今回は鶴野有紗さんにオタクについて聞きました。
聞いていく内に「人生とは?」という所まで深くなり、更にはもっともっと深いお話まで聞くことに。
オタクにキッカケは必要ない
インタビュアーリサ(以下、アリサ):まずは自己紹介をお願いします。
鶴野:オタクです。広く深くをモットーにオタクをやりつつ声優もしています。
アリサ:鶴野さんはいつ頃オタクになったのでしょうか。
鶴野:しっかりとオタクになったのは高校生の時です。いわゆるソーシャルゲーム(以下、ソシャゲ)にどハマりしてからは無性にグッズが欲しくなったりイベントを走ったり、常に好きなキャラクターに思いを馳せていましたね。
アリサ:では鶴野さんがオタクになる明確なキッカケはどのようなものでしたか。
鶴野:正直、はっきりとしたキッカケって私は必要ないと思うんですよね。確かにビビっと電撃的に好きな物に出会う時もありますが、恋の蕾がゆっくりと咲くように、好きがじんわり膨らみ不意に「これって、推し……?」と気づくような事もある訳じゃないですか(笑)
アリサ:確かにそれはそうですね。
鶴野:今のオタクはかなり多岐に渡るタイプがあります。年齢層も趣味もコンテンツの数も何もかもが昔と違うので、キッカケを明確にする必要はもうないんじゃないかな。好きって思ったタイミングがデビューの時です。おめでとうございます。ようこそ。
1年半で60個もコンテンツを深堀りした理由
アリサ:噂によると1年半で60ものコンテンツを調べたという事ですが、それはどういった理由なのでしょうか。
鶴野:お仕事(ラジオ)の中で好きなコンテンツの推し曲をかけ、熱く解説をするというコーナーがあるんです。その為に色々漁っていたら、いつの間にか60を超えていましたね。
アリサ:1つのコンテンツを追うだけでも大変だと思いますが、そこはどういう風に取り組みましたか。
鶴野:基本的には、元々知っていて好きだな〜と思うコンテンツがたくさんあったので、そこから知らない人でもわかりやすい曲をピックアップする作業でした。私の場合、曲からコンテンツにハマることも多いので、向いていたのかもしれません。
アリサ:では新しいコンテンツを見つける時はどのように探すのでしょうか。
鶴野:Twitterで流れてきたツイートから調べて見たり、動画広告、友達がハマっている、など常にたくさんアンテナを張っています。
あとは好きだなと思った作曲家さんやコンテンツ会社から更に深堀りして見つけることも多いかもしれません。でも本当に無意識下でやっていたりするので、作曲家さんやコンテンツ会社の名前をその後覚えていないのが最近の悩みです。
アリサ:それはぜひ覚えて教えていただきたいですね。では、それだけの数を深堀りして何か気付いた事はありますか。
鶴野:好きになりやすい系統ですね。キャラ然り、音楽ジャンル然り、似たようなものを追い求めてしまっている事に時折気づいて慌てて選曲し直す時もあります。なるべく平等に色んなものを紹介したいので。
あとはこのコンテンツが曲のどこに力を入れてるのか、とかもなんとなくわかってくるようになるなりました。キャラクター性を伝えたいのか、雰囲気を全面に押し出したいのか、とか。案外そういったジャンル分けも出来そうですね。
メンタル維持の重要性
アリサ:オタクとして生きていて辛かったことや大変だったことはありますか。
鶴野:ソシャゲのイベントを走る時、ライブ等のチケットがご用意されなかった時、ランダム系グッズを購入して見事に推しだけ引けなかった時は複雑な気持ちになりますね。
アリサ:具体的に1つずつ聞いてもよろしいでしょうか。
鶴野:おk。まずソシャゲのイベントを走った時は基本的に2時間以上の睡眠はとっていませんでしたし、朦朧としながらタップをしてはランキングを気にする日が数日間続きます。推しの為なら苦ではないのですが、いかんせん寝不足とひたすら繰り返しの作業で大変でした。ただイベント残り日数が3日ほどになった時のハイな気持ちは忘れられないですね。
推しの為じゃない。私のために私は今頑張ってるのかもしれない。とか考えていましたが、結局は推しが欲しかっただけです。私に必要なのは推しと睡眠でした。あと上には上がいるので世界は広いです。
アリサ:初手から壮絶ですね……。ではライブ等のチケットがご用意されなかった時はどうなのでしょう。
鶴野:単純にきついっすね(笑)
メンタルがおかしくなります。どうしてご用意されなかったのかしばらく考えますが、運なのだろう、となんとか自我を抑えます。あとはご用意されたとしても、席がどこなのか気になりすぎてチケット発券できる日までのソワソワが尋常じゃないです。別に結局どの席でも現地着いたら「ここが1番見えやすい」とか「ここは通だわ」とか色んな理由で最高になれるのに……。
それとコンビニ店員さんに発券頼む時ちょっと恥ずかしいです。これは私のメンタルの問題です。
アリサ:オタクはメンタル維持が肝なのかもしれませんね。最後にランダム系グッズのお話もよろしいでしょうか。
鶴野:ランダム系グッズは上手いこと出来てるな、と思います。たくさん買うことで運営にお金が入るからそこに関してはグッと拳を握る程度で納得しているのですが、推しを引けなかった時が本当に……。
(涙を拭う鶴野さんの画像)
鶴野:推しじゃないキャラクターが出ても、決してそれはハズレではないんです。だって誰かの推しなんですから。でも、それでも私は私の推しが欲しいんです。これは強欲なんでしょうか。BOX買いしたら?という友人の声が聞こえた気もしましたが、金銭問題もオタクとして生きるのに向き合わなければいけないものなので……。
アリサ:シビアな部分がたくさん見え始めましたね。鶴野さんはオタクとして生きるためにどうやってお金を工面しているのでしょうか。
鶴野:元々節約が身についてるので特に意識していることはありません。日頃から食事や生活にかけるお金はかなり少ない方なので。推しにお金をかけて健康になろうとしています。
アリサ:課金は家賃まで、という言葉に関してはどう思われますか。
鶴野:総額で考えてほしいですね。課金して生活が出来なくなるのはやめろよ、というのを大袈裟に言っているのが「課金は家賃まで」だと私は思っています。オタ活は言い換えれば趣味にお金を使っているだけなんですよ。ただ趣味にお金を使いすぎて不健康になってしまっては元も子もないですからね。
まぁ月末の請求額みて不正な支払い?って調べた結果全部推しへの投資だった時はちょっと笑ってしまいます(笑)
ていうか家賃1000万の家に住んだら1000万課金出来るんですかね!うゎやば!!どうにかならないかなー!!欲張らないから5000兆円だけ欲しい!!!
アリサ:メンタルが既によろしくない模様ですね。
鶴野:ちょっと取り乱しちゃいました。すいません。
(独特なポーズで謝る鶴野さんの画像)
鶴野:何はともあれ、課金は自分の今現在の経済状況としっかり向き合ってやらないと危ないですね。ちなみに課金のおすすめ時間は深夜です。起きたら課金した事を忘れてしまうので、メンタルのコスパがいいですよ。ぜひ。
次元の壁を越えた先も沼
アリサ:今度はオタクとして生きていて楽しかったことを教えてください。
鶴野:推しに出会えたことですね。推しがいない生活が今ではもう想像もつきません。かなり移り変わってしまってはいますが、どの推しも私の人生をずっと豊かにしてくれています。
アリサ:抽象的な所から入りましたね。具体的な例も教えていただけますか。
鶴野:正直いっぱいありますね。推しの新規絵が出ただけであんなにテンションがおかしくなる事もなかったんでしょうし。
ライブや現地イベントなんかは思わず感極まって泣いてしまいそうにもなります。幸せって過剰摂取すると涙に変わるんですね。
アリサ:鶴野さんは推しに認知されたい派ですか。
鶴野:されたら死んじゃうと思うのでされなくていいです。応援してる人がいるよ〜くらいの遠くの距離からで……。
アリサ:仕事柄、推しに会うこともあるのでは。
鶴野:その時はオタクとしての自分を必死に抑え込んでます。あくまで仕事なので、そこは守らないとって。常識あるオタクを目指しています。
ただまぁ、会えた後、1人になったタイミングで死にます。
アリサ:死は確定しているんですね。なるほど。
鶴野:そもそも私が好きなのは二次元のキャラクターが多くて。そうなると必然的に次元の壁が私に立ち塞がってくるので、認知とかそういう次元でもないんですよね。最近は三次元もいいなって思い始めてるので、沼にハマりきる前に1回どこかに修行とかしに行った方がいいかもしれません。
アリサ:先程も話題に上がっていた、メンタル維持でしょうか。
鶴野:推しに迷惑だけはかけたくないので。
アリサ:力強い。
鶴野:よくオタク界隈で色々揉め事があったりしますが、そもそもに人と人の関わりだとしたら一般的な常識を大切にしないとなぁと思います。
なるべく色んなオタクが幸せになってほしいので、親しき仲にも礼儀あり。オタクの中にも礼儀あり。そうあってほしいですね。世の中難しいですが。
質問に答えた先に見えたもの
アリサ:ではここからはアンケートで寄せられた質問に答えていただければと思います。
「推しに影響されて生活が変わったことはありますか?」
鶴野:常に変えられちゃってますね。
(照れる鶴野さんの画像)
鶴野:推しの影響で水族館が好きになって年パスを買いましたし、聖地巡礼も兼ねてゆかりの地に旅行もしたりしました。
他にもライブやコミケ等に行くくらい、推しのおかげで行動範囲が広まった気がします。
「グッズは集める方ですか?」
鶴野:昔は集めていましたが、今はあまり買わなくなりました。必要最低限のものは買いますが、それ以上に一人で生きていく為の貯金や生活費にあてるようになりましたね。世知辛いです。
「終わってしまったコンテンツとの向き合い方を教えてください」
鶴野:例えば平気で虫を殺せるかとか、風邪をひいた時の気持ちとか、絶対人それぞれ違う思考になると思うんです。終わったコンテンツへの向き合い方も、人それぞれなんじゃないかなと。
キッパリと気持ちを切り替える人もいれば、ずっと考えてしまう人もいて。それらはどれも否定できませんね。
私はちょっとは引きずりますが、落ち込みすぎて鬱になっても人生勿体ないな、と思ってどうにか復帰します。そして、これからもずっと好きでいるからなって誓います。
別に記憶から完全消去される訳でもないんだし、遠い遠いところに引っ越しちゃった恋人や親友のような関係でいたいですね。
「オタ活の失敗エピソードはありますか?」
鶴野:オタク友達をいっぱい作れなかったことです。今はもう職業柄、孤独になるしかなくて。1人で噛み締めるのもいいですが、オタ友と語らう楽しみを味わいたいですね。
「そもそもオタクってどういうもの?どこからがオタク?どこからが推し?」
鶴野:好きの度合いは人によるので、そこの判断は自分自身で決めていいと思います。
このキャラクターいいな〜って思い始めたら、このコンテンツ面白いなって思い始めたら、もう既に始まってるのかもしれません。
沼を覗く時、沼もこちらを見ている……。
恋の始まりと推しの始まりはほぼ一緒ですよ。恋の始まりも、ほら、なんかすごい難しそうで単純じゃないですか!
推しという概念も、それくらい単純で、でも愛情深くなっていけば素敵だなと思いますよ。
「学生時代、オタ活の為のお金はどうしていましたか?」
鶴野:我が家がお金に関してはとても英才教育を施してくれていまして。中学の時点で髪を切るのは自分のタイミングかつ自分のお小遣いで。高校も基本的にお小遣いの中で全てをやり繰りしなければいけなかったので、おこづかい帳をつけていました。携帯代もスマホにするなら自分で稼いでどうぞ、という感じだったので。
大学に入ってからは上京したいとぼんやり思っていたのもあり、かなりバイトをしまくっていました。
私の人生、多分バイトの経験数は10を越えるかもしれませんね。普通に人生経験にもなりました。
使いたい分だけ稼ぐしかないんですよね。やっぱり5000兆円欲しいです。
「推し疲れみたいなのはありますか?」
鶴野:ありますが、私の場合それは普通に疲れてるだけですね。推しはなんにも悪くないです。ただの疲れです。メンタルが少しでも疲弊してると良いパフォーマンスが出来ないのと同じで、推しやコンテンツを追う力が出せなくなっているのかな、と思います。そういう時は、まず自分自身がご飯美味しく食べれてるかな?とか睡眠時間足りてるかな?とか考えますね。
人生は推しを中心に回っていますが、回る為の努力やケアは重要かもしれせん。
最新の推し情報
アリサ:今回はたくさん話を聞かせていただきましたが、最近の鶴野さんのオタ活事情はどのようになっているのかお聞かせください。
鶴野:色んなソシャゲのストーリーをぼちぼち追っています。あと実は、最近チルットとチルタリスが本当に好きすぎて……。
アリサ:ポケモンでしょうか。
鶴野:そうです!新しく発売されたスカーレット&ヴァイオレット、作品自体もかなり面白かったんですが、チルットとチルタリスの可愛さに改めて気づいてしまって、ついにスクショが何百枚と束になり始めました。
アリサ:チルットとチルタリスの魅力はど
鶴野:元々私はチルタリスがずっと好きだったんですけど今作のチルット達、あの、野生のチルット達が私に気づいたらぴょこぴょこ近寄ってくれるんですね。いやもうなにそれは天使なんよ!!って叫びながらみんな捕まえていたんですが、さすがにボックス(ポケモンを一時的に預ける場所)が圧迫されてしまうな……と気づき、今は数分間を野生のチルット達に囲まれて過ごすというチルットセラピーを取り入れています。
アリサ:なるほ
鶴野:チルタリスも相変わらずの可愛さですね!ピクニックの必要がなくともチルタリス休憩がほしくてついついピクニック開催しちゃいます。チルタリスのつぶらな瞳を見てると、私の攻撃力なんか完全に消し飛びますね(笑)
そしてやっぱりオタクのサガといいますが、どうしてもチルットとチルタリスのグッズが欲しくなってしまい、最近ずっと調べています。来年可愛らしいグッズが出そうなので絶対手に入れてみせます。
ていうか色違いのチルット、可愛すぎません?寝てる姿なんかもう目玉焼きじゃないですか。つっついちゃうゾ〜〜〜😘
色違いチルタリスの方は私が飼っているセキセイインコと見た目が瓜二つなので、実質一緒に毎日チルタリスと住んでます。はは、もう何言ってるのかわからなくなってきました!
アリサ:やはりメンタル維持が、オタクの肝なのかもしれませんね。
ここまで読んでくださりありがとうございました。