先日,ZOZOの前澤さんも滞在し話題となった国際宇宙ステーションInternational Space Station,以下ISS)。

アメリカ・ロシア・カナダ・日本・ヨーロッパが協力して運用する人工天体です。

 

今この瞬間も地球の約400km上空を周回し続けています。

400kmというとだいたい東京-大阪間の距離と同じくらいですので,(地球の大きさを考慮すると)思っている以上に地表スレスレを飛行していると考えることもできますね。

 

事実,400km上空で働く重力の大きさは地表とほとんど変わりません(約90%程度)。

 

それでもISSは秒速7.66kmというとてつもない速さで運動しているため,遠心力と重力が釣り合い無重力と同じような状態(微小重力環境)が作られ,その結果フワフワと宇宙飛行士たちが船内を遊泳している姿を見ることができるのです。

 

子供の頃は,宇宙に行った途端に無重力になるもんだと思い込んでいました。

 

 

撮影準備
 

さて,今回はISSの撮影にチャレンジ。

 

そのためにまずは,いつどこの方角にISSが見えるのかを知る必要があります。

観測予測は下記のサイトが便利です。


#きぼうを見よう - 国際宇宙ステーションが見える予測日時をお知らせ「きぼう」のある国際宇宙ステーション(ISS)が地上から見える予測日時をお知らせします。みんなとつながりながら夜空を見上げISSを探すイベントも定期的に実施します。リンクlookup.kibo.space

 

ISSを肉眼で撮影できるのは,明け方か夕方の時刻に限られます昼間は明るすぎ,夜中は暗すぎて観測できません。

観測地の地上が暗く,ISSが太陽光を反射している条件が観測のグッドタイミングです。

 

ISSは頻繁に軌道の細かい修正が行われるため,記載されている時刻などはこまめにチェックしておくのが良いかと思います。

 

 

うまくいかないISS撮影とカメラの設定修正
 

実際に撮影へと行動を移します。

今回はライブコンポジット撮影を用いてISSの軌跡を描かせてみたいと思います。

 

 

しかしこの撮影がなかなかうまくいきませんでした。

観測予測日であっても天候に邪魔されたこと,仕事との時間の兼ね合い,方角的に観測が難しかったことなどが重なって,撮影条件を最適化するタイミングを失ったのが主な原因です。

 

 
2022年4月7日(木)

 

2022年4月7日夕刻の南の空に現れたISSを撮影。

だいたい3分ほどかけて明るい点が空を横切ります。

 

その時撮った写真。

撮影日時:2022/4/7 18:50

カメラ:OM-D E-M5 MARK III

F値:13 / シャッター速度:2sec / ISO感度:400

比較明合成撮影

 

雲も出ていますし,軌跡も非常にうっすらとしか写っておらずこれではただの夕空です。

失敗。

撮影条件を見直す必要がありそうです。

 

そこから再びシャッターチャンスが巡ってきたのは1ヶ月以上も後になりました。

 

 

  

2022年5月14日(土)

 

そして2022年5月14日夕刻の南西の空に現れたISS。およそ2分程度のあいだ,暗くなりつつある空にその姿を見せてくれました。

撮影日時:2022/5/14 20:09

F値:5 / シャッター速度:0.5sec / ISO感度:1000

比較明合成撮影

 

撮影間隔を短くして,絞りを開いてISO感度も上げてみました。

西寄りの空だったので太陽光を反射してそもそも明るかったというのもあるかもしれませんが,ISSの軌跡がしっかりと刻まれており前回よりもはるかに見やすくなっていますね。

 

しかしカメラを構えた位置が悪く端っこのほうにしか写っていないですし,雲も出ているのでお世辞にもキレイな写真とも言えませんね。

 

 

ちなみにISSは一見すると飛行機にしか見えませんが,飛行機は主翼の先に一定間隔で点滅するライトがあるので区別が容易にできます。

参考までに,同じ日の同時刻帯に捉えた飛行機の軌跡。

 

とりあえずISSの軌跡を撮影できたので今回はコレで良しとしましょう。

 

今月末の5月31日,来月6月3日も観察できるタイミングと予測されているんですが,梅雨に入る時期でもあり天気がどうなるか読めないのでとりあえずココで記事としてまとめておきます。

 

 

最後に
 
今回はISSに比較明合成(ライブコンポジット)撮影を用いて軌跡を描かせてみましたがどうでしょうか。
 
撮影チャンスの少なかったこともあって,ISSを明るく写せるようになるまでだいぶ時間がかかってしまいました。
 
 
さて,2022年2月に入ってロシアがウクライナに侵攻して国際的な非難を浴びていますが,ISSの運用にも少なからず影響が及んでいます。
 
ロシアはISSへ補給船を送ったり,ISSの姿勢制御を担うなど大きな役割を担っているのですが,国際社会からの批判の高まりを受けて宇宙開発協力の拒否というカードをちらつかせて対抗措置をとる懸念も高まっているのです。
 
 
そして残念なニュースも。
2031年にISSは運用を終えて,地球に落下することが先日決定されました
 
もともとは2024年を目途に民間の次世代商業宇宙ステーションへと移行予定でしたが,期間が延長され2031年になったようです。

 

 

 

まぁあと8年程度はあるワケなので,それまではISS観測を楽しむまでです。