像混みで伝えただけですが……。
各ペア絶妙な色違いスタイルで可愛いですよね。
ヘアアクセも全員にマストにつけたいと要望を伝えました。
ヘアアクセ、あった方が可愛くね????
可愛い女の子にはヘアアクセなんよ。
自撮りもありがてぇしさ……。
音響について
BGM等も選んだのですが、意図せずBGMのタイトルが各シーンにめちゃくちゃ合ってて感動しました。
タイトルの共有は出来ないのですが、めちゃくちゃ感動したのでそれだけ書かせてください……。
ということで、めちゃくちゃ長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
2公演目のアフタートークでも言いましたが、鶴野の次回作はどちゃどちゃ暗い話だと思います。
私は躁鬱を作品で繰り返してるので😂
次はめっちゃ鬱な作品のプロットをねりねりしてます。
お楽しみに……。
余談なんですが、私の推しの傾向は
年下美少年です。
「僕だって男だけど?」
が似合う子が大好きです。
男の娘キャラも好きです。
おまわりさん、私です。
許してください。
よろしくお願いいたします。
あでゅ〜。