長い、長い戦いだった。
脚本がボロカスに言われる夢を見ながら脚本を書きあげ、稽古がボロカスになる夢を見ながら稽古を乗り越え、タグポストでボロカスな感想をもらう夢を見ながら本番を走りきった。

改めて、今回はありがとうございました。


朗読劇『館、あるいは情景』
脚本・演出、そして金曜日と土曜日は安居院ハル役で出演しました。


ひえー!
私の弱弱メンタルは、なんとか耐えきったな……。

勝手な自滅が得意分野でして、常に胃がキリキリしてる状態での戦いでした。
今回が私にとって3作目になる脚本演出なのですが、そんなまだまだ初心者マークがついてる人間が、二面舞台での朗読劇、だと……?
演出、どうすれば、いいの……?

なんて不安と戦いながらだったので、皆様の優しい感想などを見ると「これが現実……思ったより悪くない世界じゃないの……」なんて思ったりします。
本当に、本当に、ありがとうございます。
救われる思いでございます。



今から長い解説や裏話をしますが、正直これらは追加要素みたいなもので
今回は朗読劇単体で色々考えられたらな、と思っていました。

どこまで考えても、考えなくても、それがあなたの今だよ的な。
あとは、話の筋を深く考えるのもいいですが、自分自身について考えてもらえる時間が一瞬でもあればよいなとも思っていました。


あとがきにも少し書いたんですが、多面的な世界で視界が狭くなってしまっていることが多く感じる今日この頃です。

この朗読劇は推しだけ見てたらそこの情報しか得られないだろうし、その視界や思考からしか得られるものはありません。
そうなると物語の大筋はわからないかもしれない。
でも推しの良い表情や、推しが言ってたセリフは強く強く残る。
それもいいじゃあありませんか。
それが人生だよ。

世の中、万人が納得する作品なんて存在しないし、万人が大好きな人間でさえアンチはいるし、そういうもんなんです。

怪盗団ロズロズを作ったのも、そういう世界を少しでも笑い飛ばして楽しくしてほしかったからです。

演出でも、ここをこうした方が綺麗に見えるので……という、視覚的な演出が今回いつもより多かったかな。
あとは演技の道筋だけなるべく丁寧に提示して、そこから先はその人におまかせする所も多かったです。



全員が主人公となる群像劇は、どうしても起承転結が甘くなりがちで、時間が足りないことが多発します。
しかし今回まではどうしても群像劇を書きたかった。
多少無理やりでも、それぞれの主人公に私が観劇者に伝えたい言葉を代読して欲しい。
それが、私という人間が脚本を書くエゴ、自我なのだ、と思っていました。

次回からはハッキリと主人公ヒロインがいる話を書いてみたいなと思いつつ。

そう、そうだよ、ほんとは最初アオハルものを書こうとしてたんですよ。

でもNOVAさん(運営さん)から、次の会場ここにしてみたくって!と言われて一緒に内覧したら、かっこいいのなんの!

水も貰えるんですか!?
ウェルカムドリンクじゃん!!

なんて思ったりもして。

その結果、ここではアオハルをやるのではなく、脱出ゲームや謎解きをやった方がおもろいかなーとなりました。

ウェルカムドリンクも貰える事ですし、ここを今から館とする!的な感じで場所の設定はすぐに思いつき、そこから案をネリネリしていく作業です。


私自身マダミスや謎解きが好きなので、今回は登場人物達に裏ミッションみたいなの与えたいな……

犯人役とか作りたいな……でもトリックを考えれるほど賢くないな……

観客を巻き込みたいよな、来てもらったタイミングで舞台上に付箋貼ってもらうとか……?なんか動かしたいけど、でも負荷かけたくないしリスキーは避けたいな……

うーん……


じゃあ雰囲気をマダミスにして全員分の裏ミッション作って、観客は登場人物にしてみよう!!!!!!!!!

となり、オチが出来上がりました。
今回はオチとタイトルが最初です。

3分休憩も最初から組み込んでいました。
「休憩!」ってセリフで言って、本当にリアル休憩いれたらどんな空気になるんだろうなっていう実験です。

作中で、時間も価値があるものと言われていましたが、3分って改めて感じるとめちゃくちゃ長くない?
観劇中はあっという間なのに、いざ休憩だと言われたら長く感じるのは不思議ですよね。

あとBGM!
今回も200曲くらい聴いて決めたんだけど、それにしてはめちゃくちゃスッキリ全部決まった!
3分休憩の時のBGMめっちゃ好き。
あとは私の好きな音楽ジャンル、エレクトロスウィングをメインに置こうって決めてました。
オープニングとか、エンディングでかかってた曲達です。
ワクワクするから大好きなんですよ!!!!
エレクトロスウィングはいいぞー!!!!!

そう、ドキドキワクワクを今回は特に意識しました。
セリフにも何度も出てきますが、多分人生を豊かにするのはこの2つの感情な気がするんです。
この感情を共有したい気持ちがいっぱいでした。


ここからは演出面の話もしていきます!
まだまだ続くよ!



舞台セットはこんな感じで運営に伝えました。





はい。
これを具体的に形にしてくれた舞台美術の方に、私は頭があがりません。

今回は二面舞台なので、どちらかの面を優先するともう片方の面が見えない、という事になってしまいます。
逆にそれを活かして、このシーンはこちら側の面にはむしろ背中を見てほしいな、このシーンは横顔のシルエットを堪能してほしいな、とか、交わらない視線やそれが交わる瞬間をよく見てほしいな、というのを細かく細かく作り上げていきました。
なのでキャストはかなり大変だったと思いますが、顔の向きをかなり細かくつけさせてもらったよ。
このセリフで月を見て、このセリフでは相手じゃなくて太陽を見て、などなど……。

ギャー!!!
太陽と月の話忘れてた!


今回は太陽と月をメインテーマにしています。

夢川が盗んでいた本は私の私物で、角幡唯介さんの「極夜行」という本です。
私はこれを読んだ時に衝撃を受けました。
極夜という、数ヶ月太陽を見ない生活を続けたら人はどうなるのか、というのを実際に探検した方のノンフィクション作品なのですが、もう、本当に壮絶で……。
そして、数ヶ月太陽を見なかった人間が太陽を目視した時の感情が、超リアルで……。


私自身、世界が不思議だなと思うことがあります。
季節によって感じる空気が違うし、朝と夜じゃ見える景色も違うし、それがなんだかとっても大切な事な気がして。

あと、人と関わる度に、自分は本当に陰の者なのだなと痛感してしまうのです。
パッと見ヘラヘラしてるし、声も態度もでかいので明るく見られがちですが、基本は鬱々とした感情を抱いてますし、家に引きこもっては涙活とかやってるやべぇ奴なんです。
いつだって情緒不安定だし、他人と比べては落ち込む日々。
貯金額が理想まで達した時、喜びの次に「これ明日死んだらなんなんだろうな……」とか秒で絶望して、その日の夜にゲーミングPCやら機材やら爆買いしたり、ゆで卵を徐に大量生産して5個目で気持ち悪くなってショックを受けたり、赤いリップが好きでめっちゃ集めてたらコロナ禍になってリップの意味なくなって落ち込んだり、酔った友達に「鶴ちゃんには自信だけが足りないんだよ!」と1時間説教され1時間泣き続けたり、

散々な毎日です。

それらを5人の登場人物に分散させました。

夢川は、私の明るい部分を昇華してほしくて、ただひたすらに明るくしてもらったし
安居院は、自分の劣等感を隠したいから態度と声がでかい所を昇華してほしかったし
本宮は、搾取される事に疑問を抱きつつも何も出来ない無力さを昇華してほしかったし
清華は、自分自身が大切だと思うものの実行できない所を昇華してほしかったし
山口は、心の弱い部分を勝手に踏み荒らされてどうしようもない立場なのを昇華してほしかった


今回セリフを決め打ちで書いていったのですが、その一部分を紹介しようかな



「順調に、死にたいなぁ」
これマジでしょっちゅう思う。順調にって何?って思うかもなんですが、なんかサクッと、いい感じの流れで死にてぇ!って思うんですよ。でも同時にぜってぇ死にたくねぇ……もやってくる矛盾の狭間によくいます。だからこそ、もう何も考えずにゆっくり寝たいよね。

「本宮、さんはさ。多分、与えられた事があんまりないだけだよ。愛とか、感謝とか、何か具体的なプラスの感情。これらを幼い頃にどれだけ与えられたかどうかで、きっと人格は変わってく」
これガチそうじゃない?
色んな人の人生を聞いてきて、なんとなくこれが立証されつつある気がする。
幼少期の環境や教育は、大人になると如実に表に出るよね。

「自我がいらない日々ってのは、どんどんアイデンティティが消えてくわけ。結局、どこまでいっても消費される人生なんだ」
これもガチでそうじゃない?
毎日段々心が死んでくと、いつの間にか搾取される側が固定されてくるんですよね。
当たり前なんだけど、自我が強い人の方が生きやすそうだもん。
ここぞと言う時に意見が言えたり、周りから注目を浴びることに慣れてる人が羨ましかったりする。
俺は弱いオタクだ……。

「空の青さも、心地よい風も、聞こえてくる誰かの声も、涙も、きっとどれも……、一期一会のはじめまして。全部全部、大切でなくしたくないものだなって」
これは私が失いたくない心です。
空の青さを見ても心が動かなくなったら、終わりだなって。
この感性は死ぬまで持ってたいな。
大切なものをいつまでも大切だと思い続けられる、そんな心でありたいな。

「例えある程度レールの敷かれた道でも、その道のどの部分を見るかは茜里次第だもの。どこにいたって揺るがなければ、大丈夫」
人生って案外、自分で選べる道って少ない気がしていて、社会の歯車に組み込まれる以上制約に縛られる日々だと思うんです。
でもその道の地面を見続けるか、前を見て遠くを見るか、上を見て空を見るか、横を見て景色を堪能するかは自分次第だなって。
自由なメンタルを持って、生きたいね。

「あんたの歩幅で私の世界を勝手に歩くな。私、私は、私の地獄は自分で選ぶって決めてんだ。自分の命は自分で握んだよ」
「別に、その人それぞれの生き方があるだろう。何をもってしてつまらないかは口出しするべきじゃない」
これね。
お前の物差しで私の人生を測るな、ってやつです。
人生損してるよ!って言われることが多いんですが、私自身は全然そんなこと思わないし!
生きるの辛い、って言葉に人生まだまだこれからだよ!とか言われても、今がよくないと未来に希望なんて持てないし!とか、卑屈な私が色々考えてる事です。
幸せの形は人それぞれだよ。
なるべく人の心に寄り添って、生きていきたいな。

「感情が強く動いても、動かなくても、それはあなたの感受性の賜物よ」
感受性の違いが大好きです。
同じ作品を見ても、みんな好きなポイントとか、嫌いなポイントが違うじゃん。
それ、おもろくね?
ただまぁ、それを押し付け合うと話は別です。
あくまでそれぞれの物差しを、鑑賞し合うのが好きなのです。


てな感じかな。


太陽と月の話の補完もしちゃおう。
今回のキャラクターは太陽と月、どちらかに分類されています。
  • 夢川と観客の皆様
  • 安居院と本宮
  • 清華と山口

どのペアも、太陽の眩しさに月が感化される流れになっています。
観客の皆様は太陽である夢川に強制的に休憩させられたり、舵をとられる、という面をとっています。
そして本宮は月属性ではありますが、同じく月属性の山口から「あんたはまだ、太陽になれるよ」という事を遠回しに言われるシーンがあります。
月属性同士だから空気感が合うし、同じ属性だからこそ、微妙な違いにもわかる。
旭はまだ、昇ることを知らないだけだよ。
なんて事を山口は伝えています。
そして逆に同じ太陽属性同士はめっちゃ仲良しになるか、めっちゃ同族嫌悪になるかの2択かなと。
仲良くなった夢川安居院に、仲良くなれない安居院清華。
それでいうと、観客の皆様は同じ月属性の山口や本宮の思考に共感できることが多かったのではないでしょうか。
知らんけど。




ではここからはキャストに資料として渡したものを共有します。
全キャラ、バックボーンと小噺を書いています。
シナリオを書く前に書き上げたメモです。
どうしても思考のパターンを作り上げたくて書きました。


登場人物詳細・単語メモ

夢川那月(ゆめかわ なつき) 記者
(年齢)26
(性別)女
(好き)ゆで卵
(嫌い)生卵
(説明) 最近良い記事が書けなくて困っていた所、上司に「ここで良いネタ取ってこい」と招待状を渡されて来た。基本はかなりのポジティブ人間で、どんな状況も楽しめる精神を持っている。それが逆に怖いと周りから噂されていたりもする。
(経験)幼稚園の時に父親が蒸発。母親はヒステリックになりながらもなんとか那月を育ててくれた。那月も小学生の時から家事を手伝い、今でも甲斐甲斐しく母の世話を焼いている。高校卒業後は叔父さんの会社にて、雑誌「BreAKer」の記者として働いており、主に非日常の日常を切り取った記事を担当している。
(小噺)「夢とジャメヴ」
ずっと、はじめての経験をしている気がする。
幼少期からずっとずっと、何もかもが新鮮に見えていた。空の色も、美味しいゆで卵も、出会う人も、毎回はじめましてのような気持ちを抱いてしまう。
私はこの世界においてどういう存在なのか?何もわからない。わからないけど、ただ、この気持ちを文章にする事が好きだ。人と話すのが好きだ。様々な感情、どれもすべて、愛している。本当だよ。
(裏話)
『怪盗団RzRs』(ろずろーず)のリーダーである。
面倒見の良いみんなのお姉さん。
基本的には気まぐれな団長に振り回されながら、俯瞰的にみんなをサポートしている。
元々は転職に失敗した所を団長に拾われた、ロズロズ創設メンバーの1人。
味噌汁が好き。
本名はノゾミ。

安居院ハル(あごいん はる) 貴族
(年齢)16
(性別)男
(好き)肉じゃが
(嫌い)ピーマン
(説明) 男爵。坊っちゃま。しかし最近は経営が厳しいらしい。安居院家をどうにかするべく、今回のパーティにも出席している。態度と声がでかい事が長所だと自分で言っているが、その実、究極のヘタレでもある。
(経験)安居院家の次男。長男は海外を転々としており、なかなか帰ってこない。両親は優しすぎるが故によく騙されてしまい、どんどん経営が厳しくなる一方である。騙されないように常に両親に対し口を酸っぱくしているが、正直甘えたい気持ちもあったりする。
(小噺)「欲」
アレが欲しい、コレが欲しい。
愛が欲しい、夢が欲しい。
何かを欲する事は、いけない事なのだろうか?
否、そんな事はない。絶対に。
ボクは常に色んなものを抱えている。
誰かを見た時、胸が熱く昂る事がある。
これを、欲と言わずに何と言う?
欲を満たす為だけに、ボクは進む。前へ前へ。
(裏話)
『怪盗団RzRs』(ろずろーず)の一員である。
物静かな文学青年。
団の最年少だが、かなり大人びている。
本当に良いとこの坊ちゃんだったが、とある事件に巻き込まれ孤独になった所を団長に拾われた。
辛いものが好き。
本名はハルオミ。

本宮旭(もとみや あさひ) 従者
(年齢)27
(性別)どちらでも
(好き)水
(嫌い)血
(説明) とある家で働いているらしい。騒動の末、自分の主を見失ったが「まぁいいか」と放っている。物腰は柔らかい。冷静沈着を絵に書いたような人間だが、ただ他人に興味がないだけだったりする。貯金が趣味なので、お金があれば動く。
(経験)代々、宇都宮一家の従者となる家に生まれ、幼少期から従者としての心得を仕込まれてきた。ただ特に自分自身は宇都宮家に感謝の気持ち等微塵も湧かなかった為、楽しさはあまりなく、将来どこかにいく事を夢見て貯金に勤しんでいる(そもそも忙しくて使う暇がないが)。
(小噺)「本宮旭は笑わない」
本宮旭は感情を失っている。
そう評価していただく事が多いのですが、別に、まぁ、そういう訳ではないと思う。
ただ興味が湧かないだけ。
話すことも得意ではないですし、付け焼き刃の敬語じゃいつかボロが出る。絶対出る。
笑い声も笑った顔も嫌いだから、それを避ける為に日々を過ごす。
今日も、冷静に、沈着に。
……てか冷静沈着ってどういう意味だ?
(裏話)
『怪盗団RzRs』(ろずろーず)の一員である。
力こそパワーの脳筋。
演技があまり上手くなくボロが出てしまう為、任務の時は静かな役が多い。
意外と本人が思っているより演技は上手い。
快活なよく笑う、みんなの頼れる存在。
本名はリツ。

清華茜里(きよはな あかり) 令嬢
(年齢)22
(性別)女
(好き)フィナンシェ
(嫌い)カボチャの冷製スープ
(説明)伯爵。知る人ぞ知る清華家だが、本人は絶賛反抗期中。今回のパーティではイケメンを見つけに来たが、好みはいなかった模様。サバサバした性格かつ美人で、本人もそれを自覚して武器と見なしている。
(経験)一人娘ということもあり、かなり蝶よ花よと育てられてきた。茜里もそれに甘んじて生きてきたが、大学生になり世間の広さを知る。そして卒業が近づくにつれ、家の為に進路が決められていることに気づき不服な模様。
(小噺)「箱庭の鳥」
誰かに選んでもらった服に、誰かにやってもらったメイクに、誰かに作ってもらった食事に、疑問なんて抱いたことなかった。
けどそれは箱庭の中にずっといたから。
……外に出てみれば、自分で何かを選べない人間のなんと弱いことか!
これじゃダメ。茜里はもっと最高の人生を歩める。
自分の足で、自分の手で、選択していくの。
紅いリップを唇に乗せて、今日もどうぞ魅了されてよ世界。
(裏話)
『怪盗団RzRs』(ろずろーず)の一員である。
心優しい女の子。
その為どの役を演じても誰かをサポートすることが多い。もっと前に出ろとよく言われる。
団長とは親戚で、結成前からお手伝いをしていた。リーダーであるノゾミに懐いている。
本名はメイ。

山口冬華(やまぐち とうか) 作家 鬼木あざみ
(年齢)28
(性別)女
(好き)休日
(嫌い)締切
(説明)鬼木あざみ(ききあざみ)という名義を使っている。館を取材して作品にした経緯から、今回のパーティにも呼ばれていた。常に締切と幽霊と己と戦っているので、現実の人間にリソースを割いていない。
(経験)両親が幼い頃心中し、施設育ち。高卒後のバイト中に書いていた小説が新人賞を取り、あれよあれよと作家になっていた。そこから、頻繁ではないものの数回作品を出し、有名な賞にもノミネートされた。本人的には生きる為に仕方なく作品を書いている社会不適合者と名乗っている。
(小噺)「月火傷」
人は太陽か月に分類されることがあるが、きっと私はどちらにもなれないハミダシモノなんだろう。
月は太陽さえいれば輝けるけれど、私はきっと、照らされても蒸発して消えてしまうだけだ。
……月になりたかった。
太陽と真正面から向き合ってみたかった。
そんなほんの僅かな希望を抱いては、馬鹿らしいと捨て去る日々。
まだ『生きたい』と、願ってしまうのをやめてしまいたい。
(裏話)
『怪盗団RzRs』(ろずろーず)の一員である。
生粋のお嬢様。
団長とは長い付き合いで、最初はただ怪盗団ロズロズに投資しているだけだった。
最近は人数集めに使われているらしい。
満更でもない。
本名はカレン。

「箱庭の月」鬼木あざみ
~あらすじ~
館で暮らすヒバリは、幼馴染の『クイナ』に会うことを夢みて日々を過ごしていた。
とある日、館で開かれた晩餐会でクイナと似た少女を見つけたヒバリは、その姿を追いかけて館の奥まで行ってしまう。
しかしそこで見たのは、血塗れで倒れる人間の傍に立つ、クイナの姿だった――。

【怪盗団RzRs】(かいとうだん-ろずろーず)
蘆頭(ろず)……できそこないや、傷・よごれのため、売り物にならないもの。 転じて、役に立たない人。
ローズ……バラ

通称・怪盗団ロズロズ。
人生の出来損ないが集まったへっぽこ怪盗団である。
しかし、演技力はとてもピカイチ。
『華ある盗み以外は美しくない』という団長の心得の元、盗んだ物の価値より盗み方の華やかさを優先している。





以上です!


ということで、かなり長くなりましたがここまで読んでくださりありがとうございました!

ずっとずっと1人の頭の中で出来上がっていくこの作品を、とても愛おしく、でも難しく感じながら制作していきました。

もう面白いのか何も分からずゲシュタルト崩壊した時は、世界の終わりだ……なんて憂いていたのですが、無事に終えることができて感無量です。


朗読劇も今や値段が高騰しており、気軽にカフェ感覚では行くことが難しくなっています。

そんな中、まだ脚本演出数回しかやってない素人の朗読劇を……なんて卑屈になってたんですが、いや、違うなと。

数回しかやってなくとも、今の自分が出来る最大限を使って皆様をもてなさなければ、仕事じゃないなと。

覚悟を決めて望んだ次第です。


貴重なお金と時間と体力を使って来てくださり、本当にありがとうございます。
今回なんと台本がかなり売れて、もうなんか、圧倒的感謝です。
報われる思いでいっぱいです。


あわよくば、もう既にたくさんの感想をいただいてますが、それでもまだ、まだ、もっと欲しい(小声)





もっと欲しい!!!!(大声)




皆様からの感想が多ければ多いほど、運営も「評判良かったし次も!」となってくれるかもですし、私自身も創作意欲が湧いてきます。
あとメンタルが安定します。大事。

本当に皆様からの評価って直に届くので、食事とかと同等の栄養価があるんですよ……。




どんな感想でも、それがあなたの個性です。
おそれず、言葉をくれるととても嬉しい。
その言葉を受けて、私もまた脚本の中で言葉を紡げたらと思います。


人の心を動かしたくて、声優になりました。
それが今や、文字を使って人の心を動かせる仕事もいただけるようになり。
人生何があるかわからないです。

でもそれらって、人、つまりは相手がいないと成り立ちません。

どうか、どうか。

これからも仲良くしてください。


何卒よろしくお願いいたします!


ってなわけで以上とさせていただきます!
あでゅー!!